第124話 メグの告白
メグはしばらく黙っていたが、話し出した。
「わたしが生まれた所は馬車の街なの。男はみんな
メグはそこまで一気に話すと、ため息をついた。
「でもね、みんなで働こうと思うと元手がいるの。織機とか仕事場とか。そんなお金を手に入れるなんて私にはできなかった。そんなときにアギラ商会と取引してる男が街にやって来たのよ。それで契約したのよ。親友のマリアも一緒にね。小さい時からずっとお友達なの。あの娘もわたしと同じような育ちだった。だから協力してくれたの。それで、あの仕事を絶対にうまくいかせるんだって決心したの。絶対にやり遂げるんだって。でももう少しでうまくいかなかった。後ほんの少しだったのに……」
メグの指はヨハネの
「そうだったのか。それならもっと早く話してくれれば、何か協力できたかもしれなかったのに」
「わたしはね、男のひとに借りを作りたくなかったのよ。それにあなたのこと、よく知らなかったから少し警戒してたの。今は違うけど」
そうつぶやくように言うとメグは立ち上がった。
「さあ、おしまい。もう少しご飯を食べてもう一度眠りなさいよ。勝手口の先が台所。さっきのお粥がまだ残ってるわ。それと、これはイゴールの好意よ」
メグは二組のズボンと二枚のシャツをヨハネに押し付けると、コツコツと革靴の踵を鳴らして勝手口の奥に入っていった。白い夕日の中、一人残されたヨハネは水気の寒さに身震いして、シャツを着た。
シガーラの鳴き声と夕方の赤い日が、ヨハネの体を照らした。
彼はもう一度、身震いをした。
ヨハネは台所で粥の残りを腹いっぱい食べると、部屋に戻ってもう一度眠りについた。夢も見なかった。
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