第52話 馬車の街、ロス・カバジョス
ヨハネが乗せられた大馬車は走り続けた。
しばらくすると、木が少なくなり、その背丈も低くなって日が当たり始めた。街道は下り坂になって、御者たちは神経質になり始めた。ヨハネが馬車の横に付いた
緩やかな下り坂を降りる大馬車の
「ここは、たぶんロス・カバジョスだ。聞いた事がある。馬車の街だよ」
隣のペテロが言った。
この盆地には、地生えの氏族が勢力を誇っていた。彼らの富と勢力の源泉は、大地から採れる穀物でも、鉱山から産まれる金銀でもなく、『物と人を運ぶ力』だった。数百の馬車と数千の馬を持つ彼らは、大山脈の中を通る街道や切り通しを知り尽くしていた。そして馬車と馬の性質を熟知して、人と物の輸送を一手に請け負い、さらに馬の
そして、その
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