3月30日 その1
午前中――
「先輩……」
「なんやねん?」
「先輩、課長に怒られた事あります?」
「またかよ! んなのしょっちゅうやがな。怒られるの通り越して呆れられとるで俺は」
「うわあダメな子ですねえ」
「……おまえに言われるとマジむかつくな」
「すいません」
「なんやまた怒られたんか?」
「ええ、まあ」
「なんて?」
「君最近評判悪いよ、って――」
「ほう」
「そろそろクレームつくかもしれないよ――って」
「誰から?」
「いや周りの出向会社の人から」
「で?」
「思い当たる節があるなら注意して直しなさい――と」
「……クビだな」
「またスか?! だって「かもしれない」ですよ?!」
「今プロジェクトも切羽つまっとるし職場の雰囲気もぴりぴりしとるしなー」
「はあ、俺もうそろそろ2年目になるのにミスっばっか……とうとうダメな子確定ですかね」
「じゃあ5年目なのに怒られとる俺はどうなるっちゅうねん」
「いや先輩はもうダメな子認定だからいいじゃないですか」
「うわっ、ほんとむかつくなおまえ」
「だとしてもですよ? 先輩は実績があるから、まだ大丈夫ですよ」
「まだて!? なんやその上から目線!?」
「俺なんか実績もないし、ミスばっかッスよ? ダメダメですよ……」
「卑屈やなー元気出せよ」
「最近課長にも諦められた感じだし、職場に居づらいです」
「そんくらいでしょぼくれてどないすんねん」
「はあ……」
「評判悪いゆわれたんだったらな、汚名返上するために気張らんかい」
「そっスか?」
「せやでー、落ち込んでたってそのままや。おまえもう大学生とちゃうんやで、自分で落とし前つけな。尻拭いとかしてくれる奴おらへんで」
「ですよねー」
「怒られようが失敗しようが、そこから這い上がってみーや」
「……」
「なんやねん?」
「いや、さすが先輩だなあと」
「まあな」
「さすが5年以上呆れられて来ただけありますね。ありがとうございます!」
しばかれました。
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