12月24日

 メリークリスマース!

 世間はクリスマスで賑わっていますが新人SEにそんなイベントは関係ありません。

 納期が近いうちの部署は昨日から徹夜でプログラミング作業中ですイエーイ!


 なのにこのくそ忙しい中何をとち狂ったのか席替えがありました。

 今まで俺の前には課長や同僚が座っていたのですが、今日から他の会社から出向してきてらっしゃる社員さんが座る事になったようです。

 俺の目の前に座ったのは、かなり明るめの茶色い髪をした女性の方でした。

 とりあえず挨拶をしようと思ったのですが、この女性は中々隙がない。

 どう隙がないかというと、なんか俺が顔を上げて目線が合うと睨みつけてくるのですよ。

 ひょっとしたら目が悪いだけなのかもしれませんが、だとしてもなんで俺が睨まれなければいけないのか甚だ疑問。

 結局会話どころか挨拶もなく、昼休みになってしまいました。

 買って来たカレーを食い終わり、古賀君も昼寝に入ってしまったので、特にする事もない俺はぼへーっとしてました。


 そしたらまた目の前の女性と目が合ったのです。


「……」

「……(ギロ)」

「……!?」


 うわーまた睨んでる。

 俺が何したっていうんですよ! 初対面なのにそれはないでしょう!

 よーしこうなったらこっちだって「(゚д゚)」って顔して煽ってやるぞ!


 嘘ですしません無理。怖い。


 仕方ないので勇気を出して真っ向から目線を受け止めてみますよ!


 ヅラをなめんな!


 えと、自分で言っておいてなんですが俺ヅラじゃないです。

 とにかくどんとこいコノヤロー!


「……」

「……(ギロ)」

「……」

「……あの、失礼ですが――」

「あ、はい?」

「……鼻の下にゴミがついてますよ」

「え?」


 なんだそれでずっと見てたのか。

 ちょっとほっとしました、嫌われたのかと思っちゃったよ。

 それにしても恥ずかしい。俺ずっとゴミつけて仕事してたのかー。

 もしかするとハナクソかもしれないなあ。

 慌てて俺は鼻の下を指でこすってみました。しかし指を見たが何にもついてない。


「えっと、取れました?」

「いえ、まだ。鼻の下に――」

「(ごしごし)どうですか?」

「もうちょっと左」(自分の鼻の下をさしつつ)

「ここ?」

「そこです」





 これはほくろだよ! もう!

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