第2話 運命か、偶然か

小学校卒業後は、お互いに会うこともなく、ネット経由で話すこともなかった。

祐奈はガラケーを持っていたが、僕はガラケーすら持っていなく、話す術などなかった。

お互いにもっと話したいと思っていたりしていたまま卒業後の春休みはそれぞれに過ぎていった。


そして、中学校の入学式の日。

僕は、初めて出会う仲間や新しい環境に不安と期待を抱きながら、学校へ向かった。

先輩が「ご入学おめでとうございます」という言葉と共に、クラス名簿を渡してきた。

「祐奈ちゃん一緒かな…」

そんなことを考えながら名簿を見た。

生徒は283名。クラスは7クラス。

出身小学校を多少考慮してくれていても一緒のクラスになるのは難しい。

見慣れない名前が雑然と並んでいる名簿を見ても、自分の名前を発見することが精一杯であった。

探すことを諦め、先輩に案内されて自分の新たなクラス、1年4組の教室に案内された。


「名簿に書いてある番号と同じ席に座ってください」

先輩の案内と共に席を探して座る。

緊張して回りを全く見れず、同じクラスにいた同じ小学校の友達でさえも見つけることができない僕に、左斜め後ろの席から、聞き覚えのある声が聞こえた。


「光輝くん?」


え?と思い、後ろを見ると、そこには祐奈ちゃんの姿があった。

「一緒だやった!」

と心の中で思いながら、何もなかったかのように

「久しぶり、まさか同じクラスとはね」

なんて話をした。


入学式が終わってから、2人で「入学式」の立て札の前で写真を撮ったり、小学校時代と変わらないままの話をした。

学校が本格スタートしても毎日、小学校時代と変わらない話をして、本当に楽しかった。

そして、僕はクラスでボーカロイド関連が好きな友達を数人作ることができ、それは祐奈も同じだった。

僕と祐奈が仲が良かったおかげで、性別問わず共通趣味で話したり盛り上がったりできるようになって、休み時間が本当に本当に楽しい時間になった。


ただ、それと同時に人が増えたことによって祐奈と直接話せる機会が減ってしまったのが正直辛く感じた。

この時、初めて明確に祐奈に恋をしていると気づいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る