とあるフレンズ達の冒険談
まーげい①
ここはゆきやまちほー。とても寒くて、辺り一面雪で覆われているちほーです。
そんな過酷な環境に、五輪の花が咲きました。
凛々しく美しい花、健気に懸命に咲く花、熱く燃えるような情熱的な花、少し変わりものの可愛らしい花、夢へ真っ直ぐに伸びていく綺麗な白い花。
あ、もちろん、あくまで比喩ですよ?本当は、とっても可愛らしいペンギンさんです。
さて、そんな誰もが魅了される素敵なペンギンの五人組アイドルユニットとは、一体なんなのでしょうか。
そう、
「……うへへへへ。やっぱり、最高ですねぇ、
「マーゲイ、一人でなんかぶつぶつ言ってないで、早く来なさい。明日の打ち合わせしなきゃ。」
「あ、はい」
「先日のみずべちほーでのライブは、事前に様々な問題が起こりましたが、勇敢なフレンズの助けによって、大成功でした。今回も、誰もが楽しめる最高のライブにしましょう!」
私は、打ち合わせの最後にそう言ってその場をまとめました。みなさんも、この言葉によって、より一層気を引き締めてくれたようでした。
「それじゃあ、流れも確認したところで、リハーサルをしましょうか。みなさん、ステージの方に行きましょう。」
私はそう言って、小屋の扉に手をかけました。と、その時、
「ちょっと待てよ。マーゲイ、お前、寒くないのか?」
私に声をかけてくれたのは、イワビーさん。私の心配をしてくれたようです。
「わざわざご心配してくれてありがとございます。ですが、ご安心を。みなさんを見てるだけで、私は体の芯まで温かく、いや、熱くなれるので!!」
私はそう言って、ドアを開きました。びゅおっと凍える風が小屋に入り込みました。正直、ちょっと寒かったです。
「やっぱり、この寒い中ずっと外にいたら、風邪を引いちゃうよ。」
コウテイさんも私を心配してくれているようです。ああ、なんと優しいお方なのでしょう。
「ですが、やはり、マネージャーとしてリハーサルは見ておかなければ…」
「それなら、じゃぱりまん食べながらなら、あたたかくなるんじゃない?」
「んー…それはよくわかりませんが…そうだ!この毛布にくるまりながらというのはどうでしょう?少しは温かくなると思いますよ。」
ジェーンさんは、一枚の毛布を手に取り、私にそれを手渡しながら言いました。どうやら、この毛布は、ジェーンさんが使っていた毛布のようです。そのような素晴らしい一品であるとわかると、私の体は、まるで、さばくちほーにいるかのように熱くなっていました。
「ああ!ありがとうございます!!これさえあればたとえ火の中雪の中、何処へでもいけちゃいますよー!!さあ、リハーサルをしましょう!!」
私は、高らかに外に出て行きました。
「はあ…マーゲイ、私たちのために頑張ってくれるのは嬉しいけど、頑張りすぎはよくないわよ。あなたがもしそれで倒れでもしたら、私たちは困るし、なにより悲しいわ。だから、無理しすぎないでね?」
後ろから、プリンセスさんの声が聞こえました。それと同時に、他のみなさんの同意の声も聞こえてきました。
私のことをここまで心配してくれるなんて…なんて、優しく、素晴らしいフレンズなんでしょう…!
この、
「大丈夫です。みなさんと過ごす時間を、大切にしたいので、倒れてる暇なんてありませんよ。」
私は、振り返って言いました。
「みなさん、お疲れ様です!いや〜、最高の出来です!明日はバッチリ完璧でしょう!」
「そうですね、とてもよかったです!」
リハーサルを終えた
ちなみに、私の隣にいるのは、ユキヒツジさん。前回のライブも見に来てくれていたファンのフレンズのようです。ありがたいです。リハーサルをやっていたところに、たまたま通りかかり、見学をしていました。どうやら、美容院をやっているようで、明日のみなさんのメイク等をやらせてほしいとのことです。ありがたいです。
「それじゃあ、今日はこれで撤収にしましょう。明日は万全の状態でライブをできるように、今日はゆっくり休んでくださいね!あ、それと、ユキヒツジさん、明日はお願いしますね。」
私がそう言うと、
「はい!メイク等は私に任せてくださいね!それでは、明日また会いましょう!」
ユキヒツジさんは手を振りながらそう言い、私たちが小屋に入るまで見送ってくれました。なんと優しいのでしょう。
「そうだ、これをここに埋めていきましょう。フレンズがたくさん集まるかもですしね…」
「………」
翌日、目が覚めた私達は、その光景に絶句しました。小屋の外では、吹雪が吹き荒れていたのです。
「この天気で、観客は来られるのでしょうか…そもそも、ライブの開催ができるかどうかも怪しいのでは…?いや、しかし…」
私は、ぶつぶつと独り言を言っていました。
「ヒイヒイ…すいませーん!ユキヒツジです!遅れちゃいました!さあ、早速、メイクにとりかかりましょう!!」
と、息を切らしながら、ユキヒツジさんが小屋に入って来ました。その姿を見て、
「マーゲイ、やっぱり、今日はライブをしたいわ。今日を楽しみにしてくれたファンもいるだろうし、ユキヒツジも私たちのために、この吹雪の中来てくれたわけだし…」
と、言いました。
「でも、こんな天気だと、観客も来られないでしょうし、なにより、みなさんが危険なんじゃ…」
私は、不安そうに尋ねましたた。すると、プリンセスさんに代わって、コウテイさんが、
「じゃあ、こういうのはどうかな?もしも、開演時間より早い時間に、この吹雪が止んでいたら、その間に特別にチケットを持っていなくても見られるライブをするんだ。開演時間より早く来てくれるファンも少なくないからね。それで、開演時間の時にも吹雪が止んでいたら、もう一度、ちゃんとライブをするんだ。」
という案を出しました。その場にいた全員は、もちろんそれに賛成しました。
「それでは、いつでもライブができるように、早速メイクを始めちゃいましょう!!」
ユキヒツジさんが、やる気満々に言うと、
「ふう〜…ここに小屋があって助かったよ。暖をとらせてもらってありがとう。」
さて、ユキヒツジさんがメイクをしてくれている間、吹雪に襲われて、なんとかこの小屋にやってきたフレンズがいました。トナカイさんです。吹雪に襲われて彷徨っていたら、偶然たどり着いたようです。
「そうだ、もしよかったら、
私は、とりあえずライブに誘ってみました。すると、
「なんだか楽しそう!私も、ただ雪かきしてただけだし、暖をとらせてもらった礼もあるし、見ていくよ!」
と、トナカイさんは言いました。これで観客が私、ユキヒツジさん、トナカイさんの三人になりました。あとは、吹雪が止むのと、さらに観客が増えてくれることを祈るのみです。
メイクも終わり、みんなで少し休憩をしていた時でした。
「まだほんの少しだけ雪は降ってるけど、吹雪、止んだよ!!」
外を見ていたトナカイさんが声をあげました。小屋の中にいた私達は、全員で喜び合いました。
「それじゃあ、早速、ライブの準備を始めるわよ!!」
プリンセスさんがそう言い、続いて全員で掛け声を出してから、私達は外に出ました。
「………え?」
ライブ会場に着いた私達は、揃って困惑の声を漏らしました。
そこには、フレンズの何倍もの大きさの、とても大きな雪だるまがあったのです。
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