なかま

「さて、ようやく再会できましたね。久しぶりですね、オルマー。」

オオセンザンコウさんが、その、オルマーさんというフレンズさんに近付いて、少し嬉しそうに言った。

「センちゃんこそ久しぶり!!元気にしてた!?今は何をしてるの?相変わらず、何でも屋をやってるのかな?私は今は仲間たちと一緒に…」

オルマーさんは、オオセンザンコウさんに飛びつくと、怒涛のマシンガントークを始めた。

「そ、その名前は二人きりの時だけと…ま、まあ、オルマー。長いおしゃべりは時間の無駄です。まずは、みなさんにお礼を言わなくては。みなさん、本当にありがとうございました。」

オオセンザンコウさんは、私達に深々とお辞儀をして礼を言った。

「まあ、センちゃんの喜ぶ姿が見られてよかったわ。」

「そうだな。センちゃんの探しているフレンズがすぐに見つかってよかったよ。」

「おめでとう、センちゃん!!」

ルプさんや、ジャガランディさん、キリンは、あえて「センちゃん」を強調して言った。

「ほ、ほら…こうなってしまうから、なるべくそう呼ばないでほしいと…」

センちゃんさんは、だいぶ恥ずかしそうにしていた。

「あはは、センちゃん愛されてるねぇ。よし、じゃあ、自己紹介をさせてもらおうかな。私は、オオアルマジロのオルマーだよ。センちゃんとは、一緒に何でも屋、『ダブルスフィア』をしている仲なんだ。よろしくね!」

オルマーさんは軽く自己紹介をしてくれた。どうやら、センちゃんさんとは正反対に、とても明るいフレンズさんのようだ。私達もそれに続いて、軽く自己紹介をした。


「ところで、センちゃんは何で私のことを探してたの?もしかして、ずっと離れてて私が恋しくなっちゃったとか?まったく、センちゃんはしょうがないな〜。」

オルマーさんは、センちゃんさんをからかうように質問した。

「そんなんじゃ…ありません。ちょっと、とある仕事を引き受けたので、久しぶりにダブルスフィアを出動させようかと思ったのです。」

センちゃんさんは、オルマーさんの質問に、一瞬返答をためらったかのように答えた。すると、オルマーさんは

「なるほどね………よし、わかったよ。ただ、詳しい話は、こんな場所で立ち話もなんだし、私の仲間のところでゆっくり聞くとするよ。さあ、案内するからみんなついてきて。と言っても、ここからそう遠くないから、あまり案内って感じでもないけどね。」

と、ほんの一瞬だけ目つきを変えて言った。


「それじゃあ、目的を無事果たせたわけだし、私達はここら辺で。」

「そうだな。本来の仕事に取り掛からないと。」

ルプさんとジャガランディさんはそう言って、元来た方向へと戻ろうとしていた。

「二人とも、本当にありがとうございました。いつか必ず、このご恩は…」

センちゃんさんは、二人に改めてお礼を言った。

「あらあら、そんなのいいのよ。私達はただ仕事をこなしただけ。それに私も、移動中、いつもより楽しかったからね。こちらこそ、ありがとうね。」

「ルプの言う通りだ。恩を売ったつもりはないから、何も気にしないでくれ。それじゃあ、私達はそろそろ行く。またどこかで会おう。」

二人はそう言うと、その場を去って行ってしまった。

「ルプさーん!ジャガランディさーん!ありがとうございました〜!!」

「また必ず会いましょうね〜!!」

私とキリンも、去り際に言葉を発した。二人は、一回私達の方に振り返って手を振り、そのままどこまでも続くへいげんの方へと走って行った。



「ちなみに、シマちゃんとキリンは何しにへいげんに来たの?あっ、もしかして、寂しがり屋なセンちゃんに一人旅はつらいからって、連れて来させられたとか?それは気の毒だったね。」

オルマーさんは、相変わらずのマシンガントークで勝手に話を進めていた。

「違いますよ。むしろ、私達が勝手についてきたっていうのが正しいです。」

「それと、へいげんちほーのフレンズがみんなで一緒に遊んでるっていうから、遊びに来たってのもあるわ。」

私は、キリンと一緒に本来の目的について教えた。

「なるほど、それなら、私の仲間達も喜んでくれるかもしれないね。…っと、そうこうしてるうちに着いたよ!」

見ると、何かの建物の跡地のような場所に着いた。その囲まれた中には、何人かのフレンズさんが見えた。

「おーい、みんなー!!ついさっき、そこで私の友達に会ったから連れてきたよ!!私達と一緒に合戦をしたいんだって!!」

オルマーさんがそう言うと、その場にいたフレンズさん達が私達の方に近付いてきた。

「えっ!?合戦ってなんですか!?」

「それって危なくないの…?」

私とキリンは不安になり、オルマーさんに尋ねた。

「大丈夫、大丈夫。合戦ってのは名ばかりで、実際遊びみたいなものだからね。危なくはないよ。」

オルマーさんはそう私達に教えると、

「さあ、みんな、この子が私の仕事仲間のオオセンザンコウのセンちゃんで、この二人がさっき知り合った友達、キリンとボンゴのシマちゃんだよ。」

と、続けて私達を紹介してくれた。私達はよろしくと、軽くお辞儀をした。

「アフリカタテガミヤマアラシのヤマですぅ。よろしくですぅ。」

「シロサイですわ。よろしくお願いいたします。」

「拙者、パンサーカメレオンでござる。カメレオンでいいでござるよ。」

他のみなさんも自己紹介をしてくれた。と、その時、

「じーーー………」

「うわあ!すごく見られてるけど、私何かしたかなあ?」

私は、物凄い視線を感じて、つい驚いてしまった。

「ああ、この子はハシビロコウだよ。シマちゃんは多分、何もしてないと思うよ。」

オルマーさんが、そのフレンズさんの代わりに紹介をしてくれた。

「えっ、じゃあなんでこんなに見られていたんだろう?」

私が疑問に思っていると、

「ご、ごめんね…私、つい他のフレンズの機をうかがっちゃうんだ。」

ハシビロコウさんが、その少し怖い表情からは思いもよらないような声で言った。

「そうだったんですか。それじゃあ、改めてよろしくお願いします!」

「う、うん、よろしくね。」

私は、ハシビロコウさんと握手をした。



「そういえば、まだ大将は帰ってきてないの?」

ふと、オルマーさんが周りのみんなに尋ねた。どうやら、ここには大将という群れの長のような存在のフレンズさんがいるらしい。

「次の合戦について話し合うと言って、相手の陣地の方まで足を運んでいたでござるな。そろそろ帰ってくるのではないでござろうか?」

カメレオンさんが答えた。すると、ちょうどその時、

「…帰ってきたよ。今日は、相手の部下達もいるよ。」

じーっと外を見てたハシビロコウさんが言った。

「またいつものようにここで少し戦うようですわね。」

「大将同士の戦い、迫力満点ですぅ。」

「いやあ、三人ともいいタイミングだったね。合戦の話し合いをしたあと、いつも、決まってここで大将同士が戦うんだ。フレンズ同士の真剣勝負、しかも、かなりの実力者同士の戦いときたもんだ。そうそう見られるものじゃないよ。」

みなさんが口々に言った。私もそんなにすごそうなものとなると、次第に期待が高まってきた。


少しすると、四人のフレンズさんの姿が見えてきた。角のあるフレンズさんが三人、立派なたてがみのあるフレンズさんが一人…



「あれ…?あのフレンズさんってもしかして…」



私が疑問に思って、独り言のように小声で呟いた。すると、それを聞いたオルマーさんが、


「ああ、相手の大将のことかな?あれは、百獣の王、ライオンだよ。すごい力なんだよね、これが。」


と、答えた。




確かに、見覚えがある。あれはライオンだ。




私は、全身の毛が逆立つような、そんな感覚に襲われていた。

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