へいげんちほー
さいかい
私がボンゴのフレンズであることがわかり、私達はとしょかんから、隣のへいげんちほーへと向かっていた。そう、向かっていたはずだった。
「ねえ、センザンコウ。としょかんからすぐ近くのはずだけど、時間かかりすぎじゃない?」
キリンが道を先導していたオオセンザンコウさんに聞いた。
「うーん…この道であっているはずなのですが…もしかしたら、こっちでしょうか。」
オオセンザンコウさんはそう言うと、進行方向を変えた。私達はその後も、オオセンザンコウさんについていった。
「どうやら…迷ってしまったようです。」
さらに進んでからしばらくして、ふとオオセンザンコウさんが言った。
「「 えええええええぇぇぇ!!??」」
驚きを隠しきれず、私達は声をあげた。
「いつも冷静で道を間違えそうにないセンザンコウが道に迷うだなんて…怪しいわね…はっ!!あなた、もしかしてセンザンコウじゃないわね!!いつ入れ替わったの!?吐きなさい!!」
「いえ、私はちゃんとオオセンザンコウです。ですが、私の探しているフレンズと会えるとなると、とても久しぶりなので、もしかしたら、心の中で気持ちが高揚して、冷静でなくなっていたのかもしれません。申し訳ないです。」
オオセンザンコウさんは、私達に謝った。
「何も謝らなくても!それに、フレンズさんと久しぶりに会うのを楽しみにするのは普通ですから、大丈夫ですよ。」
「そうでしょうか…?でも…」
私がフォローし、オオセンザンコウさんが、続けて何か言おうとした時だった。
「さっき叫び声が聞こえてきたのはこの辺りね?」
「ああ、間違いない。もしかしたら、フレンズがセルリアンに襲われているのかもしれない。行こう。」
少し遠くから話し声が聞こえてきた。
「…誰か来ますよ。」
私は、キリンとオオセンザンコウさんに一応伝えておいた。すると、足音はどんどん私達の方に近付いてきて…
「大丈夫?何かあったのかしら?…って、貴方達は…」
「ルプさんにジャガランディさん!」
私達の方に近付いてきていたのは、以前、みずべちほーで会ったことのある二人だった。
「シマちゃんに、キリン、センザンコウね。もしかして、としょかんに向かってるところかしら?」
「いえ、としょかんで私が『ボンゴ』のフレンズだとわかったので、今からセンザンコウさんが探しているフレンズさんに会いに、へいげんちほーに向かっていたんです。」
「なるほど、何のフレンズかわかって良かったな。ただ、へいげんちほーとは別の方向に進んでいるようだったが?」
「それは…私が不甲斐ないばかりに、道に迷ってしまって…」
「あらあら、そんなに落ち込むことはないわよ。そうだわ。私達もへいげんちほーに向かってるの。よかったら、貴方達を目的地まで連れて行ってあげる。へいげんちほーのどこら辺かしら?」
「へいげんちほーの中でも、竹林がある辺りらしいのですが…大丈夫ですか?」
ルプさんの質問にオオセンザンコウさんは答えた。
「そうね…私達の目的地は少し違う場所だけど、先にそっちに送って行ってあげるわ。さ、ついてらっしゃい。」
そう言うと、ルプさんとジャガランディさんは歩き始めた。私達も二人についていく形で歩き始めた。
「ところで、あなた達、ついこの間ゆきやまちほーに行ったばかりじゃない?なんでそんなすぐに別なちほーに向かっているのかしら?怪しいわね。」
道中、キリンが二人に質問をした。
「
ルプさんはそう答えて、荷物の入った箱を見せてくれた。ジャガランディさんも似たような箱を持っていた。
「中には何が入っているんですか?」
私が興味本位で聞くと、
「配達物の中身は見せられない。依頼主のプライバシーの問題もあるからな。」
ジャガランディさんに少し怒られてしまった。
「あら?貴方も昔、私に荷物を見せろ〜って無理やり中身を見てきたんじゃなかったっけ?」
「ル、ルプ。余計なことは言わなくていいだろ。」
ジャガランディさんは、必死に抗議していた。とりあえず、昔、二人の間に何かあったことはわかった。
「はいはい。でも、ごめんなさいね。実際、私達自身も、これを箱ごとへいげんちほーとさばんなちほーにそれぞれ一つずつ埋めてきてと依頼されただけで、中身がなんなのかはわからないのよ。」
「なんだか、なおさら怪しいわね…」
ルプさんの言葉を聞くと、キリンは、一層怪しがってしまった。
「まあ、怪しがるのも無理はないわ。私達自身も少し怪しがってるからね。依頼主が依頼主だから…」
「ルプ、それ以上いけない。」
「そうね、依頼主のプライバシーの問題よね…っと、そんなこんなしてるうちに、へいげんちほーに着いたわよ。竹林はここからだと近いから、チャチャっと行っちゃいましょ。」
どうやら、いつのまにかへいげんちほーに着いていたようだった。見渡す限りに広がる広大なへいげん。つい、走り出したくなってしまうような素敵な場所だった。私達は、その後もその素敵なへいげんを歩き続けた。
しばらくすると、細長くて堅そうな植物の林に着いた。どうやら、これが竹らしい。
「無事に竹林まで着いたわよ。じゃあ、早速、そのフレンズを探しましょうか。」
「そうだな。さっさとこの仕事を終わらせて、本来の仕事に取り掛かろう。」
「それにしても、結構広そうですね…ちゃんと見つかりますかね?」
「どうでしょうか。他のフレンズに色々聞いてみて探すのがいいかもしれませんね。」
「聞き込み調査ってわけね!それなら、この名探偵アミメキリンの得意分野よ!…っと、早速第一フレンズ発見だわ!聞きに行ってくるわ!!」
キリンは張り切って竹林の中にちらりと見えた、一人のフレンズさんに向かって走って行った。
「ちょっと!キリン、速いよ!!」
「そういえば、まだ何も情報を伝えていませんでしたが、それで聞き込みできるのでしょうか…?追いかけましょう。」
私達は、キリンをすぐに追いかけた。
「ちょっとそこのあなた!!」
「うわっ!!びっくりした!!そんなに急いでどうしたのさ。もしかして、セルリアンでも現れたとか?それとも、私の大好物、ラムネ味のじゃぱりまんをわざわざ届けに来てくれたとか?まあ、そんなことはないよね。…って、あなたはアミメキリンかな?前、巨大な黒いセルリアンと戦った時に会ったよね。」
「そ、そうだったかしら?…って、そんなことじゃなくて!私たち、あるフレンズを探しているんだけど、何か知らないかしら?」
「う〜ん…なんの手がかりも無しに探しているとだけ言われても、私としては困っちゃうね。そのフレンズの特徴とかって何かないの?」
「はっ!!そういえば、特徴を何も聞いていなかったわね…あ、やっとみんなきたのね。おーい、センザンコウ!あなたの探しているフレンズの特徴って何かあるかしら?」
「えっ!?センザンコウ!?それって、もしかして…」
やっとキリンに追いつくと、キリンはオオセンザンコウさんに、探しているフレンズの特徴を尋ねた。すると、
「そうですね。私の探しているフレンズは…キリンさん、貴方のすぐ目の前にいますね。」
オオセンザンコウさんは、キリンの目の前にいるフレンズさんを指差して言った。私達は、いつ終わるかどうかわからないフレンズ探しが、あまりにすぐに終了してしまい、開いた口が塞がらなかった。
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