わかれ①

キリンが起こし、オオセンザンコウさんが解決した事件の後、私達はサーベルタイガーさんの作った朝ごはんを食べていた。

「はかせ〜、私にも朝ごはんちょうだいよ〜。」

「お前は我々をお騒がせさせすぎたです。その罰なのですよ。」

「そんなあ〜。」

キリンは今にも泣き出しそうな声で言った。キリンは私達を不用意に困らせたということで、朝ごはんを抜きにされてしまっていた。

「博士さん、流石にキリンがちょっとかわいそうなので、朝ごはんあげてはダメでしょうか?」

私が小声で提案した。すると、

「全く、お前はとんだお人好しなのです。…仕方がないですね。シマに免じてあげることにしましょう。」

博士さんは案外簡単に乗ってくれた。

「と言いつつも、博士は最初から朝ごはんをあげるたもりだったのですよ。」

「助手、余計なことは言わなくていいのです。さて、直接的にあいつに渡すのは気が引けるのです。ということで、キリンに朝ごはんをあげたいと思っているお人好しどもはこうするのですよ。」

博士さんはみんなを集めてある案を告げた。



「うう〜…お腹空いたよお…こんなんなら、昨日の夜、もっと食べておくんだった…」

キリンはしおらしく言っていた。と、その時、

「ふう、今日の朝ごはんは少し量が多かったのです。」

「もう満腹なのです。残りが出てしまったのです。」

「サーベルタイガー君、余りが出ないように作らなければもったいないでありましょう。」

「申し訳ないわ、みんなお腹空いてるんじゃないかと思ってたくさん作りすぎたわ。」

「では、この余り物はどうしましょうか。」

「誰も食べられないんじゃあ、捨てるしかないんじゃないかしら?ウフフ。」

「食べ物を捨てるのはよくないですよ!シマちゃん、あなたはどう思う?」

「私も捨てるのはもったいないと思うし、ぜひ誰かに食べてもらいたいな〜。」

棒読みな会話が飛び交った。キリンはその会話に少し反応していたようだった。その後、

「まあ、ここに置いておけば、誰か腹を空かせたフレンズが勝手に食べていくでしょう。」

「この料理のおいしさを他のフレンズにも教えてやるのです。我々は優しいので。」

博士さんと助手さんは、そう言ってとしょかんに戻っていった。私達も、ごちそうさまを言って博士さんたちに続いてとしょかんに戻っていった。

すると、外ですごい勢いで朝ごはんの余りを食べているフレンズの気配がした。よほどお腹を空かせているフレンズだったのだろう。

「腹を空かせた哀れなフレンズに食べ物を恵んでやりましょう大作戦、成功ですね。」

「やりましたね、博士。」

なんだかんだ言っても、フレンズさん達はみんな温かい心を持っているんだなと、改めて思った。




「さて、だいぶ明るくなってきましたし、私は早速、調査に出かけてこようと思います。」

「頼んだですよ、ヘビクイワシ。」

しばらくして、ヘビクイワシさんはどこかに出かけようとしていた。

「調査って、何をですか?」

私は少し気になって聞いてみた。

「シマ君、君が創り出したみずべちほーの大木、それを調査しに行くのでありましょう。」

ヘビクイワシさんはすぐに答えた。

「シマ、お前のその力は実に興味深いのです。ということで、詳しく調査しようと思ったのです。」

「実際にここで生やしてもらうのが手っ取り早いですが、どうやら負担が大きすぎるようなので、やめておくです。安全第一なのですよ。」

博士さんと助手さんも続いて言った。

「なるほど…私自身もよくわからないことなので、何かわかったらぜひ教えてくださいね!よろしくお願いします!」

「わかりました。それでは、またお会いしましょう。」

そう言って、ヘビクイワシさんはみずべちほーの方へと飛んで行った。




「それでは、私もへいげんちほーへ向かおうと思います。」

しばらくして、オオセンザンコウさんが言った。

「へいげんちほー、ですか?」

「はい、どうやら、私の探していたフレンズが、そこにいるらしいのです。彼女を見つけて、私は仕事に取り掛かろうと思っています。」

私が聞くと、オオセンザンコウさんはそう答えた。確かに、みずべちほーを出発するとき、フレンズさんを探していると言っていたのを思い出した。

「へいげんちほーって言うと、としょかんからはすぐ近くね。たしか、色々なフレンズが集まってみんなで遊んでるって聞いたわ。」

いつのまにかいたキリンがそう言った。

「そうです。その集団の中にどうやら、私の探しているフレンズもいるようなのです。」

「なるほど…」

私はこれからどうしようか、少し考えた。



「さて、それでは、旅の目的を果たしたお前はどうするのですか。」

博士さんが私に問いかけた。

「今まで会ったみんなに自分がなんのフレンズかわかったことを伝えに行きたいけど…よし、決めました!私、オオセンザンコウさんに着いて行きたいと思います。オオセンザンコウさん、大丈夫ですか?」

私はまた少し考えて、そう言った。

「私は別に構いませんが、なぜですか?」

オオセンザンコウさんは私に問いかけた。

「なんていうか、もう少し旅を続けたいなって思ったのと、もっとたくさんお友達を増やしたいなっていう感じです。へいげんちほーはしんりんちほーともみずべちほーともそう遠くないようですし。」

私がそう答えると、

「そうと決まれば、私もついて行くわ!!」

キリンもついてきてくれるようだった。

「ありがとう、キリン!!ちなみに、ゴマバラワシさんや、ブームスラングは?」

私は、キリンにお礼を言った後に、二人に尋ねた。

「私は…ちょっと用事ができちゃったのよね。だから、残念だけど、ここで一旦お別れよ。」

まず、ゴマバラワシさんが答えた。

「用事…?何やら怪しいわね…まあ、詮索はしないでおいてあげるわ。」

「お別れ…ですか。寂しくなりますね。」

「私がいなくなって寂しいだなんて、ちょっと嬉しいこと言ってくれるわね。ウフフ。まあ、その用事が済んだら、すぐにへいげんに向かうわ。だから、『一旦』お別れよ。」

ゴマバラワシさんは、笑みを浮かべてそう言った。そして、

「さて、私が先に話しちゃったから、ブームスラング、次は貴方よ。」

ゴマバラワシさんは、ブームスラングに話を振った。

「私も、一旦お別れかな。」

ブームスラングとも一旦お別れのようだ。

「あ!でも、私もすぐにへいげんに向かうよ!私は、としょかんでヘビクイワシさんの帰りを待って、何かわかったことがあったら伝えに行くよ。」

ブームスラングは続けて言った。

「それは助かるよ。ありがとう。でも、やっぱり一旦でもお別れは寂しいね。」

「うん。でも、大丈夫!お別れしてる間も、みんなとの楽しい思い出を思い出せば寂しくなくなるからね!!」

「そうね。私たちは記憶の中でいつまでも繋がっていられるわね!!」

「キリンもたまにはいいこと言うじゃない。」

「たまにってなによ、ゴマバラワシ!!」

としょかんの中に楽しい笑い声が響き渡った。この楽しい時が、いつまでも続いてくれたらいいなと思った。




「ゴマバラワシさん、ブームスラング、必ずすぐに来てね!」

私は二人に呼びかけた。

「もちろんよ。そういえば、へいげんもスカイダイビングに最適なところよね。次会った時は、ぜひやってもらおうかしら。ウフフ。」

ゴマバラワシさんの応答に私は苦笑いを返した。

「私もすぐに行くから、待っててね!!」

「うん、楽しみに待ってるよ!!」

私はブームスラングと握手をした。

「それと、博士さんと助手さん、サーベルタイガーさんもお世話になりました。」

私は三人にお辞儀をした。

「私は特に何かしたわけでもないけれど、また料理が食べたくなったら、いつでも来てね。」

「こら、サーベルタイガー。お前の料理はそう簡単に振る舞うものではないのですよ。ま、まあ、またなにかわからないことがあって、としょかんに来た時くらいは振舞ってやってもいいです。」

「博士は、なかなか興味深いお前を割と気に入っているのです。わからないことがなくても、会いに来てくれると、きっと博士も喜ぶですよ。」

「助手、余計なことは言わなくていいのです。」

私はクスクスと少しだけ笑って、もう一度皆さんにお辞儀をした。



「さあ、それでは、そろそろへいげんちほーへ行きましょうか。」

オオセンザンコウさんが私達に言い、歩き始めた。

「そうですね、行きましょう!」

「それじゃあ、みんな、またね〜!!」

キリンがみんなに手を振って言った。私も同じように手を振った。みんなが手を振り返してくれたのをしばらく見て、私達も歩き始めて、としょかんを後にした。




私の旅は、まだまだ続く。






「そういえば、へいげんには『あいつ』がいますが、大丈夫ですかね、博士。」

「そういえば、そうでしたね、助手。まあ、特に気にすることもないです。シマなら大丈夫です。」

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