ばんがいへん②

〜スカイダイビング〜





「ねえ、随分と高くまで来たわよ?もうシマちゃんも見えなくなりそうだし、これくらいでいいんじゃないかしら?」


「あら、この程度の高さじゃ全然楽しめないわよ。もっと、高度を上げなくちゃね。」


「そ、そんなぁ…」




「も、もう十分なんじゃないかしら?」


「うーん、まだまだ高く行けるけれど…まあ、最初だし、これくらいにしておこうかしらね。」


「ふう…よかった…で、スカイダイビングって、ここからどうすればいいの?」


「そうね、説明しておこうかしら。スカイダイビングはね、ここから…」


「ここから…?」


「こうするのよ。ウフフ。」


「なるほどね…って、えっ?」




「いやあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「ああ…!その顔…!いいわよ、最高ね…!!」




「………」


「あら、悟りでも開いたかのように静かになっちゃったわね。これはこれで面白いかもしれないわね。ウフフ。」




「…はっ!!ここはどこ…って、地面が!!地面が!!ぶつかる!!!!」


「あら、やっぱりあの程度の高さじゃあっという間ね。そろそろ、見てるだけじゃなくて、支えに入ろうかしらね。…よっと。」


「ぶつかる!!ぶつかる!!!うわあああああああぁぁぁぁ!!!!」




「はい、無事着陸よ。お疲れ様。ウフフ。」


「はあ…はあ…はあ…こ、怖かった…けど…案外癖になるかも…」






〜みずべちほー三日目の夜〜





「シマちゃん、あっという間に寝ちゃったね。」


「今日の疲れに加えて、昨日からの疲れもまだ完全に取れていないでしょうしね。」


「まあ、シマはよく頑張ってくれたしな。フレンズになって間もないというのに、すごいよ。」


「あなた、この子シマのことになると、すごい積極的になるわよね。あなた、やっぱり、この子シマを…」


「いや!違う!!私はそんなんじゃないからな!!」


「あら?私はまだ何も言ってないんだけど、何がそうじゃないのかしら?ウフフ。」


「ッ……!!」


「ちょ、ちょっとゴマバラワシ!イッカクをからかうのもほどほどに…むぐっ!ちょっと!何するの!!」


「まあ、よく聞きなさい。普段はクールであろうとするイッカクが、あれだけ慌てているのよ。こういうのって、最高じゃないかしら?」


「な、何を言ってるの……あ、でも、確かに少し面白いかもしれないわね…」


「そうでしょ?ちょっと見てなさいな。ちなみに、キリン、あなたも加勢してもいいのよ?」


「わ、わかったわ…」




「二人で何を話しているんだ…?」


「何でもないのよ。で、何の話だったかしら?明日のデートの話?」


「なっ…!!違う!!シマの、木を生やす力を制御する特訓をしてやろうと思ってだな…」


「手取り足取り?」


「なんで変な方向に持って行こうとするんだ…」


「それなら、明日は私達はついていかないようにしましょう。ね、ゴマバラワシ。」


「そうね。二人だけで過ごしてもらった方がいいわね。ウフフ。」


「キリン、お前まで…セ、センザンコウ…二人がいじめてくる…」


「よしよし、大丈夫ですよ。」


「うぅ…」




「確かに結構面白いかもしれないわね。」


「ようやくわかってくれたようね。ところで、センザンコウなんだけど、真っ先に注意してくると思っていたけど、全く注意しなかったなんて、想定外だったわ。」


「はっ!!もしかして、センザンコウも少し楽しんでいたのかも…?」


「まさか、そんなことはないわよ。ウフフ。」


「そ、そうよね。」






〜みずべちほー四日目の夜〜





「今日もあっという間に寝ちゃったね。」


「まあ、あんなことやこんなことの結果の疲れもあるでしょうけど、この子、寝るのが普通に速いんじゃないかしら?」


「だから、言い方を…」


「まあまあ、イッカクさん、落ち着いてください。ところで、特訓の方はどうでしたか?」


「あ、ああ、木を生やす力の特訓は結局やらなかった。サンドスター消費量があまりに激しくて、正直、使い物にならないようなものだったし、だからと言って、消費量を抑えても意味のないような小さな木が生える程度だと思ったからだ。」


「なるほどね。たしかに、あの後、シマちゃんはクタクタになってたものね。」


「だけど、帰ってくるのが遅かったっていうのは、やっぱり…ウフフ。」


「あああぁぁっ!!だから違うって!!」


「あれ?昨日と同じで、ゴマバラワシはまだ何も言ってなかったけど、何が違うの?」


「キリンお前…!代わりに、自分の身を守れるために、身体能力の強化の特訓をしてやったんだよ。だから、今日もシマは疲れて速く寝たんだよ。」


「身体能力の強化ねぇ…どんなことをしたかは、あえて聞かないでおいてあげるわ。ウフフ。」


「もうからかうのはやめてくれよ…私も疲れたし、なんだかつらいからもう寝るよ…」


「おやすみなさーい。」


「ああ、おやすみ。」




「さて、からかう相手もいなくなっちゃったわけだし、私達も寝ようかしらね。」


「そうしましょう。明日からも旅がまた始まります。万全の状態でいられるようにしておきましょう。」


「そうね。ところで、センザンコウ。あなた、イッカクをからかってるときに、すぐに注意をしてくると思っていたのに、昨日も今日も全く注意してこなかったのは、ちょっと驚きだったわ。」


「もしかして、貴方も楽しんでいたとか…?なんてね。ウフフ。」


「楽しむ?何のことでしょうか。それでは、お休みなさい。」


「お、おやすみ。」




「ここまで綺麗に話をなかったことにされるとは…やっぱり、なにか怪しいわね…」


「まあ、詮索しないほうがいいかもしれないわね。ウフフ。」


「そ、それもそれで怖いわ…」

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