しゅっぱつ
小屋に戻ると、キリンとゴマバラワシさん、そして、朝には見かけなかったオオセンザンコウさんがいた。
「二人ともお帰り。どう?楽しかった?」
「あのなぁ…お前たちは勝手に勘違いしてるだけでな…」
「うん!疲れたけど、すっごい楽しかったよ!!」
キリンの問いかけに、私は答えた。すると、キリンとゴマバラワシさんは顔を見合わせてなにやら二人で笑っているようだった。
キリンが最近、ゴマバラワシさんっぽくなってきた気がする…
私は心の中でそう思った。
私達が帰ってから夜ごはんを食べて、少し落ち着いた時、キリンがふと、
「そうだったわ、シマちゃん。話すことが二つあるの。」
と、言った。
「話すことって?」
「まず一つ、
「ほら、
キリンに続いて、ゴマバラワシさんも言った。
「確かに、ライブが終わったらすぐ他のちほーに行くとは聞いていたけど、なかなか早かったな。」
「そうですね。もっとたくさんお話ししたかったけど、それじゃあ仕方ないね。」
イッカクさんに同調して私は言った。
「それと、もう一つ、としょかんに向かう私達に、センザンコウが同行したいんだって。」
キリンはそう言うと、オオセンザンコウさんの方を向いて言った。
「はい、キリンさんの言った通りです。特に急ぎの用事でもないんですが、先ほど、仕事の依頼を受けたんです。そのために、私もあるフレンズを探すためにとしょかんに向かおうかと思いまして。ぜひお願いします。」
オオセンザンコウさんはそう言って頭を下げた。
「もちろん、全然構いませんよ!むしろ、一緒に旅するフレンズが増えると楽しいので、こちらこそお願いします!!」
私もそう言って、頭を下げた。
「じゃあ決まりね。センザンコウ、よろしく!」
「はい、短い間かもしれませんが、よろしくお願いします。」
こうして、旅の仲間が増えた。
「で、一つ私から提案があるんだけど、いいかしら?」
ゴマバラワシさんがふと口を開いた。そして、
「明日、
と、続けた。
「私はそれでいいと思うわ。思い残すことはないからね。」
「確かに、早いに越したことはないですからね。私としても、都合がいいのであれば、なるべく早く出発できるとありがたいです。」
キリンとオオセンザンコウさんはゴマバラワシさんの意見に賛成していた。
「シマ、お前はどうだ?」
イッカクさんが私に問いかけた。
「私も…明日、出発しようかなと思います。みずべちほーも十分楽しむことができましたし。」
私がそう答えると、
「そうか…」
と、イッカクさんは、少しだけ寂しそうに言った。
「あら?そんなにシマと離れるのが嫌ならあなたも来たらどうかしら?」
「ちがっ…そうじゃ…!そ、そもそも私はこのちほーを守らなければならないし、いつでも水のあるここから離れるのはちょっとだな…」
ニヤニヤしながら言うゴマバラワシさんに、イッカクさんは顔を赤くして懸命に言っていた。
「ウフフ、いい顔いただきました。ほらシマ、あなたイッカクとあんなことやこんなことをしたわけだから、今日も疲れてるでしょ?明日からまた旅をするわけだから、早く寝たほうがいいわよ。」
「言い方をなんとかしてくれ…」
ゴマバラワシさんがそう言うと、イッカクさんも顔を赤くしたままそう言った。
「そうですね。たくさん動いたからやっぱり疲れてますね。それじゃあ、みなさん、お休みなさ〜い。」
私はそう言って、布団に横になった。木のサンドスターのおかげで、疲れは取れていたように思えても、体の奥底では疲れは溜まっていたらしく、私はすぐに眠りについていた。
翌日。としょかんへ出発する日が来た。目覚めはいいし、疲れも取れた。外に出ると、気持ちのいい日差しが私を照らしていた。外には何かを運んでいるキリンとゴマバラワシさんがいた。
「あ、おはようシマちゃん。早速で悪いんだけど、
キリンは、私を見かけるとそう言った。
「もちろんだよ!」
私はそう言って、張り切って
「はい、ジャガランディ。これまとめて向こうの方にお願いね。」
「ああ、わかった。」
小屋に入ると、イッカクさんとオオセンザンコウさんとマーゲイさん、そして初めて見るフレンズさんがいた。一人は灰色のネコさんのような方で、もう一人は私と少し似たような方だった。
「あ、あの、すいません。キリンに言われて手伝いにきました。それと、失礼ですが、あなた達は…?」
私が恐る恐る尋ねた。
「あら、手伝いにきてくれたの?ありがたいわ。ああ、私はセーブルアンテロープのルプよ。そして、あの子がジャガランディ。私達は運び屋の仕事をしていて、
「あ、私はシマといいます。つい最近うまれたばかりで、なんのフレンズか知るためにとしょかんに向かっているところなんです。」
私達はそれぞれ自己紹介をした。
「そう、早くなんのフレンズかわかるといいわね!じゃあ、早速だけど、ジャガランディの方の荷物をまとめるのを手伝ってあげてくれないかしら。」
「わかりました!」
私はルプさんに指示された通り、ジャガランディさんの方に向かった。
「ルプとの話は聞こえていたよ。ジャガランディだ。よろしく。」
「あ、シマです。よろしくお願いします。」
また軽く自己紹介をして、二人で荷物をまとめていった。
その後も、たくさんの荷物をまとめていって、小屋の中は綺麗になった。ステージの方から荷物を運んできていたキリンとゴマバラワシさん、ステージの方で次のライブに向けて練習をしていた
「みんな、お疲れ様。おかげで早くまとめ終えられたわ。ありがとうね。さあ、ジャガランディ、早速運び始めないといけないわ。行くわよ。」
「わかった。みんな手伝ってくれてありがとうな。助かった。」
ルプさんとジャガランディさんは、既にまとめ終わった荷物を運ぶ準備をしていた。
「荷物、お願いしますね!」
マーゲイさんがそう言い、それに合わせて
「任せて。必ず無事に目的地まで届けてあげるから。それじゃあ、みんな、また会う機会があるといいわね!」
ルプさんはそう言って、ジャガランディさんと共に荷物を運んで行ってしまった。
「さて、私達も軽い荷物を持って、次のライブの地、ゆきやまちほーに向かうとしましょう!」
マーゲイさんはそう言うと、
「みんな本当にありがとう!みんなのおかげで素敵なライブができたわ!」
「お前らの熱い心ならどんなことも乗り越えられる!ロックにいってくれよな!!」
「みんなといられて楽しかったよ〜。またたくさんおはなししようね。」
「私のマイク…一時はどうなるかと思いましたが、本当にありがとうございました!!この恩は絶対に忘れません!!」
「みんなといる時間はとても楽しかったよ。またぜひライブに遊びに来てほしいよ。」
「本当にお世話になりました!みなさんのおかげでライブも成功できて…!この感謝の気持ちは言葉では言い表せないです…!!またぜひライブに遊びに来てくださいね!!それでは、私達はゆきやまちほーに向かいます!!」
マーゲイさんが一言ずつ残して、みずべちほーから出発していった。私達は六人の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
「さっ、やることはすべて終わったし、私達も出発しましょうか!」
六人を見送り終えたあと、キリンが言った。
「そうだね…」
私の声は少し声の調子が下がっていた。やっぱり、イッカクさんと別れるのは寂しい。
「シマ!!」
すると、イッカクさんの声が聞こえた。そして、
「私はこのみずべちほーをずっと守っているよ。だから、いつでも会いに来てくれ!そうだな…としょかんで何のフレンズかわかったら伝えに来てほしいな。約束だよ?」
私の方に来て私の手を握ってそう続けた。
「…はいっ!!」
私は寂しさを振り払って、元気に返事をした。
「イッカク、世話になったわ。イッカクの強い思いがあれば、みずべちほーも守っていけるわ!頑張ってね!!」
「私もお世話になりました。また何か機会があったら一緒にお仕事、よろしくお願いします。」
「また会いに来てあげるわね。あなたのいい顔を見に…ウフフ。」
キリン達もイッカクさんに一言ずつ言葉を伝えた。ゴマバラワシさんの言葉には、イッカクさんは苦笑いをしていた。
「イッカクさんのおかげで、私は心も体も強くなれました!ほんっとうにありがとうございました!!何のフレンズかわかったら、また来ますね!」
私もイッカクさんに感謝の気持ちを伝えた。
「ああ、楽しみにしてるよ。」
イッカクさんは笑顔で答えた。
「それじゃあ…イッカクさん、また会いましょう!!」
「ああ、またな!!」
私達は、イッカクさんと別れて、としょかんへと向かって行った。心身ともに強くなることのできた、このみずべちほーを後にして。
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