おでかけ

「いや〜、楽しかったね!!」

「そうでしょ?やっぱり、PPPぺぱぷはいいわね!」

「可愛い子達の輝いている顔を近くで見られて大満足ね…ウフフ…」

「たまにはこういう風に楽しむのも、なかなか悪くないな。」

「そうですね。私も思わずのめりこんでしまいました。」

ライブが終わり、ほとんどのフレンズさん達が帰って行った中、私達は素敵なライブの余韻に浸っていた。ついさっきまで熱気に満ちていた会場にも、今は夜の冷たい風がかすかに吹いていて気持ちよかった。


しばらくすると、PPPぺぱぷの五人と、マーゲイさんが私達のところにやってきた。

「みなさん、お疲れ様です!!本当に楽しかったです!!それと、最後に歓迎してくれるなんて…!本当に感動しました!!ありがとうございます!!」

「喜んでもらえたようで何よりだわ。私達も、あなた達の楽しそうにしている姿を見て、さらに頑張ることができたわ。ありがとう!!」

私が真っ先に言うと、プリンセスさんが五人を代表して言った。

その後もみんなで色々話し合っていると、

「はいはい!みなさんお疲れでしょうし、このままだと汗が冷えて風邪を引いちゃいますよ。今日はこのくらいにして、たっぷり休みましょう!」

マーゲイさんが言った。確かに、ライブで温まった体は、夜の風に吹かれて冷え始めていた。

「そうだな。今日はもう休んだほうがいいかもしれない。お話しするなら明日でも大丈夫だからね。みんな、帰ろう。」

コウテイさんがそう言って、歩き始めた。私はまたキリンにおんぶしてもらい、そのままみなさんについていった。PPPぺぱぷの五人の小屋につくと、私達はおやすみを言い、私達の小屋の方に向かった。


「ふう〜。たくさん仕事してたくさん楽しんだからクタクタね。最近、だいぶ長く寝てる気がするけど、今夜も結構寝られそうな気がするわ。」

小屋に入ってすぐに、布団に飛び込んだキリンが言った。

「キリンはずっと私もおんぶしててくれたもんね。ありがとう。」

「それくらいはおかまいなしよ!その気になればシマちゃんを二人、いや三人おんぶしてみせるよ!!」

キリンが自信満々にそう言うと、私達に笑いが起きた。キリンも少しして、周りを見た後、笑い始めた。

笑いもおさまってきた時、

「ところで、三人はいつとしょかんに向けて出発するんだ?」

と、イッカクさんが聞いた。そういえば、私達はとしょかんに向かっていたんだと、当初の目的を思い出した。

「シマちゃん、どうする?私はいつでもいいよ。」

「私もキリンと同意見よ。」

キリンとゴマバラワシさんは、そう言った。

「私も…ゆっくりでいいかな。早く自分が何なのか知りたいのもあるけど、なんていうか、その時にしかない楽しい時間を大事にしたいの。」

私は、考えながら言った。

「そうか…それじゃあ、シマ。よかったら、明日少し付き合ってくれないか?行きたいところがあるんだ。」

私の答えを聞くやいなや、イッカクさんがそう言った。

「私は大丈夫ですよ。なにをするんですか?」

「もしかして、デートかなにかだったりして。なんてね、ウフフ。」

「なっ…!!違う!そうじゃない!!ちょっとそこで確かめたいことと、やりたいことがあるんだ。それにはシマが必要なのであって…」

ゴマバラワシさんの言葉に、イッカクさんは顔を赤くして必死に答えた。よく意味はわからなかったけれど、きっとイッカクさんは何か恥ずかしいことを言われたんじゃないかと思った。

「じゃあ、明日のおでかけのために今日はしっかり休んでおかないといけませんね!みなさん、おやすみなさーい。」

私は万全の状態で明日に臨めるように、もう寝ることにした。

「おやすみ、シマちゃん。」

キリンがそう言うと、私は布団に横になって目を閉じた。


明日は何をするんだろう。楽しみだな。


そう思いながら、私は眠りについた。






朝になった。私は目を覚ますと、体を伸ばした。

「あ、おはよう、シマちゃん。体はどう?動ける?」

「おはよう、キリン。どうだろ、ちゃんと動けるかな…よっと、大丈夫みたい!ちゃんといつも通り動けるよ!」

私は立ってから、キリンに体を動かしながら言った。

「よかったわね!じゃあ、朝ごはんたべましょ。イッカクが待ってるわよ。」

そう言って、キリンは私にじゃぱりまんを差し出した。

「キリン、ありがとう、いただきまーす。…ごちそうさま!イッカクさんはどこにいるの?」

私はじゃぱりまんをペロリとたいらげ、キリンに聞いた。

「食べるの早いわね…まあ、いいわ、イッカクなら外でスピアーを振り回してるわ。」

「わかった!ありがとう!」

私はそう言って、小屋を出て行った。


外には、スピアーを振り回してるイッカクさんと、それを見物しているゴマバラワシさんがいた。

「おはよう、シマ。体の方は大丈夫か?」

「おはようございます。しっかり休んだらちゃんと動けるようになりましたよ!」

イッカクさんが聞いてきたので、それに私は答えた。

「それはよかったよ。じゃあ、早速だけど、もうでかけようか。ゴマバラワシも来るか?」

「いえ、私はちょっといい天気だからスカイダイビングでもしていようかなーって思ってたのよねー。ちなみに、キリンはどうするのかしら?」

ゴマバラワシさんは気持ちのこもってないような言い方でそう言った。

「わ、私も遠慮しとこうかなー。ぺぱぷのみんなとお話ししたいことがたくさんあるからねー。二人で楽しんできてねー。」

私の後に小屋から出てきていたキリンも、ゴマバラワシさんと同じような感じでそう言った。

「二人とも、喋り方がなんか変だけど、どうしたの?」

不審に思った私がそう言うと、

「「べつにー。」」

と、二人同時に少しニヤニヤしながら言った。やっぱり怪しい気はするけれど、私は気にしないことにした。

「この二人…昨日の夜、ちゃんと目的は伝えておいたのに、まだ疑っているな…?ま、まあいい。じゃあシマ、行こう。」

「はい!キリン、ゴマバラワシさん、行ってきまーす!」

私は二人にそう言って、歩き出したイッカクさんについていった。

「「いってらっしゃーい。楽しんできてねー。」」

二人の声が後ろから聞こえてきた。イッカクさんはなにやら拳を握りしめてプルプル震えていたけれど、それがなにかはよくわからなかった。



歩き始めてから少しした時、

「イッカクさん、ちなみに何をしに向かっているんですか?」

やっぱり、目的が気になっていた私はイッカクさんに聞いた。

「そうだな、じゃあとりあえず、第一の目的は言っておこうか。もう一つの目的は、それの結果次第だからな。」

イッカクさんはそう答え、

「シマ、イカリアンを倒した時、大きな木を出したそうだな。」

続けて私に質問をしてきた。

「あ、はい。イッカクさんの言われた通りに出せた武器で、なんかよくわかりませんが、木を生やすことができました。」

「なるほどな…そう、目的っていうのは、その木を見に行くことなんだ。ちょっと気になってね。」

イッカクさんはそう言った。

「は、はあ。」

目的はわかっても、目的の意図がわからない私は、変な返事をした。その後も私達は歩き続けた。


「ここだな…そして、あれがシマが出した木だな?」

しばらくして、私達は、イカリアンと戦った場所、つまり、その木が生えているところに辿り着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る