ぺぱぷらいぶ
「本当にすごい数のフレンズだね。先が見えないよ。」
たくさんのフレンズの中を進みながら私は言った。
「そうね…それにしても、イッカクやセンザンコウはどこかしら…」
キリンが続けて言う。すると、ちょうどその時、空から二人を探していたゴマバラワシさんが、
「あっちの方に二人ともいるわ。」
と、指差しながら言った。私達はその方向に向かって行った。
「すいません、これより先は開場まで関係者以外立ち入り禁止です…って、みなさんでしたか。どうしましたか?体の方は大丈夫なんですか?」
私達を見たオオセンザンコウさんが言った。
「シマちゃんは、まだ少しフラフラしてるわ。そうそう、私達は、あなた達二人だけじゃ整備も大変だろうからって、手伝いにきたのよ。」
キリンが答えると、
「そうか、ありがとう。手伝いに関しては大丈夫だよ。…と、言いたいところだけど、センザンコウもだいぶフラフラしていて、近くにいないといけないから、あまり広い範囲を整備できなくて、少し大変だったんだ。手伝ってもらえるととてもありがたいよ。」
イッカクさんがそう言った。
その後、私とキリン、ゴマバラワシさんとで二手に分かれてフレンズの整備を始めた。特にこれといって何かするわけでもなかったけれど、とにかくフレンズさんが多くて、その場にいるだけでクラクラしてきそうになった。
しばらくすると、他の場所を整備していたゴマバラワシさんが私達のところへ飛んできた。
「マーゲイから伝言よ。まず、開場したから、会場にフレンズ達を順番に入れて行ってほしいって。それともう一つ、
マーゲイさんからの伝言を私達に伝えると、ゴマバラワシさんは元来た方へ戻って行った。
「ようやく、仕事らしい仕事をするみたいね。シマちゃん、頑張ろう!」
「おー!」
私達は改めて気を引き締めて、会場にフレンズさん達を入れ始めた。
「ふう、私たちの周りのフレンズはみんな入場したみたいね。小屋の方に戻ろっか。」
「そうだね。みんなもう既に集まってるかもしれないしね。」
日が傾き始めた頃、たくさんのフレンズさん達を入場させた私達は、マーゲイさんからの伝言どおり、小屋の方に向かって行った。
小屋の中には、既にゴマバラワシさん、イッカクさん、オオセンザンコウさんが待っていた。
「みんな、お疲れ〜。あれ、マーゲイは?」
キリンが聞くと、
「おそらく、マネージャーとして、
オオセンザンコウさんが答えた。と、その時、
「いやー、みなさんお疲れ様です!スムーズに入場させることができて、とても良かったです!さあさあ、特別席まで案内しますので、ついてきてください!」
マーゲイさんが小屋の中にいる私達に呼びかけた。私達は小屋の外に出て、マーゲイさんについていった。
会場の中に入ると、これでもかという数のフレンズさんがいた。私達は、そのフレンズさん達の一番前を通り、どんどん中の方に進んでいった。
「さあ、どうぞ!こちら、最前列ど真ん中の席になります!さて、私は、
席にたどり着くと、マーゲイさんはそう言って、ステージの裏の方に行った。
「最前列って、相当すごいんじゃ…」
「そうよ!!滅多に行けるものじゃないわ!!よかったわね、シマちゃん!」
私の言葉に対して、キリンが即座に言葉を発した。特別な席にいるということや、周りのフレンズさん達の熱気などによって、私の気持ちはどんどんたかぶってきていた。
席に着いてからしばらくすると、日は沈み、会場全体を明るい照明が照らし始めた。
「楽しみすぎて、待ちきれないよ〜。」
ライブを待ちきれなくなってきた私はそう言った。
「まあまあ、そんなに慌てちゃダメだよ、シマちゃん。きっと、もうじき始まるわ。」
キリンが、私を落ち着かせるように言った。
その時、ステージを照らしていた照明が消えた。と、同時に後ろのたくさんのフレンズさん達から、歓声が聞こえてきた。私もそれに釣られて、テンションが上がり、自然と声をあげていた。
「シマちゃん、始まるわよ!たくさん楽しもうね!!」
「うん!!」
私と同じように、テンションが上がったキリンが、興奮した声で私に言った。私も興奮気味に返事をした。
すると、ステージの照明がまたつき、それと同時に会場の一番後ろまで届きそうな大きな音楽が流れてきた。音楽に合わせて後ろから聞こえてくる手拍子。私もそれに合わせて手を叩き始めた。周りを見ると、キリンはもちろん、ゴマバラワシさんや、いつもはクールなイッカクさんやオオセンザンコウさんも手を叩いて、楽しそうにしていた。
音楽が流れ始めてから少しして、誰かがステージに現れたのが見えた。照明がまぶしくて、誰だかはよくはわからなかった。その後も音楽に合わせてまた一人、また一人…そうして、五人が揃い、横に一列に並んだ。と、すごくいいタイミングで、音楽が止まった。そして…
「待たせたわね!
プリンセスさんの声が会場中に響き渡り、音楽が流れ始めて、五人は踊り、歌い始めた。それは、練習見学の時に軽く聞いていた、「大空ドリーマー」という曲だった。知っている曲で、私はとても楽しんだ。
フレンズさん達の歓声、様々な色で光る照明、素敵な音楽、五人の可愛らしい踊り、会場中に響き渡る綺麗な声。それらが全て合わさり、素晴らしい世界が会場内にうまれていた。そんな世界のおかげで、練習見学の時には見られなくて、知らない曲でも、私は大いに楽しむことができた。
素晴らしいライブはどんどん進んでいき、ついに最後の一曲を終えた五人は、盛大な拍手を受けて、会場から去っていった。
「アンコール!アンコール!!」
後ろの方からそういった声が聞こえてきた。
「シマちゃん、これは最後にもう一曲お願いっていうコールよ。思いっきり声を出すのよ!」
キリンは私にそう言うと、キリンも大きな声でアンコールを言い始めた。まだまだライブを楽しみたい私も、負けじと声を出した。
アンコールがしばらく続くと、五人がまたステージに現れた。と、同時に大きな歓声が会場に響き渡った。
「お前らの熱いロックな気持ち…伝わったぜ!!アンコールありがと〜〜う!!!」
イワビーさんがマイク越しに叫ぶと、さらに大きな歓声が響いた。
「本当にみんなありがとう!!まだまだライブは続くから、最後までよろしくね!!」
プリンセスさんもマイク越しに言った。
「さて、最後の曲の前に、少し話をさせてもらうよ。」
「そうね。この楽しいライブができていなかったかもしれないような出来事だったものね。」
「実は、このみずべちほーには、つい最近まで、たくさんのセルリアンがいたんです。」
「イカリアン!!」
「フルル〜!それだけ言ってもわからないだろ!!」
「あはは…まあ、そのセルリアン達の中でも一際大きなイカみたいなセルリアン、通称イカリアンがいたのよ。」
「あれは恐ろしかった。今でも思い出すとーー」
「そうだな…って、おい!!コウテイ、自分で言っておいて気絶するな〜!!!」
イワビーさんがツッコミ、会場に笑いが巻き起こった。その後も、イワビーさんは、コウテイさんを起こそうと体を揺すり続けていた。
「ま、まあ、話は続けましょう。そのイカリアンに、私のこの、大切なマイクが奪われてしまったんです。」
「いつも大切に持ってるよね。あの時のジェーンは、すごく悲しそうだったよ〜。」
「はい、とても悲しかったです。そんな時、たまたまここに訪れたフレンズさん達と、みずべちほーを警備していたフレンズさん達が立ち上がったんです。」
「そのフレンズ達は、みずべちほーの平和のためにボロボロになっても戦い続け、ついにイカリアンを倒したのよ。ジェーンのマイクも取り返せた。そのおかげで、今、こんなに楽しい時を過ごせているのよ。」
「感謝してもしきれないよな!あいつらのロックな魂には、シビれたぜ!!」
「かっこいい〜。」
私達のことを言っているんだとわかると、私の体は縮こまり、顔は赤くなっている気がした。
「そのフレンズさん達の中には、ついこの間の噴火で生まれたばかりの、まだ自分がなんのフレンズかもわからないフレンズさんもいたんですよ。」
「え?シマちゃんって、なんのフレンズかわかってないの?」
フルルさんが天然っぷりを発揮して言うと、会場が一瞬静かになった。そしてすぐに、笑いが少しずつ起こっていった。
「フルル…お前なぁ…」
「ふふふ、まあフルルさんらしいですよね。」
その後、会場から、フルルさんを呼ぶ声がたくさん聞こえてきた。当の本人は、まだ何が何だかわかっていない様子だった。
「まあいい。私達は、その子に感謝と、このジャパリパークにうまれたことへの歓迎の思いを込めて、最後に一曲、歌わせてもらうよ。」
「おっ、コウテイ、やっと起きたな?」
「
「みんなもいっしょにうたおう!」
「それじゃあ、
「ようこそジャパリパークへ!!!」
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