げきとう①

イカリアンは、マーゲイさんの声マネに誘き出されて、陸にあがってきた。それと同時に、何体かの中型セルリアンも出てきた。

「まずは、周りの中型セルリアンから倒しましょう。力を分散させるために、二手に分かれましょう。私とシマさん、キリンさんとゴマバラワシさんとでいきましょう。マーゲイさんは遠くに離れていてください。それと、イカリアンの攻撃範囲から離れて行動するように!!」

オオセンザンコウさんが指令を出し、私達は二手に分かれた。




私達の方に四体、キリン達の方に五体の中型セルリアンが分かれた。

「私がセルリアンを攻撃しつつ引きつけるので、シマさんが石を狙ってください。できますか?」

「了解です!必ず仕留めます!!」

オオセンザンコウさんの作戦を私は承諾し、大きくセルリアン達の後ろに回った。

「まずは、一体倒してセルリアンの注意を引きましょう。砕きます!!」

オオセンザンコウさんは、そう言うと、目をキラキラと光らせて長い尻尾をセルリアンの中の一体に思い切り叩きつけた。倒れたセルリアンの石にオオセンザンコウさんの拳が入り、一体が倒された。

「やっぱりオオセンザンコウさんはすごいなあ…けど、私も負けていられない!」

私は、オオセンザンコウさんに注意が向いているセルリアン達に向かっていった。そして、高く跳び上がり、

「てえええええぇぇぇい!!!」

思い切り武器を振り下ろした。見事、石に命中し、残りは二体になった。まだセルリアンの注意はオオセンザンコウさんに向いているようだ。そのまま近くにいたセルリアンの重心に素早く攻撃し、セルリアンを転ばせた。

「えいっ!!」

転んで目の前に来た石に向かって一突き。残りは一体だ。

「シマさん!気をつけて!」

オオセンザンコウさんが声をあげた。残り一体のセルリアンが私に向かって体当たりをしてきていた。突然の出来事に怯んでしまった。

「ひいっ!!」

私がつい怯えた声をあげると、セルリアンは吹き飛んでいった。オオセンザンコウさんが尻尾でセルリアンを攻撃してくれたのだ。

「大丈夫ですか?早く体勢を立て直して下さい。」

オオセンザンコウさんは私にそう言って、セルリアンに向かって行った。そして、石を砕き…私達が戦っていた四体のセルリアンは、全て倒すことができた。

「オオセンザンコウさん、ありがとうございます。」

「礼は無用です。…と、キリンさん達の方は少し手こずっているようですね。私達は、キリンさん達の方に攻撃が行かないように、イカリアンの注意を引きましょう。」

オオセンザンコウさんが私に指示した。

「キリン達を助けに行かなくていいんですか?」

「先ほども言いましたが、力の分散が目的で、このように二手に分かれたのです。一箇所に戦力が集まれば、イカリアンはそこしか狙う場所がなくなります。それを防ぐのです。」

私の質問にオオセンザンコウさんは冷静に答えた。

「…わかりました。」

私は指示を受け入れた。

「無駄に体力を消費しないよう、心がけてください。ここからは長期戦になるかもしれないので。それでは行きますよ!」

「はい!!」

私はオオセンザンコウさんに続いて、イカリアンに向かって行った。





「シマちゃんとセンザンコウはもう全部倒しちゃったようね。私達はまだ三体も残ってる…」

私達は苦戦していた。今までは一人で戦ったりしていたし、みんなで戦っていた時はセンザンコウがその都度指示を出してくれていたから、スムーズに戦うことができていた。けれど、今はただ二人で策もなくむやみやたらに戦っていた。意気が合わなくて、とても戦いにくいかったのだ。

「どうやら、あの二人は、片方が注意を引いて片方が倒す、といった作戦で戦っていたみたいよ。私達もそうしてみない?」

ゴマバラワシが空から提案してきた。

「なるほど…わかったわ!私がセルリアンの気を引くから、ゴマバラワシ、倒すのはお願い!」

私がゴマバラワシに返した。

「んー、私が引きつけてみたかったけど、まあいいわ。了解よ。」

ゴマバラワシはそう言うと、さらに高く飛んだ。

「さあ!セルリアン!この名探偵アミメキリンがあなたたちの相手をしてあげるわ!!かかってきなさい!!」

私が大きな声でセルリアンの注意を引いた。すると、三体のセルリアンは私に向かってきた。私はマフラーを振り回して、セルリアンをなぎ払うようにぺちんぺちんした。セルリアンの数が多いため、一体あたりのダメージは少ないようだった。

「くぅ…なんとか一体でも動きを止めなきゃ!」

そう思い、必死に何往復もぺちんぺちんした。すると、一番右にいたセルリアンの動きが一瞬止まった。その瞬間、上から何かが降ってきた。と、思ったらそのセルリアンは消滅していた。何かが通り過ぎたあとには、サンドスターの煌めきが見えた。

「一瞬の隙を逃さないゴマバラワシ…なかなかやるじゃない…!」

私は、サンドスターの光をまとった、つまり「野生解放」をしたゴマバラワシの姿を見て言った。

「私も負けていられないわね…!」

私はそうして野生解放をし、サンドスターで輝くマフラーを振り回した。威力のあがったぺちんぺちんによって、残りの二体のセルリアンもすぐに動きが止まった。片方をゴマバラワシが、もう片方を私が攻撃し、セルリアンを全滅させた。

「ゴマバラワシ、あなた、相当強いじゃない。私も頼りにさせてもらうわ。」

「あなたこそ、強烈なマフラーの攻撃とキック。一目置いちゃうわね。」

私とゴマバラワシはそう言って、二人で笑顔で握手を交わした。

「シマちゃんとセンザンコウはイカリアンの注意を引いてくれていたみたいね。私達はどうしよう?」

私がゴマバラワシに聞くと、

「そうね、一応合流した方がいいんじゃないかしら。新たに作戦も聞いておきたいわ。」

と、答えた。

「そうね、じゃあ、あの二人のところへ向かいましょう!!」

私達はシマちゃんとセンザンコウのところへ向かって行った。




「どうやら向こうもセルリアンを倒し終えたようですね。こちらに向かってきています。シマさん、一旦、撤退して、作戦を立て直しましょう。」

「はいっ!!」

私達は、少しずつ攻撃をしつつイカリアンの攻撃を回避して注意を引いていた。少し疲れ始めてきたところだったから、撤退はありがたかった。私達は、陸上ではそこまで動きの速くないイカリアンを置いて、一旦撤退をした。


その後、キリンやゴマバラワシさんと合流することに成功した。

「さて、先ほどイカリアンと交戦していて、気付いたことがいくつかあります。まず一つ、石は今の所見つかっていません。」

「ええぇ!?じゃあ、どうやって倒すの!?」

オオセンザンコウさんの言葉を聞いたキリンが聞いた。

「大型のセルリアンは石を体内に取り込めるものもいると聞いたことがあるわ。ダメージを与え続けるとそれが出てくるらしいわ。」

「そうです、ゴマバラワシさんの言う通りです。たくさんダメージを与えていって、どこかに現れた石を割ります。そうすれば、私達の勝ちになるでしょう。」

ゴマバラワシさんに続いてオオセンザンコウさんが言った。

「さて、二つ目です。イカリアンには触手が多くありますが、攻撃に使えるのはおそらく、左右にある二本だけです。地面に接している触手は、あれだけの巨体を支えるのでギリギリなようです。」

オオセンザンコウさんが続けて言った。

「なるほど、触手の数で圧倒されてたけど、結局は考えるのは二本だけでいいのね。気分的にもだいぶ戦いやすくなったわね。」

キリンが言った。

「そして、三つ目です。ジェーンさんのマイクは、地面を支えている触手の中に入っていました。その触手を切断すれば取れなくはないですが、少し難しいです。ですので、普通にイカリアンを倒して消滅させて、それで取り返しましょう!!」

オオセンザンコウさんが声を強めて言った。それによって、私達の士気も高まった。

「最後に、だいたいの作戦です。イカリアンが接近してきているので手短に指示します。私とシマさんとキリンさんは三手に分かれます。そして、ゴマバラワシさんは空中をお願いします。やはり、狙いを分散させて行きましょう。石が現れたら、一番狙いやすい方が割ってください。それでは、行きましょう!!」

オオセンザンコウさんはそう言って、イカリアンの正面に向かった。私は向かって右に、キリンは向かって左に、ゴマバラワシさんは空へと飛んで行った。


「さあ…戦闘を再開します!!」


オオセンザンコウさんが声をあげた。

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