たたかい

「伝えたいことって、なんでしょう?」

私はソファに座っているイッカクさんの方に近づいて質問した。

「一つ、私からのアドバイスだ。セルリアンと戦うときになったら、『私は戦うんだ』と、心の中で強く思うんだ。そうすれば、もしかしたら、私のスピアーのように、自分の武器を作り出すことができるかもしれない。」

イッカクさんの口からは、私へのアドバイスが出てきた。

「武器…ですか…?」

「ああ、そうだ。見た感じ、シマはレイヨウのフレンズのようだ。レイヨウのフレンズはみな、自分のツノをかたどった武器を持っている。それは、自分の意思とサンドスターの力によって作り出される。私のスピアーもそうやってできたものなんだ。」

イッカクさんは丁寧に教えてくれた。


ーー自分の武器。そういうものがあるのかもしれないと思うと、自信が湧いてきた。


「イッカクさん、私でもちゃんと戦うことはできるんでしょうか?」

私はイッカクさんに尋ねた。すると、イッカクさんは考えることなく、

「わからない。戦闘向きかそうでないか、はたまた武器が使えるかどうかもわからない。だけど、お前には大きな可能性がある。道中、小型のセルリアンを倒していきながら、自分の戦い方を見つけていくといい。そして、私の分まで、頑張ってきてくれ。頼んだよ。」

「はい!!」

私が元気よく返事すると、イッカクさんはフラフラと立ち上がり、優しく笑いながら私の頭をわしゃわしゃと撫でた。まだ昨日のダメージが回復しきっていないイッカクさんは、また倒れそうになったため、私が支えてソファに座らせた。


「さあみなさん、準備は大丈夫ですか?そろそろ出発しようと思います。」

オオセンザンコウさんが呼びかけた。

「マフラーはある…じゃぱりまんもある…私はOKよ!」

「喉の調子は問題ないわね…私も準備できてます。」

「私は特に準備はないから、いつでもいいわよ。」

「私も大丈夫です!」

全員準備は万端のようだった。

「みんな、無事に帰ってきてね!応援してるわ!」

「そうだな。無理しないで、怪我しないようにね。」

「ロックに行けばなんとかなる!オレ達の分も頼んだぜ!!」

「イカリアン、倒してきてね〜。」

「初代ジェーンさんのマイク…どうか、よろしくお願いします!!」

「私も戦えなくて申し訳ない…私の分まで、頑張ってくれ!そして、みずべちほーを守ってくれ!!」

PPPぺぱぷのみなさんとイッカクさんが、メッセージを送ってくれた。

「それでは、行きましょうか。」

オオセンザンコウさんがそう言うと、

「『イカリアン討伐隊』!!しゅっぱーつ!!」

キリンが続けてそう言った。

「「おー!!」」

私とマーゲイさんがそれに乗って掛け声を出した。

私達は、六人に見送られながらイカリアンとの戦いに向かった。




しばらく行くと、セルリアンに遭遇した。三体の小型のセルリアンだった。

「シマさん、キリンさん、ゴマバラワシさん、貴方達の力を私に見せてくださらないでしょうか?」

オオセンザンコウさんが言うと、

「ウフフ、いいわよ。まずは、私がいくわね。あの程度、私一人で十分だわ。」

ゴマバラワシさんがそう言って、高く飛び上がった。そして、急降下して、鋭い爪で二体のセルリアンの石を割った。石を割られたセルリアンは、音を立てて消滅した。

「あと一体ね。いいこと思いついちゃった。」

ゴマバラワシさんはそう言うと、また高く飛び上がり、急降下した。そのままセルリアンを掴んで、上昇していった。

「スカイダイビング、どうかしら?」

そう言って、ゴマバラワシさんは空中で一回転して、その勢いで地面に向かってセルリアンを投げつけた。地面に落ちた衝撃で石が割れ、セルリアンは消滅した。

「すごい…!」

私は目の前の光景に、思わず感嘆の声を漏らしていた。

「こんなもんね。どうかしら?」

降りてきたゴマバラワシさんが、オオセンザンコウさんに聞いた。

「お見事です。ゴマバラワシさんのその力、頼りにしてますよ。さて、先に進みましょうか。」

オオセンザンコウさんはそう言って、先に進み始めた。



少しして、またセルリアンと遭遇した。今度は中型が一体だ。

「次は私に任せて。私も一人で行かせてもらうわ。」

キリンがやる気満々に前に出た。

「キリン!頑張って!」

私はキリンを応援した。

「さあ、私のマフラーでぺちんぺちんしてあげるわ!!」

そう言って、首に巻いてあるマフラーを手に取り、ブンブンと振り回した。それを見たセルリアンがキリンに体当たりをしようとしてきた。

「ふふふっ…あなたの負けよ!」

そう言うと、キリンはマフラーをセルリアンに向けて振った。長いマフラーはまだだいぶ距離のあるセルリアンに見事命中した。

ぺちん!

痛そうな音が辺りに響いた。その後も、ぺちん!ぺちん!!と何往復もセルリアンにマフラーが当たった。動きが鈍ったセルリアンに、

「石はあそこね。よし、くらえーーっ!!名探偵きーーっく!!!」

そう言って、キリンが石に向かってキックをした。強烈なキックは見事に命中し、セルリアンを消滅させた。

「すごいよ!キリン!あんなに強かったなんて!!」

「ふっ、まあ、名探偵たる者、戦いもできなくちゃね!」

キリンはこちらに戻ってきてそう言った。

「ありがとうございます。キリンさんも何も問題ないですね。ということで、先に進みましょう。」

私達はさらに先に進んだ。


その後、またすぐに二体の小型セルリアンに遭遇した。

「次は…私に行かせてください!」

私がそう言って、四人の前に出た。

「シマちゃん、危なくなりそうだったら、すぐに助けに行くからね!」

キリンが心配そうに私に言った。私は後ろを振り向いて軽く頷いて、セルリアンの方を向き直した。


ーー初めての戦い。正直怖い。だけど、色々なフレンズさんのために、私も戦わなきゃならない!私は戦うんだ!!


そう思うと、右手からキラキラしたものが出てきた。それはすぐに形を作って…

「あれが、シマちゃんの武器ね!!」

キリンが声をあげた。

右手を見ると、確かに武器が握られている。細長いその武器は、真ん中から先にかけて一回転ねじれている。イッカクさんの槍のような、杖のような、そんな感じの武器だ。

「よし、セルリアン!行くよ!!」

私はそう言って、セルリアンに向かって走り出した。セルリアンが近付いてきたので、高く跳び上がり、その勢いで一体のセルリアンの石を突いた。

「よし!まずは一体!!」

もう一体のセルリアンが私の方にとびかかってきた。私は素早くセルリアンの後ろに回り、思い切り武器をセルリアンの石に叩きつけた。

「やったあ!!初勝利!!」

私は、Vサインを送ってから四人の方に戻っていった。

「お疲れ、シマちゃん!かっこよかったよ!!」

「そうね、ちょっと見直したわ。ウフフ。」

キリンとゴマバラワシさんが褒めてくれた。

「お見事です。特に素早い動きが良かったですね。初めての戦いにしては、素晴らしい戦いぶりでした。イカリアンとの戦いまで、経験を積んでいきましょう。」

オオセンザンコウさんからも褒めてもらえた。私は自信がどんどん湧いてきた。


その後も、セルリアンと遭遇してはみんなで倒していきながら、道を進んでいった。私も少しずつ、戦いに慣れてきたような気がした。



「そろそろ着くわよ。イカリアンの住処にね。」

ふとゴマバラワシさんが口に出したその言葉で、私達に緊張が走った。

「みなさん、気を引き締めてください。過酷な戦いが、始まりますよ…!」

オオセンザンコウさんがそう言い、戦う構えをとった。たしかに、すぐそこの水の中から、野生の勘なのか、ただならぬ気配を感じる。

「準備はいいですか?いいなら、声マネでイカリアンを誘き出します。」

マーゲイさんがそう言い、私達は軽く頷いた。

「それでは、いきますよ…みなさん、頑張ってください!!」



グオオオオオオオオォォォォォォォォ!!!!!



辺りに恐ろしい大きな声が響き渡った。すると、水面が大きく揺れて…


ざっっばーーーん!!!


大きな音とともに、それは現れた。

目標イカリアンを捕捉!戦闘を開始します!!」


オオセンザンコウさんの掛け声と共に、過酷な戦いが始まった。

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