第4話

……あのデートから三日後……

あのデートの日以来、彼は屋上に来ていない。

……自分で作ったルールなのに三日坊主にもならないのか……

すると突然屋上の扉が開いた。

そこに居たのは、相川ではなくリア充女達だった。

「あのさぁ、抜けがけしないでくれる?」

彼女達に対して何か先に進んでいることなど何も無いはずなのだが。

「相川君の事だよ!ちょっと可愛いからって調子に乗んないでくれる!?」

あまりにも逆ギレ過ぎて言葉が出てこなかった。

「……あっ……えっと……なさい」

「はぁ?聞こえないんですけど?」

「ごめん……なさい」

「そんだけ?土下座しろよ」

すると他の取り巻きからも、土下座コールが始まった。

私は覚悟を決めた。

膝をつき頭を下げようとすると、再び扉が開いた。

「……!」

その驚きは誰のものだったのだろう。

「……何してやがる……」

するとリア充女は慌てて弁解しようとするが相川には通じない。

「……帰って頭冷やせ……」

ぞろぞろとリア充女は帰っていった。

「……」

「……」

お互いに気まずい空気を感じたが、先に動いたのは相川だった。

「本当にごめん」

いきなり相川は、私があれだけためらった土下座を軽々とした。

「俺が調子に乗り過ぎた。なんとでも言ってくれ」

間髪入れずに私は言った。

「ごめんなさい」

「なんで謝る?今回は俺がすべて悪い」

「違うの!相川君が……相川がそんなこと言うことに対して謝っているの!」

この際だから全て言ってやる。

「短い間に私は何回も相川にひどいことを言った。でも相川はすべてを許してくれた!そこが嫌だったの!」

するとさすがの相川も戸惑ったが、落ち着くと私に言った。

「俺という人間は好きなやつのことくらい何でも許したくなるんだよ!」

突然の告白だった。

「こんなタイミングで悪いと思うんだが、俺と付き合ってくれ」

「……すこし考えさせて」

タイミングがタイミングだ、いくら答えが決まっていても、こんな状況で答えなんか出せない。

「ゆっくりでいいよ」

「えっ……たっ君?」

相川とたっ君の声が重なった気がした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る