第10話 「俺フレイアが隣にいないとダメだから」
「・・・ねえ、早くしてよっ」
「ちょ、ちょっと待てって・・・くっそどうやるんだこれ・・・」
「ぎゃ、痛い痛いいたい!!ちょっと貸して!」
今フィールから、いつも着用しているキャラメルリボンバレッタをつけてもらおうとしているのだが。
後ろから回されてきたバレッタをもらい、絡んだ髪の毛を取る。
このままではいつかハゲそうだ。
それに至近距離すぎて心臓が鳴りっぱなしだ。
あちらのほうはそんなこと気にもしていなさそうだが。
「結構難しいんだぜこれ・・・」
「まあ、私も自分ではできないからあんま言えないですけど。でも、でもさぁ・・・恥ずかしくなってくるから!」
「そんなん俺もだわ!!」
他愛ない掛け合いをしながら、私は彼の前でこっそりと笑った。
でも、昨日のスレーズとの話も同時に思い出し、気分が沈む。
___顔が見えない今、チャンスかなぁ。
「あのさ・・・私、メイジになろうと思ってるんだけどどう思います?」
「は?」
「え、いや、だから魔法使いに・・・」
「やだ」
「はあぁ!?」
てっきり賛同・・・とまではいかないまでにもyesの返事くらいはもらえると思っていたのだが。
「な、なんでよぉ??」
「だって一緒に戦いたいもん。俺フレイアが隣にいないとダメだから」
「・・・・・」
心臓が鳴り過ぎて痛い。
___何を言っているの、この子は?告白じみてるぞ。いや、そんなんじゃないってゆーのはもう分かりきってるけど。
私が絶句しているのに気付いたのだろう、後ろでせわしなく動いていた両手がぴたりと止まった。
これも最近分かったことだが、彼は決してチャラいという訳ではないらしい。
とんでもないことをさらっと言うが、それは思ったことをすぐ口に出してしまう純粋君なだけで、かなりの照れ屋。
・・・というのが私の推測である。
故に私は、真っ赤になっているだろう彼の顔を見るべく、振り向きたくてたまらなかったが、そんなことをしようものなら激痛が走るだろう。
「・・・いや、今の嘘。まじめに嘘」
「ふぅ~ん。じゃあ私メイジに」
「それは嫌だって!」
「なんで!」
「一緒に戦いたいからだって言ってるだろ!これ以上言わせんなよ」
思わず首を回転させる。
案の定赤く染まった彼の顔が見えて、私は吹き出した。
「な、何笑って・・・」
「だ、だって、かわい・・・いや何でもなくて、、じゃあ装備買いにいかない?」
「え?」
「だってさぁ、私たちっていつまでも初期装備のままじゃない?これじゃ、いつかウエスト軍が攻めてきたときに真っ先に死んじゃうよ。そんなんじゃフィール、せっかく強いのにもったいないって。それにスレーズが言ってたんだ、まずは形から!って」
「そ、そうですか。・・・ん、できたよ髪」
「ありがとー。うん、バッチリ!やっと慣れてきた?」
「そりゃ毎日やってればな。じゃあ行くか!」
「うんっ」
彼につけてもらったバレッタがきらりと煌めいた。
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