第3話 なぜか剣が用意されています

「フレイア・・・?」


「ん。それがあんたの名前みたいだぜ。えーと、ほんとお前らどこから来たの?ウィンドウの出し方も分かんないとかさ・・・」


「お前、ら?」


「そーそ。そこの・・・・・・」


「フィールっす」


「・・・フィールもなにもわかんないんだとよ。さっき目覚めたばっかなんだけどさ。まあ、お前よりは取り乱してなかったけど」


特に激しく取り乱した記憶もなかったのだが、とりあえず黙っておく。

そうすることができたのは、たぶんささやかな安堵故だ。

なにも知らない少年ではあるが、とりあえず仲間なことは間違いない。


すると、視界の隅にきらりと光るものがあった。


「これ・・・」


持ち上げてみると、見かけよりずっしりと重い。

剣だ。

だが、普通のよりも少し細い気がする。


細剣レイピアだな。銘はシトロン・レイピア」


「シトロン・レイピア・・・」


これから共に歩んでいくのであろう剣の名前を呟くと、なんとなく舌になじんだ。


「あの・・・ちょっと外に出ていいっすか?少し・・・」


フィールという名前らしい男の子が言うと、青の人はうなずいた。

迷子になるなよ、という言葉とともに。

フィールはそれをやんわり無視すると、今度は私のほうに目を向けてくる。

思わず自分を指さすと、彼はこくこくとうなずく。

その目にどこか必死なものを感じた私は、簡素だが暖かい羽毛布団を跳ね除け、足を地面についた。

どこかひんやりとしていた。


「じゃあ、行ってきます」


そう言うと、二人は笑みを返し、手を振った。


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