奥多摩に帰宅

「行くときより狭いんだけど。」

学園長が嘆くのも無理ない後ろに三人がけソファー二つ一人がけソファー一つ、テーブル、冷蔵庫つきの空間に山ほど荷物が乗っている。

セイラさん、星砂家からイロイロもらい、トシヤと学園長の捧げ物だけでも車がいっぱいでこっちまで乗せる羽目に………。

「船に乗せるのめんどくさいから馬にするか?」

馬? モジャに運ばせるの?

「そうだね、船に車ごとは無理だからそのほうが早いか。」

パソコンとにらめっこしていたトシヤが言う。

「ゲンジイ、お久しぶり。もうモジャの準備ずみなんだサンキュー!ああそれはまたliveやれば元とれるってジンに言っといてくれ。」

ゲンさんは奥多摩の家畜がかりだ。

奥多摩の家畜は食用じゃないので動物を殺すのが嫌いなゲンジイも面倒を見てくれる。

liveやれば元とれるってあんたは………。


「昴もさあいい加減に学園はジンに引き継いで貰えばいいのにバカだね。ハルも気の毒だね。」

部屋の中に山のようになっている貢ぎ物の整頓しながらテキーラさんが応える。

「『ドロフィーヌ学園』からは卒業するていいながらのがられない運命だよねハルも。」

ハルは小、中は『ドロフィーヌ学園』で過ごしている。

私ほどではないが過保護がいやで高等部には進入しなかった。

もとから中学はあんまり行っていなかったので苦労したようだ。

「そのうちアゲハの手伝いどころじゃなくなるよ、ハル、モデル業界だと人気あるから。」

とにかく食べ物と物をわけたら後は学園長の物は学園長が確認する。

「まだ中学生だし都会でないから使わない。」

ネックレスに香水てどんだけ。

全部は売らないけどあるていどはメ⚪いきかな。

「レディは常に美しくないとダメだよ姫樣。テキーラ、予想どうおりレッドスターが一等とったよ山で鍛えられただけあるね。」

マサおじさんのムチャなかけあったんだ。

サラブレッドじゃなくても野山で鍛えた足なら勝てるなんて言って競馬にだしたら。

「すごいね。その調子で稼いでくれたら赤字もうまるんじゃない?」

「そう願いますよ。アゲハさんの副業だけじゃ我学園の赤字はうまりませんからね。」

ジンさんがふーとタメ息をつく。

赤字なら私への扱いはお構い無くといってもカスミを頭にする親衛隊がそれを許してくれない。

この暮し確かに気が滅入る………私も外部の高校いこうかな。

許して貰えないだろうなあ、星砂の息子のフィアンセだし。

この暮らしに慣れてしまいそうな自分がこわいと言っても普通の中学生は正直テレビでしか知らない。

自由になりたいなんてわがままかな………。

私の普通じゃない日常は続く。

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スイート&スイート 永久 夏波 @fumakamami

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