第7話 6005階層

【6005階層】


階段を上り続ける四人の人影がある。先頭はアスターシャギー。続いて護衛体マイガード。次に何とか無事に再生を果たした周防七夜。最後尾がオウリだ。

現在の所在地。6005階層。ここに来るまで、それなりに散々な事があった。

周防七夜はビクビクと震えを抑えられず、フラフラとした足取りでアスターシャギーの後ろ姿を見る。


「...............うぐ............!」


心臓が激しく脈動して、息苦しくなる。

完全にアスターシャギーに対して心的外傷トラウマを負ってしまった。何故だ、とはもう言わない。三度目に殺されたのは忘れるわけがない。問題なのは、二回目と一回目に殺された事も思い出してしまったのだ。

最初は殺したのではなく仮死状態だと、アスターシャギーに反論されたが、二回目と三回目は間違いなく殺したのは事実である。


(...............................コワイ.................ものすごく、コワイ................)


下手な事を言えば、容赦なく撃ってくる。絶対、撃つ。

強烈な怯えの気配は、先頭を歩いているアスターシャギーにも伝わっていた。気分を害していた。再生細胞蟲を内包した肉体なのだ。脳を破壊されても、下半身を潰されても八時間で再生したではないか。殆ど不死の奴が何を怖がるのか。


主人体マスター。左2ブロックに反応在り。生体反応は確認できず。駆除機関の可能性が高いと思われます」

「こちらも確認した。敵対行動が無い事を祈るがな」

「大帝國市民の生態番号は登録されていますが、この三百年、更新はされていません。主人体マスターは誕生して二十七年。登録外対象です」

「なら、先んじて駆逐する。オウリ、手を貸してもらうぞ」

「........................................」


破壊銃を構えるオウリ。


「周防、お前は待機していろ。身を隠すのを忘れるな」


戦闘行動に移る三人の姿を、周防七夜は唖然と見る事しかできない。


(それにしても.............ここはどこなんだ............)


未だに自分の状況が理解できていなかった。

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