第6話 取引
「ここがどこだか把握しているか?」
「..............................
「訂正しろ! 大帝國だ。大を抜くな」
「................................大帝國だ」
「よし。そうだ、お前の言う通り、ここは
オウリは無表情だ。驚いてもよさそうなものだが。
アスターシャギーは
見た限り、オウリは機械化を受けている。6割のチャージであれば、完全破壊は無理でも、戦闘不能に近い状態に追い込める。
そうすれば、
「お互いに脱出するまで協力する。食糧、武器、情報、敵の迎撃。提供できる範囲でいい。手を組もう。さあ、返答を」
「..............................」
オウリは何も言わずに、破壊銃を下げた。
これは意思表示か。同意なのか。アスターシャギーは、僅かに腰を落として攻撃しようとする
「同意と、受け取っていいのか?」
「.........................................あぁ」
内心、安堵した。
戦わずに済んだのは幸いだ。地球の廃墟でほんのわずかな時間、戦闘を目撃しただけだが、オウリは強い。大帝國軍の白兵戦に特化した猟兵団でも対抗できるかどうか、疑問に思うぐらいだ。
それだけ、オウリの個人戦闘能力は突出している。
前髪をかき上げ、アスターシャギーはオウリの足元を指差した。つられてオウリも自分の足元を見る。血だまりだ。潰れた肉塊がある。
「どいてやれ。それではいつまでたっても再生できないだろう」
「.........................」
「誰だ? と聞きたいようだな。ただの運の悪い地球人だ。死んだ方が天国だろうに、生きて地獄を歩く羽目になった凶運の持ち主だ」
「...............................................そうか」
「出立するのはそいつが完全に再生してからだ。周辺を探り、必要なものを回収するぞ。手伝え」
「.............................................」
「ちなみに食糧の事だが、お前、主食は何だ?」
協同国家体に機械化した兵士は多い。連中が普段、何を食べているかなどアスターシャギーは知らない。純粋な好奇心からきた質問だった。
「....................................................................」
「..................」
「...............................................黒いものだ。湿ったところでガサガサしている」
「...............................冗談だよな。冗談だろう。冗談と言ってくれ。それを見たら私はお前を容赦なく撃つぞ。絶対に見せるなよ。目撃などしてたまるものか!」
アスターシャギーは逃げるように走り出したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます