第20話 『地球侵略願望』その6
アニーさんは、自動車ごと、宇宙空間に飛び出しました。
そうして、『火星連合』の真っただ中に踏み込んだのです。
「うあああ・・・・いるわいるわ・・気持ち悪い位にいるなあ。これじゃ、拳銃なんかじゃ、役にも立たぬ。」
地球の警部さんが言いました。
「そりゃあ、あなた、役に立ちません。」
「しかし、まったく攻撃してこない。」
「そりゃあ、アニーは一応、『女王様の錦の御旗』をしょってますから、すぐには手を出さないでしょう。しかし、母艦に迫ったら話は別です。おそらく、こっちの捕獲行動に出るでしょう。」
「そんなんこと、分かってて、やるのかい?」
「もちろん。でも・・・来ますよ。来ます。ほら、来た。」
そうです、わたくしが乗っかった、『警部2050』さまの宇宙船が、この様子を察知して地球から飛び上がってきたのです。
「こらあー! そこのアニーさん、抜け駆けは、御法度ですぞお-!」
宇宙警部さんが文句を言いました。
「まとめて、しょっぴくんだから、手だし無用。」
「警部さんたちは、結局連中を逮捕するだけでしょう。いずれまた解放してしまう。アニーは、ここで親玉を粉砕します。見ててください。」
「いやいやあ、殺人はよくない。拘束だ拘束。」
「さっき、ぶっ壊してたでしょ?」
「連中は機械だよ。生身のやつらは皆、月の裏側だ。」
「え?そうなんですか? 全部ですかあ?」
わたくしが言いました。初耳だったから。
「まあ、そうです。しかし、ロボットと言っても連中は自立型です。親玉を壊したら止まると言うものではありませんぞ。最後の一体まで、抵抗しますからね。この場合は、まず手足をもぎ取るのが上策です。」
「じゃあ、あんたは周辺の連中、アニーは本体でいいんじゃないですか。」
アニーさんが言いました。
「いやいやあ、それじゃあ、ぼくの面目が立たない。仕方ないから、そっちにも手を回す。」
「じゃましないでください。」
「じゃましてるのは、そっちだろう。女王を説得して、こっちに協力させなさい。」
「女王様は、行方知れずです‼」
この会話は、いったい何だろうと、わたくしはいぶかりました。
「どっちでもいいから、とりあえず地球を平和にしてください。」
わたくしは、申しました。
「了解!」
どっちも、そう答えましたが・・・・
しかし、そこに、さらに『三番手』が現れたのです。
「地球は、地球人が守る‼」
と言いながら、いかにも地球的なカッコいい二等辺三角形型の巨大宇宙船が現れました。
「来た来た。」
宇宙警部が言いました。
「なんでしょうか、あれは?」
「我々は、宇宙船『風の都』である。地球人を守る! 宇宙人は出て行け!」
画面に現れたのは、あの社長さん・・・か、警察庁の偉い方かのどちらかです。
「地球人を甘く見るなよな‼ なめたらあかんぜよ‼」
わたくしとしては、たぶん、この『風の都』を応援すべきなのでしょうか?
ところが、まだ、これで、お終いではありませんでした。
「や、また来た。一体どうやって抜け出したんだろう。いや、当たりまえか、くそ。署内のスパイがやったか。抜かったなあ。あんた監視してたんだろう?」
地球警部さんのお声が、聞こえてきました。
そうです、柿子さんの宇宙船が、現れたのです。
「いやあ、何かの手落ちですなあ。こっちには連絡がない。子分どもは、たぶん全滅したんでしょうかなあ。」
宇宙警部さんが、珍しく困惑気味に答えました。
「まだ、誰か、ほかにも、いるんだ! 最高の親玉が残ってるんだわ。 」
わたくしは、そう思いました。
************ ************
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます