第17話 『地球侵略願望』その3

「どうして、都市が壊される前に守らなかったのですか?」


 わたくしが抗議しました。


「ぼくは警察官ですよ。相手が攻撃してこなければ、手を出せません。」


「はあ、それは、宇宙共通なんですねえ。でも、あなたは解っていたじゃあないですか。あれだけ大量に押しかけてきたら、何かやりそうなのは明らかじゃあないですかあ!」


「まあね。でも、大量のデモの人が押しかけてきたら、まず、皆殺し、しますか?」


「いやあ・・・そりゃあそうですけど。デモの人は、普通あんな武器は持ってないし・・。」


「彼らだって、宇宙難民かもしれないですよ。」


「うんまあ・・・・・。あ、攻撃してきた。」


 赤や青の軌跡が、たくさんこちらに向かって飛んできます。


「大丈夫。この宇宙船の周囲には『境界領域』が設定されております。どんな武器も、光線も熱戦も、強風も雷も、影響を与えられません。物質はすべて崩壊し、光線や熱や風などは吸収されて、この宇宙船のお食事になります。」


「はあ・・・・」


 実際、まったく何も感じませんでした。


 警部さんの子分たちもまた、強い強い。


 相手の宇宙船を片っ端から破壊してゆきます。


 まったく、相手になりません。


 こんなのを敵に回したら、どうにもならないでしょう。


 しかし、相手も、ものすごい数です。


 きりがありませんでした。


「すごい。頼もしいわあ・・・」


「まあね。しかし、多分、相手は何か企んでますなあ。ヤな予感がする。」


「え?」


 そこで、わたくしのいる空間に、地上のテレビが映りました。


『われわれは、火星連邦である。』


「出たあ!!」


 そう、出たのです。


 それは、でっかい、鬼さんでした。


「地球人よ、良く聞けたまえ。いや。もとい、良く聞き給え。我々の同胞が、今や地球の中枢を支配しようとしている。いかなる抵抗も無意味である。12時間以内に完全降伏しなければ、地球の生命体をすべて消化する。いや、もとい、焼却。いや、もとい、消去、する。そこの、助っ人、これ以上邪魔だてしたら、お友達たちを、みな、バラバラにするぞ。データ見て見ろ。ざまあみろ!」


「まあ、なんでしょうか。さんざん負けといて。」


「ううん・・・」


「どうしましたか?」


「思ったより、せこいやつらだなあ。人質を大量に取ったらしいなあ。」


「はあ?」


「地球には、ぼくの考えていた以上に、すでに協力者がいたようだ。警察や軍の関係者が、大量に奴らの部下にすり替わっているらしい。各国の指導者が、みな確保されているみたいだし。・・・・・。」


「えええ? どうやって・・・」


「さあて、例の夫婦が関与していたには、違いないですな。」


「柿子さん?!」


「うむ・・・長年、種を撒いた・・・か・・・」


 警部さんがうなりました。




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