第11話  また捕まった・・・

「じゃあ、この人も、そのコピー人間なんだろうか。なんか、あいさつしても、反応がおかしいし、どこかお人形みたいで、言葉の使い方が、なんだか突然変だったりするし。」

 わたくしは、その『偉い方』の顔を、じっと見てしまいました。

「あなた、余計な事に感づいたね。」

「え、え、え?あの、あたくしなにも・・・」

 慌ててわたくしは、そう申しました。


 突然ドアが開いて、警察官が二人入ってきました。

 その後ろにもう一人います。

 それは、あの実家に来ていた、星形の小さなペンダントを持っていた若い刑事さんでした。

「こちらにどうぞ。」

「いえ、わたくしは、あの警部さんのご指示でここに居ますので。」

「ぼくが、命じたのです。連れて行け。」

 『偉い方』が言いました。

「やめてください。」

 抵抗するわたくしを、警察官の方が無理やり部屋から引きずり出し、そのまま裏口から出て、真っ黒な自動車の中に押し込みました。

 わたくしは、その三人に監視された状態で、またどこかに連れて行かれました。



 一方、それはまだ知らないはずの北海道の警部さんたちは、事情聴取を続けていました。

「いいかい、署長の許可は取ったから、君らはしばらく拘束する。現在、科学研究室で、君たちが埋めた人たちの骨の詳しい分析をしてもらっている。絶対何か見つかるさ。」

『僕も、今回は全面協力するつもりだ。冥王星の裏側に隠してる『本署』も、今夜中に地球に移動させる。東京の警察省の真上に駐在させてもらいます。』

「なんですか、そりゃあ?」

 北海道の警部さんが、さも、いぶかしそうに尋ねました。

『まあ、宇宙船ですな。また、ぼくの本体でもある。その中には、10億個以上の部下が入っています。』

「あの、ちっちゃいやつか?」

『そうです、そうです。』

「部下が10億人いるということ?」

『ええ、まあ、そうですな。』

「うええ。面倒見切れないぜ。10億人の部下なんて。ああ、こほん。さて、君が言った、350年生きた後の『儀式』ってのは何なんだ?」

「『儀式』は神聖なものだ。話す事はできない。」


『まあ、簡略に言って食べちゃうんですよ。』

 「警部2050」が、あっさりと言った。

「こら、神聖なものだと、言っただろうに。単に『食べる』のではない。女王様と、その神に捧げるのだ。」

『そこが君たちの、全くおかしな原始的なところなのだ。どう表現しても、人間を食べることに違いはない。この開発途上の地球に於いてでさえ、もはやそのような『食人』風習は、全然正当化できない時代になっているのだ。』

「ふん。時代遅れではない。まさに常に最新型の『聖なる儀式』なのさ。この地球でも、この先、遠からずそうなるんだ。女王様が直に支配する時代が、間もなくやって来るのだから。」


「まてまて、二人で勝手に進めるな。話が見えなくなってきた。一旦、打ち切ろう。お互い頭を冷やしてから再開する。」

『私の部下が監視する。そうでないと、逃げられますよ。』

「ああ、そうしてください。こうなりゃ何でもありですよ。まず、あなたと話がしたい。最初から、そうすべきだったんだ。」


 北海道の警部さんは、男と柿子さんをそれぞれ留置場に入れ、『2050』さんの部下が、常時監視に張り付いたのです。

 部屋から出た警部さんに、『2050』さんの声が、そっとささやきました。

『あの、女性は、すでに連れ出されましたよ。あなたの『偉い方』の指示で。』

「なんと!」

『大丈夫。ちゃんと追跡させていますから。アジトが見つかるでしょう。』

「あ・じ・と?」

『そう。あじと。あの警察省の幹部は、タダ者じゃあないですな。』

「じゃあ、なんなんだ?」

『いや、まだ推測ですから。追いかけましょう。僕の車で。』

「いや、あれは、僕の車ですよ。」

『乗り移ったんだから、もう僕のものです。』

「そんな、無茶な!」


 お二人は、言い争いながら、また例の自動車に乗って、わたくしを追いかけて来ました。


 また、あの警察省の幹部という方も、すでに署から消えてしまって、いらっしゃいましたのです。



















 









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