三月町に行ってきました

 ピンとくる人にはピンとくる、漫画「三月のライオン」の舞台になっている、佃、月島界隈を歩いてきました。

 現実で見ても中々不思議な場所で、ビルの立ち並ぶ場所から橋を渡るといきなり下町情緒たっぷりの町並みがあらわれます。そして海に向かって更に橋を渡ればそこにはいかにも埋立地らしいビルの並ぶ景色が広がるのです。

 大阪で言えば伝法あたりに似てないこともないでしょうか。ですが伝法はこんなにコントラストがはっきりはしていない気がします。

 いえ、わかっているんです。

 漫画ですから、どれだけ景色が同じでもこの橋を零くんが本当に渡ったわけではないですし、あのシーソーに二階堂くんが突撃したわけでも、その木にモモちゃんが突っ込んだわけでもありません。

 でも、素晴らしい説得力と臨場感にうっとりします。世間で聖地巡礼が流行るわけです。

 まさに舐めるように見て回りました。

 この日のためにスマホには「三月のライオン」全巻の電子書籍が入っています。地図アプリにもめぼしい場所をチェック済みです。

 歩きました。

 他にも多少の用事があったということもあって、この日万歩計アプリは初の三万歩超えを記録しました。

 佃の住吉神社で御朱帳を買って、御朱印もいただきました。ここは川本姉妹の父であるところの仮名妻子捨夫を零くんがストーカー仕返したところです。

 御前をお騒がせしているお詫びを社に申し上げましたが、まさか住吉さんもこんな理由で参る馬鹿がいるとは思ってもおいでにならなかった事でしょう。

 このお社のもとになったお社が大阪の西淀川区の佃にあって、帰阪後御朱印をいただきに行きました。こちらも古い、いかにも地元に根付いた神社です。御朱印帳を見て宮司さんがすぐに気づいておられたところを見ると、今でもつながりがあるのでしょう。江戸時代の初期に大阪の佃から東京の佃に人が移ったことは有名な話ですが、そのつながりが今でも生きているらしいことにちょっとほっこりした気持ちになりました。

 御朱印帳は可愛らしいおもちゃづくしの柄で、ネットで一目惚れをして絶対に買うと決めていたものです。

 この御朱印帳の他に是非に買いたい物が二つありました。

 一つは佃煮です。

 ありきたりなようですが、佃に来たからにはぜひとも買わねばなりません。

 もう一つは買うというか、月島に来た以上もんじゃを食べねばと思っていました。作中にももんじゃ屋さんが出てきます。ぜひともそこでもんじゃを頂きたいものです。

 結果的に佃煮は買えました。

 家に戻ってから頂きましたが大変結構なお味でした。とくに葉唐辛子の佃煮はかなり好みでした。イナゴを買う勇気がなかったことは惜しまれますが、次回があったとしても勇気は出ないかもしれません。所詮小心者なのです。

 もんじゃは食べそびれました。

 いえ、作中のお店にたどり着きはしたのです。ところがまさかの閉鎖中。

 お休みではありません。閉店でもありません。アスベストレベル三だとかで、開口部の内側はきっちりビニールシートで塞がれています。移転なさっていたようなのですが何と言ってもこの封印されている店舗こそが、漫画の舞台の店なのです。

 考えた末今回は諦めることにしました。

 住みやすい町なのか、子供がたくさんいました。公園の数も多く、川べりの道は気持ちよく整備されてきれいです。

 そんなのどかな町をうろつき周り、スマホで写真を取りまくる女。どう考えても不審者です。ですが私も次にいつ来られるかわかりません。ここは良識の声はあえて流し、とにかく堪能するに努めました。

 子供の遊ぶ公園も、川べりの気持ちの良い道も、全部漫画に出てきます。これを堪能しそびれたらあとで絶対後悔します。大阪は遠いのです。

 帰りの東京駅の甘味やさんでは、あんずあんみつを頂きました。

 大阪であんみつといえば小倉あんですが、こちらのお店はこしあんです。さらに干したあんずや求肥がのって、中々のボリュームです。歩き回って疲れた身体に甘さがしみわたります。

 トッピングを増やすことのできるシステムは漫画にも出てきましたが、東京では普通なのでしょうか。あんこがこしあんであることといい、ぜひとも大阪でも採用して頂きたいものです。

 以上、三月町を歩いた話です。

 ちなみに次の日は一日足の痛みに悩まされました。次の機会が来る前に、もう少し鍛えた方が良さそうです。 

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