第5話
浅く自身を沈めたまま、腰をゆっくりと回しながら低い声でそう囁くと、内側の粘膜が小刻みに痙攣した。
「…っぁ……美味しいっ……にぃさまのっ……美味しいよぉ……!」
もっと頂戴とでも言いたげに、腰はがくがくと揺れていた。其れを押さえ付けながら、僕は言う。
「お前は男なら何でもいいんだろ?」
僕のじゃ無くても、こうなるんだろう?そう言外に漏れそうになる歪んだ独占欲を押し殺して、僕は入れた時と同じくらいゆっくりと、腰を引いていく。女の喉から小さく悲鳴が上がった。
「ちっ……違うの、違うんですっ……お兄様の、お兄様のがっ……」
彼女が言い掛けた言葉を聞きたくなくて、僕は一気に奥まで腰を進めた。
「――――――――ぁあぁあぁああぁっ!!?」
其れは、悲鳴の様な喘ぎ声だった。内側は快楽にひきつって、子宮が精液を搾り取ろうと先端を食んで来る。昨日まで痛がっていたくせに、もう膣は解れきって奥でイく様な身体になったのだ。この女は。厭らしい女だ。淫乱で、変態で、こんなのは、只の雌でしかない。なのに。
「……あっ…あぁあぁ…っ…気持ち、いい、よぉ……にいさまぁ……にぃ、さまぁ…っ…」
「――――――――っ……!」
こんなうわ言で、熱くなってしまう自分が嫌だ。此の感情は良くないモノだ。其れを誤魔化す為に、僕は抜けそうな位に腰を引き、また一気に押し込んだ。
「――――――――あひぁうっ!? あっ!? うぁあぁぁぁぁっ!!」
快楽の量が多すぎて処理しきれないのか、彼女の身体全体がびくびくと震えている。多分、目は虚ろで涙を溢しながら、口からは涎を垂れ流し、其れと鼻水が混ざり合って、酷い顔になっているに違いない。其れを想像するだけで、奥が疼く。口元が緩む。更に追い討ちを掛けてやる為に引き戻して、再び入り口の辺りをゆっくり抽送してやると、悲鳴染みていた喘ぎが、多少は理性を取り戻す。
「ぁ……にぃ、さま…ぁ…」
頭を此方へ向けながら、彼女が言う。呆けた顔で。
「……何だい、妹ちゃん」
言葉の意味が解るのだろうか、と思いながら僕は答える。
「……にぃさまも、きもち、い?」
へにゃり、と。潤んで蕩けた目で、幸せそうに、嬉しそうに、そんな事を。そんな顔で、言うものだから。もう勘弁してくれよ。勘違いだと訂正するのも億劫になってしまうだろ?もしかしたら、って。そんな、幼稚で、浅はかで、下らない…………勘違いを、してしまいそうになるだろう? あぁ、其れは、何て愚かな勘違いだろう。
「――――――――気持ち良くなきゃ、たたないだろ。馬鹿なのか?あぁ馬鹿なんだな可哀想に」
僕の口からはこんな言葉しか出てこないっていうのに。其れでも彼女は嬉しそうな顔をした。呆れるくらい、馬鹿な、女だ。其の表情を歪めてやりたくて、僕はわざと腰を引いて動きを止めてやった。肩が僅かにびくりと震える。蕩けてグズグズになっていた顔や目に、怯えの色が走った。
「ぁ……おにぃ…さま……?」
泣きそうな表情を浮かべている顔は、年齢よりもずっと幼く見える。其れでも、彼女の身体は濁った快楽を求めて、揺れていた。
「……そんなに、出して欲しいのか?」
口を歪めて、笑みを作った。嫌がればいい。そうすれば、僕はお前を心置きなく汚してやる事が出来る。だと、いうのに。女は頬を紅くして、熱い息を吐きながら、こくりと頷いた。僕は、男根を引き抜く。妹は子供染みた小さな悲鳴を上げた。
「…………変態」
躊躇せずに貫いた。声も出さずにイッた女の膣内のうねりを感じながら、痺れるような腰の疼きを認めるのが嫌で、奥を削り取る様に押し付けて抉った。普通なら痛がる筈の行為すら、彼女は内側をどろどろに蕩けさせて悦んだ。穴からはどちらの物か解らない液体が零れ落ちている。今の彼女なら何をしても悦ぶだろうと解りきっていたから、わざと強くキツく腰を使ってやった。喘ぎ声は悲鳴と聞き分けが付かなくなって、人間の言葉は聞こえてこない。其れでいい。あんな甘ったるい台詞を何度も聞かされたら、今度こそ僕はお前を手に入れたくなる。好意じゃ無い。自分を慰めたいだけだ。だから、駄目だ。其れに、お前の其の感情は只の勘違いだ。快楽と好意が混ざり合っているだけ。だって、そうだろう?お前は後ろから突っ込まれて抉られて、強姦染みた行為を受けて喘いでる変態なんだから。そんな事を考えていたせいか、腰の動きが少し鈍った。
「んっ…ぁあ……辛いよぉ……いいの…っ…つらい、よぉ…っ…!」
がくがくと足や腰を震わせて、痛いくらい僕のを締め付けながら、涎で枕をぐちゃぐちゃにして妹は泣いていた。行き過ぎた快感は苦痛になるらしい。其の顔をもっと見てやりたくなって、僕は良さそうなところをひたすら突いてやった。ひぁあ、と漏れる声が厭らしい。びくっ、びくっ、と肩や、腰や、足を震わせて、嫌だと言いながらこいつはぐりぐりと臀部を僕の腰へと押し付けていた。締め付けがきつくて痛いくらいだ。あぁどうしようも無い変態め。また直前で抜いてやろうかと腰を浮かせた其の瞬間に。
「…す、き……にぃさま……好きぃ……」
腰がぞわりと震えて、背筋に熱が走った。うわ言だ。解っている。其れでも衝動は収まらなかった。無理矢理身体を密着させて、耳元で囁く。
「――――――――俺はお前が嫌いだ」
だから、使ってやるよ。声には出さずに、中を探る。
「うぁ…ひっ……!」
ぶるりと腰を震わせて、内側は抵抗する所か、ぐちゃぐちゃ音を立てて、嬉しそうに吸い付いてきた。持ち主に似て、やらしい中身だ。子宮の入り口を先で抉って、更に捩じ込む。内側から、ぶちゅりと水音が鳴った。
「あ、あ、やだ、来るっ…きちゃう…きちゃうよぉ……! うぁ、あぁあぁぁあぁあぁ!!」
無意識に内側の襞が捩れて、絞めたり緩めたりを繰り返し、此方を搾り取ろうとしてくる。腰に熱の篭った震えが走るのが解った。あぁ、そんなに欲しいのか、じゃあ。ほら。
「――――――――孕め」
そう言った瞬間に女の膣壁は反応してぶるりと震えて、先をねぶる。其の刺激で腰が弾けた。
「――――――――っあ……!!」
背中を押さえ付けられているにも拘わらず妹の背中は弓なりに反って、大きく痙攣した。かと思うと、ばたりと倒れ込んでしまった。……其れでもまだ内側は精液を染み込ませようと、ぐねぐね蠢いている。
「……意味、無いのにな」
何で僕はあんな事を口走ったんだろう。出来ないのに。僕にも、妹にも、子供を作る能力は、無いのに。――――だから、だろう。だから妹は僕にすがるのだ。自分を慰めるために。自分達の欠陥を、見ない振りをする為に。男である僕よりも、其の喪失感は深いものだろうから。……だから、此れは自慰であり、お互いに対する、安っぽい同情なんだ。だから。だからさ。
「……勘違いなんだよ。お前の其れは」
気持ち良さそうに寝息を立てている妹の頭をくしゃりと撫でる。細くて柔らかい髪質は、僕と同じ。なのに、心地良く思えるのは、気のせいだ。……そして、僕の此れも。もう眠ってしまおう。そうすれば元通り。僕はふざけた兄に戻れるし、彼女は生意気な妹に戻る。其れだけの、話だ。目を瞑って、布団に潜り込む。……あ、そういえば風呂に入って無いな、とどうでもいい事を考えながら眠りについた。
「――――――――何時まで寝てますの、お兄様」
「――――――――べふっ!?」
……何故か僕の顔には濡れたタオルが被せられていた。おい殺す気か。
「……せめて叩いて起こすとかさぁ」
濡れタオルを外しながら、呆れた調子で詰問する。声を荒げても相手が調子に乗るだけだと、解っているからだ。彼女はへらへらと小馬鹿にしたような笑いを浮かべて。
「あらあらぁ? まぁまぁ? お兄様はギャルゲーの様なお目覚めを御所望ですのぉ?」
夢見る童貞の様ですわねぇ。と嫌らしい声で付け加えてきた。――――――――畜生。声を荒げて責めてやれば良かった。怒る機会を自ら無くしてしまった事が腹立たしい。と、いうかアレだ。お前元の状態に戻るの早すぎだろ。最中のお前は何処に行ったんだよ。そんな事を考えていたら。
「……取り敢えず、シャワーでも浴びたらどうですの?」
臭いですわよ。と妹はわざとらしく鼻を摘まみながら、顔をしかめた。いちいち一言多いんだよお前は。と、いうよりこの体液の大半、お前だからな? 割合でいくと、僕が2でお前が8だからな? 言いたいことは山程有ったが、ぐっと堪えた。時間も無いし。またぐちゃぐちゃ言われると、面倒臭い。
「……解ったよ。其の間に帰る用意でもしておけ」
「言われなくても」
あぁそうですか。と返すのも億劫なので、無言のままシャワーを浴びに行く事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます