第3話荒れる

実は、瞳と別れて10キロ体重が減った。


祖母の家から昔の風邪薬を盗んで一人暮らしの部屋で過剰摂取した。


身体中が、自由に動かなくなり、鼻水、よだれ、涙が止まらなくなった。


このまま死ねればと思い枕に顔をつけて気を失った。


目を覚ますと夕日が実の部屋を照らしていた。


死ねなかったのか…。


夕日を見ながら実は呟いた。


そんな時に涼子が実の部屋を訪ねて来た。


「田中君、まだ国仲さんの事忘れられないの?」


「もう、忘れたよ。」


実は、嘘をついた。


涼子は、実を、背中から抱きしめた。


「わたしを国仲さんだと思って良いんだからね。」


実は、瞳の事を思い出してぼんやりとした。


実の瞳から涙が自然と流れた…。


それをハンカチで涼子は拭いてくれた。


「大丈夫。大丈夫。田中君は強いから大丈夫。」


涼子は、実を励まして微笑んだ。



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