第2話飽きた

8年前ー。


「飽きた?」


「そう、飽きたから別れて。」


実は、会社帰りの飲み屋で瞳に言われた。


「まだ、付き合って半年じゃん!」


意外とガキみたいな言葉が実の口から出た。


「じゃあね。」


瞳は、実を残して席を立った。


実の焦る気持ちを逆撫でするように居酒屋の雑踏はけたたましくうるさかった。


ビールで酔えなくて日本酒を頼んで空きっ腹に入れて涼子に電話した。


ホテルで、そのまま酔った勢いで細いくびれをした涼子の腰に怒りをぶつけるようにセックスした。


涼子からは、以前から告白されていた。


「ちょっと…もうちょっと優しく…あ!」


痛みから快楽に酔う涼子の表情を見つめて瞳の裸を思い出した。


涼子と瞳は背格好も容姿も似ていた。


しかし、違うのは邪悪さだった。


「あ!ダメ!おかしくなりそう!」


瞳は、セックスしている間、笑ってるような女だった。


実の焦りが手に取るように分かるように笑う笑う笑う笑う笑う笑う笑う笑う…そして濡れていなかった。


「ダメ!いく!」


涼子は、汗ばんだ実に抱きついた。


実は、いけなかった…。


涼子は、シャワーを浴びて実の胸の上で満足そうな顔をして眠った。


実は、瞳の体を思い出していた自慰行為をした。

殺したいくらい好きだ!そう言って抱けば良かった。


勢い良く精子がたくさん出た。


ティッシュで拭いた。


涙もたくさん出た。


殺してやりたい。死ね死ね死ね死ね死ね!!


小綺麗なホテルのぼんやり灯りが滑稽な男と純粋に実を好きな女を浮かび上がらせていた。


死ね死ね死ね死ね死ね死ね


死にたい…。

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