第2話「勉強は楽しいなあ」
「勉強」
この漢字2文字で書いてある言葉だが、多くの人が嫌な顔をするだろう。
なかには「勉強」という言葉を聞いただけでもアレルギー反応を起こしてしまう「勉強アレルギー」をもつものさえいる。
そして俺もその1人であった。
そもそも勉強のなにが楽しいのかおれにはわからない。
おそらく人生で1回も使わないであろう図形の計算や昔の人の名前を覚えたりほんと謎。
もし「俺勉強大好きだぜ(ドヤッ)」という人がいるならぜひ勉強の魅力について教えてほしい。
しかしすべては過去の話。
今、俺の目の前では愛する妹と天使(くらいかわいい子)がお互いに教えあいながら夏休みの課題に取り組んでいる。
勉強会ということで一応俺も課題に取り組んでいるが、まったく集中できない。
「ここの計算式これであっているのかな?」
「たぶんこの公式を使うと思うよ。」
もうホント可愛すぎ。
答を写さないで自分の力で解いてくところが純粋でかわいい。
俺が中学生の時は、夏休み最終日に回答集を召喚してたな(笑)
それからしばらく勉強会は続いた。
時計が5じ半を過ぎたころ、勉強会は終了した。
「んー、今日はたくさん勉強したな。」
「そーだね、少し疲れたね。」
伸びをする早苗の言葉に桜ちゃんは答えた。
「きょ、今日は本当にありがとうございました、お兄さん。」
「いえいえこちらこそ。」
俺は途中何問かわからないところを教えてあげた。
わからないところがわかったときの桜ちゃんの顔はなんていうか楽しそうだった。
そのとき俺は、勉強の面白さが1つわかった気がした。
「あのー、もしよければなんですけど、私のこと、その、桜って呼んでくれますか?」
キター!名前で呼ぶ展開!
これはチャンスだ、そして俺も言った。
「それなら俺のことも智樹って呼んでくれるかな?」
「ふえっ!?」
よし!俺は言ったぞ!
でもさすがに今日初めて会った人を名前で呼ぶのは無理だと思った。
「では、と、智樹くん。」
「はい。」
なるほど、くん付けできたか・・・。
ちょーかわいい!
「これからもよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく、桜。」
桜の顔は耳まで真っ赤だった。
これ何も知らない人だったらこれから付き合い始めるのかと思うに違いない。
「あのー、お互いいい雰囲気なところ申し訳ないですが、そろそろ終わりにしたほうがいいかと・・・。」
はっ、早苗に言われて気が付いた。
「また一緒に勉強しようね。」
「そうだね。」
「智樹くんもまた後で。」
「ああ、また後でな。」
こうして、勉強会は無事終わった。
夕食後
「早苗、いい友達を持ったな。」
「お兄ちゃんも今日はいい出会いだったでしょ。」
「そうだな。」
こうして俺の夏休みはスタートした。
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