第3話君の声がするから


今行くから



もうすぐだから、、、




待ってろ、、、




なぜかそんな感情が強く浮かび上がってくる。胸が苦しい。心が君に会いたいと叫んでいた。



ついた辺りはまるでつい先ほどまで銀座にいたとは思えないほどに荒れて、人がある日突然いなくなって時代が何世紀もたったような古びようだった。



そんな瞳に移したフィルムの中に光彩豊かな足跡がある。


力強いその足跡には、どこか儚げで寂しさを感じた。


自分があまりに感情的になっているのに気持ち悪さを感じた。



さっきの人の話であればこの先にもう一人戦ってる人がいる。



その人を助けなきゃ。



「今、俺が助けに行くから」


とその発した言葉をかき消すかのようにビルの窓から人が飛び降りてきた。


その衝撃波は大きな波を地面の起こし、俺は波と爆風に吹き飛ばされ、ビルのコンクリートに背を打って気絶した。



「あっれー、おかしいっス。ちゃんと手を抜いたつもりだったのに。最近また力上がったかな、こんな雑魚敵なんて敵じゃないっす」



「あずは任務完了よ。とりあえずもう少しで帰還出来るから息抜きしててちょうだい。

その景色が見れるのもゲームのあとだけだから。あっ、あとあずは燐が近くにいる思うけどきてないかしら?」



「あー?そんなやつ見かけなかっ、、、

あっ、やべっ、誤ってぶっ飛ばしちゃったっすよー」


「どうかしたのかしら」



「あっーいや、なんでもないっすよ笑

それじゃきるんで!」




頭の中に響く電子音を聴きながら青い空を見上げる。



「昔は空が青かったなんて考えられないっス、外の世界は紅空だってのにっスよ。」



彼女は倒れている彼に近づいて行く。




そして彼をその頼りない腕に抱え込み、頭を自分の膝に乗せて彼を見つめる。

手で耳にかかった髪をかみわける。その瞳に映る彼はどこか安堵しているように見えた。




その時、彼女は彼に問いかけた。










「君はなんのために戦うの。」





その言葉にはその言葉以上の意味があるに違いなかった。

















「いやー、疲れたっすわ。まあ、でもでも今日の敵はよわったっすね。タウンの敵ってあんなもんなんすかね?やっぱりあたしら相性抜群っすね。次の敵もお茶の子さいさいっすわ。」



「はぁーい。次もがんばーるんですよー」



緊張感が全くない声であずはの隣の女の子が返答した。

子供だろうか。その肌は透き通っていて、顔もとても幼く見える。




「本当に今回はご苦労だったわ。あずは。でも命は大切にして。君たちは選ばれたのだから。」



「はいはい。わかってるっす。それにしてもあいつは全く何やってるんすかねー。」




「それがね、あず。燐ってばタウンに入る前の記憶が全くないみたいなのよ。戦闘の時も様子がおかしかっし、少し悪ふざけをしてるだけだと思ったのだけど。」


「それってまさか。あたしが吹っ飛ばしたからっスかね、、、」



「あら、そんなこと聞いてなかったわよ?分かってると思うけどこれは遊びじゃないのよ?次から慎重にね?」



にこやかに笑う彼女の顔の奥には怒りの感情をあずはは感じた。

だが、それも暖かいものあずはは理解したらしく素直に燐に謝ることで今回はお許しをもったのであった。


その後、あずはといちは俺の寝ている部屋を訪れた。


「ちゅいーす。さっきはごめんっす。燐があんなにとろいとは思ってなくてー?」


そこにいたのはあやが燐の上にまたがり、あやが顔を燐の顔に近づけているところだった。



「っておとりこみ中でしたっすか?すみませんね。じゃああたしはコレで失礼するんで。」


あずはは勢いよく病室の扉を閉めた。


「あずは、あの2人愛しあってるからあんなことしてるのー?いち、恥ずかしいよぉー。」


右手で燐の顔に触れて今にでもキスをしようとしているところだった。


その時、後ろから近づきながらアリアが話しかけてきた。


「あなたたち病室の前で突っ立って何してるのかしら?あず、あなたは彼に、燐に謝らないとでしょ。」


「いや、それはそうなんすけど、、、」


何も知らないアリアは横目であずの顔を見ながら、なんの躊躇もなく病室の扉を開けた。


「えへへ。あずといちってば燐の病室に来るなら前もって教えてくればよかったのにぃー。」


「あんた、せめてそういうことは相手さんが起きてる時にするっすよ。」


あずはは少し機嫌が悪そうにそう言い放った。


「これには複雑なわけがー♡」


「そんなもんあるか!」


「いや、それがね、あずはちゃん。わりと困った事態になったのよ。」


そう言って声色を変えた女の子の顔は真剣だった。








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