第2話ゲームの中
ねぇ、覚えてる燐。
君はいくつ願いを犠牲にしても私を守るって言ってくれたこと。
あのときね、そんなのダメっていったけどね、
とっても嬉しかったんだよ?
また、頭に響く声。顔は思い出せないが、その言葉を発した時の彼女は笑いながら泣いていた。
なにか頭の中にノイズ音のようなものが伝わってくる。
ただ、明らかに今までの燐の頭に響く声とは違った。どちらかといえば通信に近いようなものだった。
徐々に音が大きくなっていると燐は全身で感じた。
「り くん、燐くん、、、この野郎!返事しろってんだよ!東城燐!」
鼓膜が破けると思うくらいの大声が頭の中に響いてくる。
「痛い、痛い、痛い、頭が痛って。ちょっ、いったい次は誰なんですか?てかなんで僕の頭の中にあなたの声が響いてるんですか?」
「はぁー?あんたどうしたの?頭でも打った?悪ふざけする子は私嫌いよ。あと質問が多い子もね。てかあんたよくchipもなく死ななかったわね。そんなんで敵に襲われたら命ないわよ。ゲームだからって調子に乗ってんじゃないわよ!」
わからない。
全く状況が掴めない。
誰なんだ。この頭の中に響いてくる声は。
「ちっぷ?それにここはゲームの中?」
とっ、その時だった。遠く見えるシルエットが少しずつ近づいてくる。
歩道橋を走る俺の目の前には剣と盾をもった二足歩行のドラゴンが立っていた。
赤い線が曲線を描きドラゴンから俺に繋がってる。
これは俺が狙われてるってサインなのか。
明らかに交戦的なドラゴンの姿勢を見て燐はそう感じた。
「そいつはリザードよ。弱いから倒せると思うけど、油断しないで。初めての実戦だからって混乱してるのかもしれないけど細かいことはあとよ。とりあえず1.2changeと叫んで!」
「えっ、今なんて?」
「そんなことも忘れたの。だーかーら、1.2changeよ!」
なんだこの変身ヒロインものアニメのような掛け声は、、、
「ありえない。」
リザードが地面を蹴って距離を詰めてきた。
「相手のリザードが襲ってくるわよ、早くしなさい!」
くそっ。もうやるしかないと燐は心に決めた。
「1.2change!」
燐を一瞬にして光が包み込んだ。正確には燐自身が光っているにちかいのだが。
気付いた時には後ろにリザードが倒れ込んでいた。
「今のはいったい…」
気づけば服も変わっていることに気付いた。
服は青く輝いて服の中が見えるかと思うほど透き通った青色をしている。
肩から袖にかけて白いラインが。
手に持っていたのは星型のタンバリンのようなもの。
そして肩には星型の装飾が施されていることにも気付いた。
帽子にも。
「あの、、、すみません。この服っていったい」
「その服はその子の好みよ。とりあえず杏葉のところにむかってちょーだい。結構状況が良くないみたいだからね。」
杏葉って一体、、、
もしかしたらその子が俺を呼んだいた子かもしれない。
燐は杏葉を助けなければとその足を早めた。
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