第18話 水の都、ラ・ピニオン王国へ
「ならん!ラ・ピニオンへは行かせぬぞ魔王め!」
な”っ!魔王っておま!
(ほう、そこの女騎士。お前はこの者が魔王と知り行く手を阻むと言うのか……よかろう、受けて立とうではないか!)
なんかコンちゃんが言い出した。
見ればコンちゃんがこちらに何度もウィンクをしている。話しに乗れってか?
……なんか楽しんでいる様にしか見えないけど、まぁ乗ってみるか。、
『そ、そうだぞ。ま、魔王と知りながら我の行く手を阻むとは小癪なり。この場で切り伏せてしまっても良いが?』
取り敢えず脅したけどこんな感じでいいですか?コンちゃん。
兎に角とっととラ・ピニオンの神殿て所へ向かわせて下さいお願いします。
「ま、魔王様!わ、私が贄となれば問題ないのではないですか?」
回復作業を終えたエルフもなんか言い出した。
「僕は猫族族長の娘だにゃ!僕を連れて行くにゃ!」
猫もなんか言い出した。
なんか収まりがつかないんですけど?もう少し脅した方がいい?と、コンちゃんを見ると。彼女も困惑した表情になっている。
コンちゃん?もしかしてさっきのは全然なんも考えなくて勢いで言った感じ?
「ゲホゴホ! エルフや猫族など魔王になんの価値があると言うのか。ゲホッ。我が、ドラゴン族の戦士たる我が魔王、いや、魔王様の家臣として御使え致しましょう。ですので、ラ・ピニオンへ向かうのは今は控えて頂きたいのです」
死にそうな顔色のドラゴンもなんか言い出した。
てか君、その顔もう死んでるって言っても誰も疑わないくらい顔色わるいぞ!?
――なんにせよここは押し切るしかないだろうな。
『ならん、我は神殿に様があるだけだ。人を襲い食らう事など考えてはおらぬゆえ何も申すな』
喋り方はこんな感じでいいかな?いいでしょ?
「「「「…………」」」」
皆黙ったし。
『ではさらばだ。二度と会うこともないだろう』
コンちゃんを肩に乗せ、俺は東へと向く。太陽があっちなので多分こっちが東、のはず。
「ま、まさか!そ、そっちは我が聖王国バーミリオン!なんて魔王なんだ、ラ・ピニオンへ向かうといいながらバーミリオンへ向かうのか!」
…………いや、すんません。正直太陽真上なんでどっちがどっちがわからなくて勘でした。ほんとすみません。と、取り敢えず姿が見えなくなったら迂回するか。
等と呑気に構えていたが、女騎士が突如。
「――レアスキル! オーバーブごぶはっ!!」
咄嗟に飛び出たコンちゃんに殴り飛ばされていた。
『なに!どうしたのコンちゃん!』
(こやつがイキナリ最終奥義的な何かをぶっ放しようとしたので反射的についな)
見れば女騎士は口を開き、目も半開きで泡を吹いてぶっ倒れている。どんな美人でもこの姿を見させられると少し引く。
なんにせよ命に別状は無いようだし、、五月蠅いのが一人減ったと喜ぶべきだろうか。
大きく溜息を一度吐き唖然とする他の者達の視線を無視し、今度こそラ・ピニオンへ足を向けた。
――――
――
――ラ・ピニオン王国
隣国バーミリオンとの長きに渡る戦争は、その長すぎる戦争の為に民間レベルでは既に貿易は日常の様に行われている。
国土には湖が多く、それに伴い水も緑も多い。
鉄鋼や鉱石の採掘量が少ない上に、湿地も多く、水性魔物が多いのも特徴だ。
国は栄えており、都市は下水施設もあれば水道施設までもがある。水道と言っても井戸ではなく、圧力を加えれば各家庭に届いている石の管から水が出るだけだ。
しかしそこが水の都であるラ・ピニオン独特の生活環境をもたらしている。
『どったのコンちゃん』
(いや、国の説明をしてやっておるのじゃ。だが500年以上前の情報じゃしな、少し変わっておるかもしれぬな)
少し高台の街が見渡せる丘の上。
そこから異世界最初の国、ラ・ピニオンを一望している。
『さて、神殿だよね。出来ればこの高台からそれらしい建物を見つけて一気に走って行きたいところなんだけど』
(そうじゃな。カズオは一時間、我も昨日人化してからだいぶ経つ。今夜辺りには神棍(しんこん)に戻るじゃろう)
そう、ここから神殿らしき建物を見つけ人化した状態で一気に街まで駆け下り、コンちゃんの言う神殿で女神のお告げを聞く感じだ。
そもそも神殿に入って直ぐにお告げとか聞ける場所を貸してもらえるのか?とか、街に許可証ぽい物もなくて入れるのか?とか色々心配はあるが。
(まぁ一度やってみてダメであれば別の方法を考えようではないか)
との意見に賛成したのだ。
『コンちゃんあれじゃない?』
十字架ぽい何かが釣鐘の付いた塔のてっぺんにある建物。いかにもって感じの神殿。あれが神殿で間違いないだろう。
(そうじゃな、我はゴールドセイ○ト的な奴らが居そうな神殿を想像したのじゃが、まぁあれも神殿で間違いないじゃろうな)
……兎に角もう少し日が傾いたら、人化して速攻呪いの情報を女神とやらに聞き出すのだ。
しかしだ。
『コンちゃん。そろそろ服的な何かを羽織らないとそのまま街へ行くと露出狂だよ?』
(服か、面倒じゃのぉ)
『あ、先に服買って来なきゃね』
(じゃと今日は服を調達して、明日神殿じゃな)
『そだね、裸で街は歩かせれないしね』
(そっか、仕方がないの)
人化コンちゃんの裸に馴れてしまっていたけど、根本的な事だしね。それを忘れてた俺も俺だけど。
しかしコンちゃんの裸も今日で見納めか……それはそれで残念でもある。
(どうしたのじゃ)
『いや、なにも』
――だがこの時俺は、後方から俺達二人を監視する10個の瞳に全く気付かなかった。
オークですけど恋愛しないとダメですか? ばさーさん @skybass
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。オークですけど恋愛しないとダメですか?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます