第8話 初めての戦闘?初めての魔法?
洞窟の奥は岩肌が青白く薄っすら光り、周囲の様子が見て取れる。
入口は狭かったが、スロープを下ると巨大な空間が広がっていた。
『ここの広さってどれくらいあるんだろ。それにこの洞窟、結構奥まで続いてそうだな』
(んー、もしやここはダンジョンかもしれぬぞ)
『ダンジョン?ダンジョンってあの魔物とか宝箱とかがあったりするダンジョンのこと?』
(それじゃ。お主が昔魔法使いとして戦っておった所とほぼ同じじゃ)
『そか、俺が昔戦ってたダンジョンとほぼ同じか。そかそか……って俺魔法使いなんてなった事ないぞ?』
(ん?昔お主はその魔法で魔王を倒しておったではないか)
――察し。それ俺が遊んでたゲームの話しだよね。……でもこれでハッキリしたな。ここは魔物の住まうダンジョンだ。
『さっきはドラゴンに驚いたけど、ここに籠ってレベル上げしてみようか』
(そうじゃな、それしかないじゃろう。ある程度レベルが上がらなくては、ダンジョンから出たとしてあのドラゴンの餌食になるだけじゃしの)
コンちゃんがそう言っている間に、目の前に小さなウニョウニョが現れた。
その大きさは自分の丁度足首から下くらいの大きさ。
25センチ~27センチって感じのそれは小さな生き物。
(おぉ、この階層はスライムの層じゃぞ!これは僥倖!ここは階層を降りる毎にレベルが上がっていくタイプのダンジョンじゃぞ!)
『え?これスライムなの?ちっさいな。でもこのままずっと狩り続けたらレベル上がる感じだね』
(おうよ。狩って刈って狩まくるのじゃ!)
俺は棍棒を振り回すまでもなく、足元のスライム達を踏みつけ瞬殺していく。
靴も履いてない素足なので、ちょっとヌル気持ちいい。
『ほんとここのスライムって小さいよな。俺が知ってるスライムって60センチくらいはあると思ってたんだけど』
(ん?こいつら皆60センチはあるではないか)
『え?』
(ん?)
ここに来て、気付く。
俺がデカイのでは?って事に。
『俺ってコンちゃんから見てどれくらいの大きさだと思う?』
(3メートルくらいじゃないか?我が2メートルじゃからな。そんなもんじゃろ)
そんな事を足元のスライムを踏みつけながら聞いていると。
なんか聞き覚えのある電子音が頭で響く。
――ポーン。
(レベルが上がりました。ステータスが上昇しました。魔法が解放されます)
『お、レベル上がった』
(お主もか。我も上がったぞ)
『は? コンちゃんなにもしてないじゃん』
(馬鹿言え。ちゃんとお主に装備されてるではないか)
あぁ……そう言う理由ね。
(それよりほれ、ステータス確認じゃ。魔法が解放とかワクワクするな。ほれ、早く開いて確認せんか)
コンちゃんに目があれば、子供の様に目をキラキラさせているに違いない。
そう言う俺も目がランランとしてるがな。
『じゃコンちゃんのステータス見ようか――ステータスオープン』
名前 神樹棍ユグドラシル
年齢 517周期
武器種 棍棒
素材 木
ランク 10・∞
内包MP MAX
状態 女神達の呪い(あと9,999.8で解除可能)
打撃力 ∞
スキル 形状変化(1日)
魔法スキル ①メギドギガンテス(使用者により能力変化)
装備者:ヤマダク・ZU王
※裏ステータス
名前 世界樹・ユグドラシル
年齢 2万5517周期
職業 神
種族 神樹
状態:女神達の呪い(あと9,999.9で解除可能)
Lv ∞
HP ∞
MP ∞
スキル不明・固有スキル不明・レアスキル不明・神スキル不明
ん? 魔法スキルってのと装備者てのが増えてるのか。
ランクとかは変わらずだな。
最初からわからない無限マークはおいといて、呪い解除の数字が微妙に減ってる所を見ると、魔物を倒していけば数値もへるのかな?
そんな事を考えていると。
(おぉおおおっ!我はメギドギガンテスを放てる様になったのか!これは凄い攻撃力じゃぞ!)
その言葉にこっちも高揚し。
『え、え、どんなの!凄そうな名前だけどどんな攻撃なの!?』
(お、お主が分かる様に説明するとだな。一撃核攻撃みたいなものじゃ!どうじゃ凄いだろ!)
は?核攻撃!?おま、棍棒でそれどうやって使うんだよ。しかもここダンジョン。使えねぇー。
でもテンション落とさせるのもあれだしなぁ。
『あ、うんそれは凄いね』
(どうした?嬉しくないのか?)
『いやぁ~嬉しいさ!俺が使う武器で核攻撃出来るなんて凄いじゃんか!』
(じゃろ!そうじゃろ!)
『でもダンジョンで使うと、俺達も死んじゃうからやめとこうな』
(……あ)
漸くコンちゃんも気付いたらしく、その使えない魔法スキルに黙りこんでしまった。
核攻撃は出来ないけど、コンちゃんがとんでも能力を秘めた世界樹、ユグドラシルなのは少し理解できた。
じゃ俺も自分のステータス見ておこう。上昇率とかどんな物かしっときたいし。
――ステータスオープン。
名前 ヤマダク・ズオー
年齢 不明
職業 不明
種族 オーク(進化種ユニーク種)
称号 なし
Lv 2
状態 女神ティーリケの呪い(重)(あと10,000ポイントで解除可能)
HP 300・300
MP 200・200
解放魔法 ファイヤー
装備 神樹棍
通常スキル
怪力2・打撃2・肉厚2・聴力倍化・視力倍化・瞬歩
固有スキル
経験値変動取得(邪神眷属を一定数討伐でボーナス)
人化:(3分)
レアスキル
時空跳躍(自身の命を女神ティーリケに捧げる事により使用可能)
※女神ティーリケの眷属
お、レベルがちゃんと2になってるな。
あとは……全部倍になってるなコレ。
魔法解放でファイヤーか、スゲー放ってみたいな。見終わったら早速使ってみよう。
通常スキルってのは常に発動って事でいいのかな?
瞬歩ってのが増えてる以外は特になしか。ん?
『あれ?』
(どうしたのじゃ?)
『俺の呪いポイントが減ってない』
(ん?お前がスライムを倒してたのにか?)
『コンちゃんが0.1減ってたから俺もそれくらいかなと思ったんだけど。これ全然減ってないね』
(んー。相手が弱いからじゃないか?)
『そうなのかなぁ、まぁそのうちわかるか』
(そうじゃそうじゃ、今はポジティブ思考でレベル上げに専念した方がいいな)
『そだな。今考えてもわからんし、狩まくろう!』(おう!)
『あ、そだ。狩始める前に覚えたファイヤー使ってみていい?』
(魔法か、どれ放ってみよ。我が審査してやろう)
『なんの審査だよ。でも、わぁ~緊張する』
(ほれほれ、お主の初体験。我がじっくり見届けてやるからの)
『よし。じゃ行くぞ――ファイヤー』
(……)『……』
『あれ?もう一度――ファイヤー!!』
(……)『……』
使い方はなんとなく頭に浮かんでいるが、全く魔法ぽいのが出ない。
(お主、間違っておるぞ)
『え、魔法の使い方?』
(そうじゃ、魔法は詠唱を必要とするものじゃ。念じて使うなどは上級者の使い方ぞ)
そう言われて思い出す。ずっと念話だったから忘れてたが、ファイヤーって詠唱も念話でしてた!
『そかそか、それで出ないのか。じゃ次はちゃんと言って放つから』
(うむ)
『んじゃ――ファイヤーーー!!』
――「ブムォオオオオオ!」
(……)『……』
『ちょ、俺喋れないからファイヤーって言えないんですけど?』
(…………)
喋ってくれないコンちゃんにちょっとムッとした。
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