第7話 吹奏楽部編 part3

月夜、中根はまた学校に残った。今度は許可はない。忍び込んだ。自分の違和感があったこと。音楽室について気になって仕方がなかった。予備のカギを昼のうちに隠しておき、

利用した。部屋に入ると部屋には黒板、ピアノ、歴史上の音楽家たちの写真、そこに自分が加わる。吸い寄せられるようにピアノの方向へ自分の体を持って行く。

ポーン

三日月に響く音色が中根の心を酔わせていく。

そのまま糸を縫うように指を動かす。聞こえる音が全て美しい。防音教室であるが、少しながら音は外に漏れる。警備員に聞かれたらまずい。そんなことはわかっている。けれどこの演奏を止めてしまう方が罪に感じる。


演奏が終わった。しかしまださっきの演奏が頭の中を回っている。余韻に浸っていた。そして考えた。音楽室の亡霊とは何なのか?中根には霊感はない。そのようなものは感じない。強いて言うなら違和感があるのはこのピアノ。不思議なピアノ。外見には全くおかしなところはない。それなのになぜか引き寄せられてしまう。もう一度引こう。そんな気持ちになる。しかし時計を見るともう午後十一時をすぎている。人の近づく音がした。息を殺してそれが通り過ぎるのを待った。今日は帰ろう。

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