第33話:矢作警部補

 夜になり、屋敷に矢作たちが

顔を出した。

「いっや~この前来た時とは、

かなり様相が違ってきましたね。

」と田上。


 確かに・・・、あんたらと

会ったのは、ずっと昔だった

ような気がする。


 矢作は、

「よ~、お嬢ちゃん。ピアノの

練習はしてるかい。」と言った。


 あ、ボチボチね。

 けど、当分、練習どころじゃ

ないだろうが・・・


 屋敷は警察によって警備が

引かれ、物々しい限りだ。


 シオンの安否も確認されていない。

「あれ・・・、この前いた

イケメンの弁護士さんは・・・」

 桐山か・・・いったいヤツは

どこに消えたンだ。


 お前が、オズなのか。

 だが、シオン、ロックたちを

殺す動機は・・・


「あ~、こちらの方は・・・」


 光輝を手で示した。

「光輝です。龍崎光輝。」


「ほ~、もしかして、

ヒッキーだった長男か・・・」


「ええ、そうです。」

「なるほど・・事件が続くンで、引きこもってばかりもいられない

と・・」


「そんなトコです・・・」

 視線を落とした。


「フ、刑事さん」レンだ。

「とっとと事件解決して

くれなきゃ、この天才探偵・

龍崎レンが解決しちゃうぜ。」


 おいおい、探偵役の立候補か。

 よくやるぜ。お前だって充分、

怪しいだろ。


 ま、お前の細い腕じゃあの重い

斧は持ちあげられないだろうけどね。


 穏やかに行きたいトコだが、

あいにく、そうも言ってられない

らしい。


 当主、龍崎仁と麻生リナが

帰宅し、一気にバトルが

ヒートアップした。

 さらに、野上由衣が戦線に

加わったからだ。

「由衣・・・。

妊娠したって・・・」仁。


「ええ、そうよ。もちろん、

旦那様の子供よ。」


「え~、どっかの運転手との

子供じゃないの~。」

 リナの言葉に、黒木の顔が

固くなった。


「何言ってンのよ。あんたは、

何なの。」

「別に・・・ねぇ、仁くん。」

 仁くんって・・・

おいおい、骨抜きか。

ジーさん・・・

「とにかく・・・まぁ、めでたい事だ。」


「それから・・・旦那様にお伝えしたい事がありまして・・・」

「ん、何だね。」


「いえ、後で、お部屋の方へ伺わせてもらいます。」

「ふむ・・・」

 ミラもスゴい顔で、由衣と

リナを見ている。


 何なんだ。

 もう嵐の予感しかしない。
































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