第26話:高村泉
矢作らは、都内の新宿に
戻っていた。
田上はタブレットに
高村雅(みやび)の写真を出した。
「これが、高村雅(みやび)です
。」
「フン・・・、美人だな。」
「ええ・・・残念ですね・・・
生きてる時に会いたかったな・
・・」
「ああ・・・そうだな・・・」
矢作たちは、近くの店で、
かなり遅い昼食を取る事にした。
「どうします・・・石塚の友人を
当たりますか。」
「う~ン」
唸っていると着信音がした。
矢作が小さく舌打ちし画面も見ずに、
「もしもし・・・」と出た。
「おい、矢作~。」上司が一喝。
それから長々と説教をされ、
やっと解放された頃、注文が
届いた。
「ったく・・・消化に悪いぜ・・・」
箸をつけようとしたが、
そこへ、また着信音。
うんざりした顔で、
「もしもし・・・」と出た。
すぐにスピーカにし、食事を
摂りながら、通話する事にした。
<もしもし・・・随分ゆっくり
した昼食ですね。>
機械で声を変えていた。
「何だ。食事の管理でもしてくれるのか。」
<ええ、もう少し、野菜を
食べた方が宜しいですよ。>
「フン、今度、カロリー計算でも
してくれよ。」
<ま、そんなヒマは、ないんで・
・・・、こちらとしても大幅に
シナリオが遅れていますので、
もう少し早く動いてくれないと
困ります。>
「何だ。誰なんだ。あんた・・
・」
<そうですね・・・
オズノ セイヤとでも名乗って
おきましょう。>
「オズノ・・・セイヤだと~・
・・」
「うっう・・・」田上も食べていたモノが喉に詰まった。
「フン、新キャラ登場って訳か・
・・」
<そうですね・・・。
ま、お手柔らかに・・・>
「もういいか。これから楽しい昼食なんだ。お前の話し相手にはなれね~よ。」
<残念ですね。もう少し早く核心に迫ってくれないと・・・シオンが大変な事になりますよ。>
「お前・・・何で、その事を・・
・」
<そこは、新宿でしょ。だったら、歌舞伎町のパラダイス・ナイトに行って下さい。>
「パラダイス・・・ナイト・
・・」
<ええ・・・そこに高村泉さんがいらっしゃるはずです。>
「高村・・泉・・」
<ええ、みやびと言う名前でお店で働いていると思いますが・・・>
「お前・・何でそんな事をオレに
教えるンだ。」
<ヒマ潰しですよ。あんまりにも
捜査がお粗末なので・・・>
「あのな~・・・
警察は、お前のヒマ潰しに付き合ってられね~ンだよ。」
<いいんですか。シオンくん・・・死んじゃうけど・・・>
「お前な~・・・誰なんだ。」
だが、返答はない。
少しの間が開き、
<フフフ・・・悪しき魂に報いを・・・・>
と言って通話が切れた。
「矢作さん・・・」
田上は心配そうに、
「とっとと食えよ。」
「行くんですか。パラダイス・
ナイトに・・・・」
矢作は掻き込むように飯を食べた。
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