第23話:オヅノ セイヤ・01

 真夜中のホテルのバー。

 一人の男がグラスを傾けていた

 桐山だ。かなり待っているようだ。

 そして、待ち人が現れた。


「やぁ、桐山さん・・・久しぶりです。」

 若い大学生風の男だ。


 何より、顔立ちが整っていた。

美形という表現がピッタリだ。


「セイヤくん、何だ。

キミから連絡が来るなんて・・」


「どうも・・・

オズが再起動したようですので

・・・」


「オズが・・・?」


「ええ、あなたと、こうして、

会うのも、これが最後です。」


「残念だな・・・」

「はい・・、いつの日にか・・・

みんなが笑って会える日が来る

事を願って・・・」


「乾杯。」

 二人はグラスを合わせた。


 だが、セイヤと呼ばれた男は

グラスには口をつけず、

「申し訳ないが・・・

車なんで・・・コレで・・・」


「フ・・・、あっさりだな。

やっと会えたのに・・・・」


「桐山さんとボクとは魂で結ばれて

いるじゃないですか。」


「そうだったな・・・・」

 セイヤと呼ばれた男は来た途端

、帰っていった。


 セイヤと呼ばれた青年は

駐車場に置かれた車に乗り込んだ。


 着信メロディが流れた。

ワルキューレの騎行だ。


 画面には非通知とあった。

通話ボタンを押し、

「もしもし・・・オヅノです。」と応えた。


 相手から何事か伝えられたのだろう。

「わかりました。赤い蜘蛛を

捕獲したンですね。よろしい。

処分して下さい。」

 と言って、通話を切った。


 美形の男・・・

オヅノ セイヤ。


 彼こそが、この事件のキーパーソンだ。


 そう、この事件は全て彼の手に

よるモノだと言って差し支えない。










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