第22話:全面戦争

 4階の一室に光輝はいた。

 これまでは誰も入れなかった

開かずの間だ。


「出て来なさい。光輝~。出て来~ーい。」

 ママ母がドアを壊す勢いで

ドンドン叩いたため、仕方なく、

「何だよ・」ほんの少しだけ開けたのに、ママは力づくで開けようとした。


「シオンを拉致したでしょ。」

「拉致・・・」

 ママ母は無理矢理、ドアを開け中に入っていった。光輝は諦めたようだ。


 部屋の中は案外キレイだった。

「シオン、シオンいたら返事をしなさい。」

 ママ母は、部屋で人が隠れそうな所を探していった。


「おいおい、お互いかくれんぼをするような歳じゃないだろ。」

「うっるさいわね。あなたなんでしょ。オズとか言う脅迫者は・

・・」

「オズ・・・知らないね。」

 ママ母が探したが、この部屋にはいそうにない。

 暗い部屋にパソコンが何台も

並べられてあった。

 さすがにデイトレーダーだ。

 まるで、どっか未来のコック

ピットのようだ。


「惚(とぼ)けないで・・・わかってるのよ。あの事でしょ。」

「フン、雅(みやび)の事か。」

「そうよ。あの事であなたがシオンたちを怨んで・・・・」

「そうさ。ずっとオレは、シオンを・・・あんたたちを怨んでいた・・決まってンだろ。シオンはオレの恋人だから、仲間に酷い事をさせたんだ。」


「違うのよ・・・あれは、」

「何が違うンだ。あんたが取り入ってオヤジにあの事件を揉み消したンだろう。」


「それは・・・誤解よ。」

「よく言うよ。」とレン。 

 サッとママ母が睨んだ。

 レンは肩をすくめた。

「いいか。今からオレも戦線復帰だ。」光輝。


「な・・・」

「あんたらの思い通りにはさせない。」

「何よそれ・・・」

「もう・・・たくさんなんだ。

愛する人を失うのは・・・」

 愛する人・・・

 あたしの事・・・


「もう二度と同じ過ちは繰り返さない。」

「何を言ってるのよ。」

「これからは、オレとあんたたちの全面戦争だ。」

「く・・・」

「レイラはオレが守る。

必ず・・・おまえたちの勝手に

させるか。」

 レイラ・・・!

 それは、あのバスで亡くなったお嬢様・・・


 あたしはレイラの代用品・・・

 だから、守るって言うの・・・


「訳のわかンない事を・・・」

「フン、わかったら、出ていけ。シオンが消えたのも今、起こってるオズ殺人事件もオレには関係ない。」

「どうして、」ミラ。「そう、言い切れるの。」

「フ、オレはこの屋敷から一歩も外に出てないからさ。何なら防犯カメラのデーターを全て調べるか。」

「あんたのデーターでしょ。どうとでも細工出来るわ。」

「フン、だったら、警察を連れて来い。令状を持たせてな。

そしたら、付き合ってやるぜ。だが、オレにはアリバイがある。

どうやったって、オレには今回の犯行は不可能だ。」

 確かに・・・

 ママ母たちは、不満タラタラで部屋を後にした。 


 それは、宣戦布告。

 光輝がママ母らに対する怒りの

表現だったのかもしれない。


























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