第21話:舞香

「イッヤ~~~~~~❕❗」 


 屋敷に悲鳴が轟いた。朝っぱらから何だ。


 テレビから貞子でも出たのか。

 ママ母の舞香の悲鳴だ。

 リビングでは半狂乱のママ母が

怒っていた。


「何をやってんのよ~~!」

 目の下にクマがある。

 昨日は一睡も出来なかったのか。

 憔悴しきってる感じだ。


「だから、早くシオンを見つけてって言ってンじゃない。」


「ですが・・・」

 怒鳴られた黒木も家政婦たちも

堪(たま)ったもんじゃない。


「どこを探したらいいか・・・皆

目見当がつきませんので・・・」

 そりゃぁ、そ~だ。メンバーの

名前さえ、ロクに教えないンだ。


「あ~ーー」ママ母は頭を抱えた。


 みいながあたしに気付き、

「レイラ様~」と寄ってきて、「オズのメンバーが殺されちゃったみたいなんです~。」

 メンバーが・・・誰だ。


「岩田って人だってさ。」

 まるで見透かすように背後で

レンが応えた。


 そのまま背後からギュッと抱きしめられた。

「おっはよ。レイラ💓😍💓」

 背後から朝の挨拶。


 ったく、お前は恋人か・・・

何なんだ。


 テレビでは報道番組や情報番組が、こぞって、ビジュアル系バンドのオズを取り上げていた。


 何しろ首なし死体だ。ゴミ箱で発見された時に誰かの撮った画像が流出。


 ネットじゃ大騒ぎになってるらしい。


 タトゥの彫られた両腕から、すぐに正体が判明。ロックの顔写真も流れてるらしい。


 何しろ、センセーショナルな事件に間違いない。さすがにこれじゃ、龍崎仁も抑えようがないのか。

 シオンの事も伝えられていた。


 これで、無名のインディーズバンドも一躍、有名バンドの仲間入りだ。


「お母さん・・・」ミラもママ母を気遣い、「大丈夫よ。シオンなら・・」


「光輝よ。光輝なのよ。」

 ママ母の目がギラギラしてきた。

「アイツが全部仕組んだのよ。」


 光輝・・・

ヒッキーの長男・・・・


「待ってよ・・・仕組んだって、何を・・・」ミラ。


そうさ、全部話さなきゃ、伝わらないさ。

愛息子のシオンの悪行を・・・・


「わかったわ・・・」ママ母は観念したように、うつ向き、「みんな私が可笑しいと思ってンでしょ

・・・」

ミラは、どう応えていいのか、迷っていた。


ま、ここにいる全員が呆れてるって方が合ってるかもしれないが・

・・・・


疲れきったのだろう。ママ母は白状した。


「私だって・・・普通なら、一日くらいシオンの顔を見なくたって平気よ。子供じゃないンだから・・・でも、違うの・・・」


何だ。何があったって言うンだ。


「昨日・・・お昼過ぎに・・・オズって名乗る人から連絡があったのよ・・・」


 なるほど・・・オズか・・・・。だから、夕方にはあんなに取り乱していたのか。


「オズが・・何だって言うの。」ミラ。


「変な声で・・・シオンはいるかって・・・」


「変な声って・・・」ミラが聞いた。


 機械で声を変えていたンだろう。

ママ母はわからないと応えた、


「とにかく、シオンを返して欲しかったら、全てを白日の下(もと)にしろって・・・」

「白日って・・・何を・・・」ミラ。


 5年前の暴行事件の事さ。

オズは、やはり光輝なのか・・・

だが・・・


「私は何の事か、わからないと・・・そしたら、シオンがどうなっても構わないのかって・・」

「脅迫・・・」ミラ。

「ええ・・・そして・・・最後に・・・」


 最後に・・・


「悪(あ)しき魂に報いを・・って、言うと通話が切れたわ・・」

「何それ・・・」ミラも首を傾げた。


 悪(あ)しき魂か・・・

シオンたちが犯した悪行の事か・

・・・


「じゃ、みんなで、光輝のトコ行こう。」

 レンが明るい声で提案した。



 4階に光輝の部屋があった。

 あたしたちは、ゾロゾロと

光輝のいる部屋を目指した。


 光輝には、わかってるはずだ。幾つもの監視カメラがあたしたちの動向を事細やかに映し出しているのだから・・・・





















































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