第19話:切断された首

 かすかに、ワルキューレが

流れていた。地下室だ。


 シオンがガムテープでグルグルに

縛られ放置されていた。


「クッソ~、オレを誰だと

思ってンだ~。早くほどけ~。」


 どれだけ、怒鳴っても返事がなかった。

 一体、何時間経ったのか、

 まるで見当がつかない。


 だが、やっと拉致した犯人が

現れたようだ。薄暗くて正体は

わからないが、男のようだ。


「わかった・・・。

あんた、光輝さんだろ。」

 シオンは声を掛けた。

「悪かった・・・。

あの事は謝るから・・・

許してくれよ。」


<フッフフ・・・、謝れば済む

事じゃないさ。>

 機械で声を変えていた。


「だから・・・まさか、自殺するとは

思わなかったンだ・・・

お願いだ。許してくれよ・・・

・」


<オレが許しても神は許さない・

・・!!>


「な・・・、悪かった。頼む・

・・

この事は誰にも言わないから・

・・・」

 泣きながら、謝罪するシオンの

目の前にドサッとコンビニの袋が

置かれた。


 中身は、かなりの重さがあるようだ。


<お土産だ。気に入ってくれるかな。>

 と言い、袋を開けた。


 一瞬、シオンの目が溢れんばかりに

開かれた。


 ワルキューレの音楽だけが鳴っていた。


「うっわ~ーーーーーーーーー❗❕」

 シオンは、有らん限りの声で叫んだ。


 首があった。

 切断されたロックの首だ。


 首のない遺体が見つかったのは、

翌朝の事だった。















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