なっちゃんとレイカさん
なっちゃんが休暇をとると言って姿を消してから、僕の街はずっと曇り空だ。向日葵も太陽を見失い俯いている。
なっちゃんのいなくなった街にレイカさんという不思議な人がやって来た。風鈴のような声で外国の詩や星の名前をたくさん教えてくれた。長い黒髪が風に吹かれて匂えば、辺りの気温はふいに下がるのだ。
涼しい夏が続いたある日、僕は台風対策に駆り出された夜のトマト畑で、隣町へと消えてゆくレイカさんを見た。
翌日は久しぶりの晴天で、トマト畑も赤く輝いていた。父さんが今年は冷夏だと嘆いていたがどうやら心配無さそうだ。
「わぁ!美味しそうね!」
懐かしい声が太陽を背負って隣町の方から駆けてくる。
僕の街に暑い夏が帰ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます