1999年7月28日 『すれ違うココロ』
あれから1週間以上経つ。
結局今回は、
シオン君からの連絡は無かった。
彼に出逢ってから初めてのことだ。
恵梨守さんとの対面が
何か波紋を落としたのかもしれない。
そういう思いもあり、私からも、
敢えてコンタクトは取らなかった。
契約を交わしたのか分からないが、
恐らく交わしただろう。
花音君とユリアさんには
私の想像は交えずありのままを報告した。
二人とも私と同様に
『もうすぐ訪れる全ての終わりの刻』
という彼の言葉に
言い知れぬ不安を抱いたようだった。
恐らく、互いに違う不安を・・・
そう言えば、私は威という別人格と
まだ逢ったことがない。
考えれば考えるほど
私は彼らのことを
ほとんど知らないのだということを
思い知った。
これでは、ただの野次馬と大差無い。
そもそも、
私は彼らとどう拘りたいのだろうか。
目の前で起こった奇跡への興味なのか、
奇跡を起こした彼への興味なのか、
そういうことをただ知りたいという
本能なのであろうか・・・
しかし、この感覚はもっと根本的な所に
答えがあるような気がしてならない。
拘ると決めた以上、
彼らに対しても自分自身に対しても
誠実に向き合えるだけの覚悟を要する。
今の私にはそれが欠けているということか。
彼らの終着点と私の終着点。
ここが必ずしも同じでなくても
そこを見つけ出し目指すことが
私のけじめであり誠意となる。
次に彼らと逢うまでに
私はそれを明確にしなければならない。
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