大人のお仕事。

「ほら、おいで」

「あ、旦那様、お許しを」


 男の手が女の腰に回り、女を抱き寄せる。

 男はそのまま女をベットに押し倒して女に口づけをした。


「んっ・・・はぁ・・・」


 女も満更ではなく、とろけた表情で男を見つめている。

 男はそれを確認すると、女のスカートの下に手を入れて太腿を撫でた。

 すると女は何かを堪えるように体をくねらせ始める。


「だ、旦那様・・・・!」

「ふふ、可愛いな」


 男は女に再度口づけをすると女の口からは甘い声が漏れ、女はぐったりと力の抜けた状態になった。

 男は片手で女の頭を撫でながら、自分のズボンのベルトを外す。

 女はその光景を、何かを期待するような眼差しで見つめていた。










「あいたぁ!」


 かなりいい音を出して、彼女の頭に男の手刀が決まる。

 少女は叫ぶ彼女にかなり驚いていた。

 目の前の不可解な出来事に目を白黒させていた最中だったので余計にだろう。


「お前は、なんつーもんを子供に見せてんだ」

「うおおおおぉぉぉぉぉ・・・・」


 呻きながらのたうち回る彼女をとりあえず放置し、モニターの映像を切り替える男。

 だが切り替えてもまだ似たような内容が出た為、面倒くさくなって大本の電源を落とす。

 まずは何よりも、少女に見せない事を優先した。


「たく、何考えてんだか」

「よ、良かれと思って」

「もう一発、いっとくか?」

「真に申し訳ありませんでした、旦那様」


 男が内心本気で怒っている事を察した彼女はすぐさま平謝りをする。

 男はそれに一つため息を付いて、少女に顔を向けて焦る。

 少女は先ほど見ていた物のパッケージの印刷をまじまじと見ていたからだ。

 それはもう、食い入るように。


「はいはい、子供は見ないのー」


 パッケージを取り上げられ『えっ』という顔をする少女。

 それを見て何となく男は彼女を見ると、彼女はふいっと顔をそむける。

 男はすぐに何かあると悟り、彼女の顔を力尽くで自分に向けた。


「おい、お前何か余計な事言ったろ」

「まままっまさかぁ」


 男は彼女の頭を掴んで怒っているが、少女には何を怒っているのか解らなかった。

 だからさっき彼女に言われた事をすれば、男は機嫌を直してくれると思い実行しようとする。

 少女は気合いを入れて立ち上がり、男に近づき男の袖を引いた。


「ん、どうし―――」


 男は、言葉に詰まった。目に映ったその光景に固まった。

 どうかしたのかと顔を向けたら、少女がスカートをたくし上げて下着を見せていたのだ。

 ただその顔は、これで良いのかなという疑問の顔だったが。


「いたぁ!」

「お、ま、え、は、な、に、を、お、し、え、た」

「すみません、すみません!」


 だが男は更に手に力を加えて怒り、彼女はひたすらに謝る。

 少女は何を間違えたのか解らずオロオロしていたが、はっと何かに気が付いたような表情を見せる。

 少女は背中のチャックを降ろして肩から服を降ろし、男の前に回って上の下着を見せ、首をコテンと傾げる。

 男はそれを見て、一瞬固まってしまった。

 再起動した男の行動は、目の前の馬鹿者への制裁だった。


「お前さぁ、何考えてんの」

「あいだだだだ! 良かれと思って!」

「よかないわ」

「はい、すいませんでしたぁ!」












「あのね、ああいうのは子供が見る物じゃないし、やる事じゃないから」


 少女は男の自室で男とボードゲームをやりながら、男の言う事にコクコクと頷く。

 男は頷いた少女を見てため息を付きつつ安堵した。

 少女は素直な子なので、頷いた以上やらないだろうと。


 だが男は一つ勘違いをしていた。


 少女は確かに、子供の内はやってはいけない事だと認識した。

 だが、大きくなったら男の為にああいう事をするのだと、そう認識していた。




 男がそれを知るのは、少女が大きくなった時の為にと女にやり方を聞いた後の事だった。

 女が誰にそんな事を言われたのかと聞き、男を沈めたのは言うまでもない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る