解説など

完結後、感想や疑問点などを幾つかいただきましたので、

この場を借りてご説明したいと思います。

ネタばれが含まれておりますので、読了していない場合は、読むことをお勧めいたしません。

































・リヴァケイルという作品について

10年ほど前にABYSS-殺人クラブ-というタイトルで出していた同人ゲームの商業リメイクとして作り直したものでした。

当時、未熟であったり時間の関係で、全てを出し切れずに不完全燃焼で終わっていました。

その時の鬱憤(ライター間では呪いと言っていました)を、全て出し切ったのがこの作品となります。



・作品タイトルについて

既に感想へのコメント返しでもありますが、リヴァケイルは「共鳴」を意味するコサ語です。

同人版からのタイトル改変に当たり、那美から晶に、そして晶から他へと伝わっていく変化が共鳴のように思えたため、このタイトルとなりました。

また余談として、晶は鉱物である水晶を意味する漢字なのですが、水晶を利用した水晶振動子は理想的な共振器になるそうです。



・話タイトルについて

個別篇の一部のタイトルと最終章のタイトルは、ライターが特別にこだわって付けています。

例えば、ニーチェの「善悪の彼岸」や、古今和歌集から持ってきた「咲くとみしまにかつ散りにけり」、ロシア文学から持ってきた「スペードのクイーン」など。

特に元ネタがあるものは、内容にも関連しております。



・バッドエンドについて

同人版のものを受け継ぎそのままになっておりますが、当初はバッドエンドだけでなく、各篇におけるハッピーエンド的なものも一応は存在しておりました。

ただ、伏線として見せたい情報はほぼバッドエンドに集約されており、ハッピーエンドと言いつつも不完全燃焼で終わる形でしたので、それならばとバッドエンドに全力投球した次第です。

おかげでとっつきにくいものになってしまいましたが、おそらくこの作品はバッドエンドこそが最もあるべき姿なのでしょう。



・各篇のテーマ的なもの

共通篇は、現在過去の両輪を叙述トリックを絡めて謎と世界を展開していくパート。

温子篇はミステリー的に謎を展開していく一般人目線での理不尽なABYSS。

幽篇は少年漫画的なボーイミーツガールを軸としたプレイヤー篇。

爽篇は予想外の展開と物語的な面白さの中で敵陣営を見せていくABYSS篇。

琴子篇はそれまでとは一転して、コメディ色を前に出した前半と、重い後半の中で様々な伏線の回収に走る御堂篇。

最終篇に関しては、伏線や因縁を回収しつつ、展開を予測させずに、とにかく面白いと言わせたいがためのお話です。


その他、全体を通して最も描きたかったものが、キャラの成長です。

龍一や羽犬塚といった未完成なキャラはもちろん、温子のような作中以前に成長したキャラも、他者との関係の中で一歩前へ、というのが上手く描けたのではないかなと。

この辺りはタイトルであるリヴァケイル(共鳴)にも大きく関わっている部分です。



・Greedについて

作中で名前だけ出てきたABYSSの対抗組織ですが、実はこちらを同人で作ろうという予定があったりしました。

中編程度の長さのプロットと冒頭のテキストだけ書いて放置されていた記憶ですが……。

なお、運命のリヴァケイルの中で登場した人物も数人、登場する予定となっていました。



・カジノについて

こちらも作中では名前だけ出てきていましたが、実はこちらも長編プロットが存在しております。こちらもリヴァケイルの人物が登場する予定となっていました。

が、カジノのゲームが複雑になり過ぎてもっと単純にしなきゃ作れないよね、などなどあり、今はHDDの底で眠っています。

単純に、リヴァケイルで扱ったホールデムより面白いゲームが書けるのかという疑問もあります(ライター談)。



・ラビリンスゲームについて

感想にて「シークレットゲームに似ている」といったご意見を頂きましたが、こちらは実は的を射ています。

リヴァケイルのライターが、FLAT様にてお仕事をしていた際に、シークレットゲーム3のゲームとして個人的に考えていたものを改変し流用したからです。

また、ラビリンスゲームにおいて各キャラに割り振られた大アルカナは、各人の性質に沿ったものとなっております(晶=愚者など)。



・各種難読?名前について

温子(のんこ)

爽(そう)

深夜拝(しんや はい)

御堂(ごどう)

数多(あまた)

獅堂(しどう)

真ヶ瀬(まがせ)

田西成輝(たにし なるき)


・御堂数多について

深夜に関しては、数多の二重人格で合っています。

御堂には二重人格を作る技術が存在しているため、それを使い深夜拝が作られたという形です。

晶にとってのアキラと同様に、暗殺を行うに当たっての心や体の負担を押しつけたり、

別人に成り代わることで潜入に役立てたりする人格でしたが、

それが御堂琴子の死をきっかけに死体作家として育ってしまいました。

御堂数多と深夜拝の人格切り替えは、数多の意思でもって可能です。

ご指摘の通り、死体作家としての活動はABYSSにとって不都合ではありますが、

それを今更制御しきれないため、数多としてはごまかしながら付き合っているような形です。


・高槻良子について

高槻良子が生け贄に自分の名前をつけていたのは、高槻が死にたかったからで合っています。

基本的に高槻は破滅主義者であり、過去に自ら望んでABYSSの儀式に参加したこともあります。

本編でも、首輪を久しぶりにつけたという会話でそれを示しています。

高槻のフォール服用は10年で、理性を失っていないのは高槻の才能になります。

同様に10年フォールを服用しても壊れないのは、作中だと片山くらいです。


・五人のABYSSについて

五人のABYSSについては、獅堂、葉、高槻、ラピスはそうですが、

数多は処理班の長であり五人のABYSSには含まれていません。

処理班は葉の直轄であるため、葉の部下となります。

葉が手元に強力な駒を残すために、敢えてそういう形にしました。

数多がもしも五人の中に入る場合は、五人の中から脱落するのは高槻ということになると思います。


・ラピスの心情について

ラピスが晶を巻き込んだのは、天山に勝ちうる唯一の人間であるとラピスが思えるほどに信頼できる人間だからだと思っています。

回りくどい言い方になってますが、要は晶を信頼してるからですね。

最初は強さの面だけだったんですが、生徒会での付き合いを通して、人間的な部分でも断られないだろうと思えるようになったということです。


・オシラって誰?


オシラは獅堂や御堂のような暗殺者の一族の一つです。裏の世界では割と名の知れた家で、獅堂が記憶している程度には実力があるということになります。

同様に名前を挙げられていた蛇淵も暗殺者の系譜です。




以上、ご読了有難う御座いました。

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運命のリヴァケイル ~落ちこぼれの元暗殺者は殺人クラブに狙われている~ Lose @lose_kaku

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