第20話 持田

side:日比谷



やっほやっほー!みなさんこんにちは〜みんなのアイドル日比谷千夏だよ〜ん。

今日は俺の大切な大切なオモチャ…じゃないや、親友についてお話ししようかな〜。


彼は持田崇、これでも結構強い不良だよ〜。いつも目つき悪くてやばめのやつだなと思ってたら、あらびっくり!中身は好きな子ができてもセックスもチューも告白もできないそんなヘタレチェリー野郎だったなんて、だーれも思わないよね?

ほーんと、笑える!


「千夏てめぇ殺すぞ」

「きゃー!まじヤバたん〜崇ちゃん激おこ?笑える〜」

「今死ぬか?」

「ちょちょちょちょお前らまじやめろ!!俺の店でまじ喧嘩は勘弁しろって!!!てか千夏お前セックスからって順番おかしいから。感覚がもう爛れきってて俺は怖えよ」


うーん今の目はわりかし本気だったかもね、海斗さんが止めてくれなかったらやばかったかもね。

あ、海斗さん、ってのは崇の従兄弟で、俺らの先輩にあたるの!そう、つまりは元ヤンなんだよね。その海斗さんの経営するレストランにきてます。


「崇いったいどうしたわけ?つーか呼び出したのお前だし。そのくせなーんも俺に喋ってこねぇからこうしてからかってんだけど」

「…」

「あーー!うざい!!なになに愛しのきょーやちゃんに振られでもしましたか!」


ガンッッ!!


え、何その反応。明らかに動揺してますよね。

崇は急に机に突っ伏、というか頭を打ち付けたのだ。店が閉店間際の誰もいない状態でよかったよ。見世物以外のなにものでもなくなるわ。


「おい!千夏!お前デリカシーねえな!崇の傷を抉るな!」

「いや、海斗さんその決めつけた言い方もなかなか傷を抉ってると思いますよ」

海斗さんも崇と変に似ているのか、真っ直ぐな節がある。

そうか、恭弥ちゃんに振られたのか…なんか最近は恭弥ちゃんの方が崇を意識してるのかなー、脈ありじゃないの?って思ってたんだけど、見当違いだったのか。


また、急に崇は顔を上げると、その顔は真っ赤だった。

…ん?待って、どういうこと?


「…恭弥に、告られた…」

「「え」」


一瞬、時が止まって…

俺と海斗さんの絶叫が店にこだましたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る