第18話 発熱-3
初めてのキスはとんでもなく甘くて熱くて、俺の頭まで蕩けていくようだった。
唇が合わさるだけのキスだったけれど、大好きな先輩とのキスだから本当に特別で、幸せとはこういうことを言うんだな、とぽやーっと考えていた。
「…病人相手にこんなことするつもりじゃなかったんだが、…お前のせいでも、あるんだからな」
「す、すみません…」
赤い顔で先輩は俺を責めるように言う。今までだったら絶対怒ってるとしか思えなかっただろうけど、今ならわかる。これは照れ隠しなんだ。先輩は俺のことが好きだから照れてるってこと。
「き、きてくれてありがとうございます…嬉しいです」
そう言って笑うと先輩は盛大にため息をついた。
「お前には振り回されっぱなしだ…」
真剣な眼差しがいつも以上に色気があって、心臓が余計にどくどくと脈打つ。
「で?」
「……はい?」
先輩がなにかを促すように俺を見てくる。なん、だろ…
「さっきの、俺の告白。スルーしてんじゃねえよ」
「…あ、!!す、すみませっ」
「…その反応…結構ショックなんだけど」
告白、という言葉を聞いて思わず声をあげてしまった。その反応に明らかに落ち込む先輩。そりゃあそうだよね。というか、そのままキスの流れだったし、誘ってるの?といわれて、肯定したからもはや俺も告白したようなものなんだけど…
というか先ほどまでの自分の一連の行動は熱に浮かされてて多少大胆になったとはいえども…
は、恥ずかしすぎる!
じわじわと自分の頬に朱が差していくのがわかった。ああ、恥ずかしくて死んでしまいたい!超今更だが先輩から顔を背けようとしても、先輩がそれを良しとしてくれなかった。
「そ、の…キスが気持ちよくて、返事とか、抜けてしまってま、した…」
「……………」
おずおずと先輩を見つめながら真っ赤な顔で呟くと、先輩の顔も真っ赤に染まっていた。
「返事、その、聞かせてくれ」
「たかし、せんぱい。すき、…っん!」
全て言い終わらないうちに、もう一度熱い唇が俺の唇を塞いだのだった。
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