第4話 口頭審理

 副島、早苗、三枝の三人は、経済産業省の別館一階にある第一審判廷に居た。

 この部屋は五十平方メートルほどはあろうか。入口を前方とするなら、前方の壁には三列のパイプ椅子が並べられている。三十席ほど用意されている。傍聴人の席である。既にほぼ満席。日酸レジストの社員、関連会社の特許部員、弁理士のほか、傍聴者には特許庁の審査官・審判官も含まれているように思われる。冒認出願は彼らにとっても珍しいのであろう。勉強に来ているのである。

 右側には長机があり少し重厚な椅子が三脚ずつ二列に並べられている。特許権者側の着座位置である。そこには代理人が一人だけ座っていた。

 左側も右側と同様で長机と六脚の椅子がある。その一列目には、副島、早苗、三枝の順で一列に着座していた。さらに、二列目には、日酸レジストの知財担当者、四宮愛美しのみやまなみ香西重彦こうざいしげひこが着座していた。四宮は早苗より十歳は上だろうか。ザ・キャリアウーマンという風貌ふうぼうである。つりあがった眼鏡もいかにも似合っていた。香西は早苗と同じくらいであろう。あまり意見せず、四宮に従っていた。

 部屋の後方には、長机があり、三脚の椅子が据えられている。こちらの椅子は背もたれが肩の位置まであり、相応に高価そうなものである。その真ん中の椅子の背もたれはさらに長く、頭の位置を超えている。

 部屋の後方の端にはパイプ椅子があり、そこには、九十キログラムはあろうかという太った男が座っていた。椅子がかわいそうにみえた。彼が審判書記官である。しきりに時間を気にしていた。すると定刻がきたようで、巨体を前にかがめながら立ち上がって、やや声を張り上げて言葉を発した。

「それでは定刻になりましたので、無効審判に係る口頭審理を開廷いたします。審判官が入廷いたしますので、みなさまご起立をお願いします」

 全員が立ち上がった。部屋には、ざっという椅子を引く音が響いた。経済産業省の建屋は少々年季が入っている。壁はややすすけている。床のタイルシートも一部剥げている。

 審判官が三人、その部屋の後方にあるドアから入廷した。傍聴人や当事者が入る前方のドアとは異なるドアである。傷の多いタイルシート貼りの床をゆっくりと歩き、肩まであるいは頭部まである背もたれのある重厚な椅子の前に、順次、並んだ。真ん中が審判長である。どさっと、十センチメートルほども厚さのあるバインダーを音を立てて机に置いて、左から右にゆっくりと見まわしていった。

 審判書記官が少し上ずった声で宣言する。

「無効審判事件 第2008-96052号事件 第一回口頭審理を開廷します。礼」

 一同が審判長に向かって礼をする。審判官も同時に前を向き礼をする。

* * *

 五月末のニチレジ側の担当者との打ち合わせを終え、早苗は、翌月には審判請求書の提出を終えていた。内容は日レジの要望に沿ったものだ。これに対し、答弁書という形で反論が被請求人から提出されてきた。内容はほぼ想定内のものである。これら両者の主張をもとに、今回の口頭審理が設定された。無効審判は基本的に書面のやりとりで進められる。その中で、口頭審理とは、当事者同士が一堂に会し、互いの主張をぶつけあう機会である。通常一度きりである。結論を左右する極めて重要な局面である。

* * *

 審判長が早苗たちの方に目を向けて声を発する。「審判請求人は、代理人、副島晴夫弁理士、土井早苗弁理士、三枝俊介弁理士、日酸レジスト株式会社の四宮愛美さん、香西重彦さん、以上、五名の出頭でよろしいでしょうか」

「はい」と副島がやや緊張ぎみに答える。

「四宮愛美さんと香西重彦さんの委任状は本日付けで受理しております」審判長が続ける。「被請求人である特許権者側からは、布藤博通弁理士、一名の出頭でよろしいでしょうか」

「はい」と低い声で布藤が答える。発明者は出頭していない。

 布藤博通。この声に早苗は聞き覚えがあった。もちろん顔にも見覚えがある。副島も同様である。布藤は、従前、教栄特許綜合事務所に在籍していた。二年前に事務所を去り、独立したのである。今では、マイティ国際特許事務所の所長である。

* * *

 2013年。四年前……

 早苗が教栄特許綜合事務所に入所して二年目、布藤が入所十三年目である。彼が中堅からベテランに移行しようかという時期である。布藤は大学卒業後、外資系の製薬メーカーに就職した。研究者として仕事を始めた。しかし、製薬メーカーの研究部門は技術エリートの集まりである。旧帝大と言われる大学の大学院卒、あるいは博士で占められていた。布藤のような地方大学の学部卒は肩身が狭い。このまま研究所で職を進めても、先端技術にはなかなか触れられそうにない。そうすれば、当然成果も出せず出世も望めないこととなる。そんな境遇に限界を感じた布藤は、早々に製薬メーカーを退職した。

 退職後は職に就かず、弁理士試験のための浪人生活を選んだ。

 弁理士法が改正される前の難しい試験の時代である。なかなか合格することができなかった。五度目の試験に臨んでいた。今年落ちたら、不本意でもどこかの企業に就職するつもりでいた。そう両親とも約束していた。崖っぷちだと考え、死に物狂いで勉強した。同期の連中は就職して数年がたち、自由になるお金も相応にできていた。合コンに、海外旅行。

 一方、三十歳を前に、布藤は親に食べさせてもらっている。夏休みも正月もなくがつがつ勉強する自分が時に情けなくもあった。しかし、その甲斐があって、とうとう弁理士試験に合格することができたのだ。五年で合格した。当時としては早期の合格であった。胸を張って教栄特許綜合事務所の門をたたいた。であるから、最近になって弁理士試験が簡単になったことには、時代とはいえ、愉快ではない。自分と、彼らとは、別格であるとさえ思っている。

* * *

「納得いかないかもしれないけど、そういうもんなんだよ。四の五のいわないで従えよ。何度もいってるだろ」布藤博通がやや煙たそうに早苗にいう。

 早苗は、ようやくまともな仕事を与えられるようになっていた。それまでは、副島のタイプの修正ばかり。副島の文書を直すことで、特許に関する文書の勘所をつかめというのだ。特許業界はまだまだ封建的で、師匠の技を見て盗めという職人基質が残っている。書店に行けば指南書しなんしょのようなものはかなり出回っている。しかし、肝心なノウハウは、その事務所ごとに隠し持っているというわけだ。

 早苗は自分の書いた明細書を前に口をとがらせていた。「なぜ、クレームに『からなる』を使ってはいけないんですか?」

「『AとBからなる』だと、AとBだけからなる、という意味にとられる可能性があるんだよ。『含んでなる』にしといて」隣の席の布藤はパソコンに向かったままいう。

 『式Iで表される化合物と分散剤からなる感光性組成物かんこうせいそせいぶつ

 これが早苗が作ったクレームである。その『からなる』がいけないというのだ。それを、『含んでなる』に直せという。つまり次のとおりだ。

 『式Iで表される化合物と分散剤を含んでなる感光性組成物』

 どう考えても、早苗が作った文の方が座りがいい。というか一般的だ。『含んでなる』とはなんだ。大学院まで出て、学術論文もいくつか書いた。その論文の中で、『含んでなる』など使ったこともない。そもそも、『からなる』が、『だけからなる』の意味だと誰が決めたのだ。

「それとさ」布藤が早苗の方に席を回して向き直った。「細かいことだから、そこまでは言いたくないけど、『AとBを』じゃなくて、『AとBとを』だからね。最後の『と』を抜かしちゃだめだよ」

「そろそろ、中学生レベルの国語は書けよ」とペンを回しながら片手間にいった。

 早苗の喉はからからになっていた。首筋のあたりが赤くなっているのが、見なくてもわかる。A&Bというとき、AとB『と』というのか。本当にそうなのか。誰が決めた?

 じゃあ、『AやB』ではなく、『AやBや』というのか。『AかB』ではなく、『AかBか』というのか。どうせ、布藤のオレ流を押し付けているに違いない、と思い深呼吸をして、自分のパソコンのキーボードに手を乗せた。少し手が震えていた。『からなる』を『含んでなる』に直し、二つ目の『と』を加えた。

 今では早苗も布藤が正しいことを知っている。正確には国文法として正しいという意味ではない。特許用語として正しいということを。『からなる』といってしまうと、ほかの物は含まないという宣言にとられかねないのだ。誰がきめたかしらないが、特許制度 百年の歴史の中で、そんな風に定着してきたのだ。だから、早苗が最初に作ったクレームだと、式Iの化合物と分散剤以外は含んではならない。たとえ不純物でも、それを含まない。そう宣言しているのである。そんなことをクライアントが喜ぶはずがないのである。

 その後に知ったことだが、米国では、このあたりの用語の使い方がさらに厳しい。単語ごとに、その奇妙な意味が、ご丁寧に、審査基準に定められているのである。もとはといえば裁判例、つまり判決の積み重ねでそうした解釈が定着してきたそうだ。裁判大好きの国、アメリカもここまで行くと、やや滑稽こっけいである。特許業界には、こんな言葉の地雷がごまんとあるのだ。それも、日本のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、韓国、中国、その他、全世界におよぶのだから洒落しゃれにならない。シロートには到底手に負えない。弁理士なんて資格業務が食べていけるはずである。

* * *

 布藤は愛想はないが、良い指導者ではあった。中には、正しいことを教えてくれない中堅所員もいる。嘘をつくとまではいわないが、肝の部分を教えてくれないのだ。布藤はそんなことはない。むしろ大事なことは厳しくののしられた。

 布藤には家族があった。二人の子供がいる。やや大柄で髪は自然に流していた。おおきなウエーブの天然パーマである。多少猫背だが、落ち着いた雰囲気がある。学生時代はバトミントをやっていたそうだ。想像がつく。どうせ、スマッシュよりは、トリックプレーが得意だったのだろう。家族は大切にしており、子煩悩こぼんのうで家族の写真を机上に置いていた。

 布藤と早苗は、当時、日レジの出願案件を担当していた。日レジは事務所にとって大口の一つであり、布藤のように経験もあり、馬力もある人間が充てられていた。布藤はコミュニケーション能力にもたけており、日レジから大きな信頼を得ていた。日レジの研究所は、静岡県にあったが、月に二度はそこに行って、研究者の発明相談を受けていた。だが、一方で、誤記やケアレスミスのチェックはあまり得意でない。というより無頓着むとんちゃくなのである。

 日レジから送られてくる案文によくある間違いが、『炭素数』に関するものである。例えば、ベンゼンというと、亀の甲と言われる、あの六角形の中に丸を書いた化合物である。芳香族化合物とは、それをいくつもつなげたものをいう。その連なりの数を、炭素の数で規定することがある。このとき、炭素数が『2以上で24以下』、などとやってしまうのである。炭素数『2以上』。ベンゼン環は六角形である。つまり炭素が六個。二個であることはありえない。『6以上』にしなければならないのである。他愛もないミスであるが、特許の権利を規定するときには、致命傷になりかねない。布藤はしばしばこれをそのままで通してしまっていた。

 ほかには、要約書の挿し間違いである。要約書は特許の権利の解釈の基礎にしないことが法律で定められていた。つまり、重要でない書面なのである。だから、これを徹底するかしないかはクライアント企業の担当者次第というところがある。布藤は、先方が言ってこなければこのあたりは省力化して見てもいないのである。しばしば要約書の差し間違いが起きていた。

 早苗はこのあたりは気持ちが悪く、いちいちチェックする方であった。

* * *

 しかし、一方で、布藤は、クレームに記載のないことを、さまざまに書き、明細書を埋め尽くすことに注力していた。無駄と思われる記載を、これでもかというくらいに書き込むのである。これが、実は、クライアントに喜ばれる。安全ネットになるだ。

 先に述べたように、クレーム、つまり特許請求の範囲は補正によって書き換えることができる。出願したのちにでもである。その補正ができる範囲は、特許請求の範囲といっしょに提出した明細書の記載の範囲に限られる。逆に言えば、明細書にたくさんいろんなことが盛り込まれていれば、それだけ補正の自由度が増すのである。

 出願した発明は、特許庁で審査に付される。この審査のための文献調査は、日本の国税を惜しみなくつぎ込んだ、最新鋭のデータベースと、その分野の専門家ともいえる技術者集団によって行われる。そこで発見された文献をもとに、審査官が特許性の判断をくだす。一個人、一企業が、いくら頑張っても、特許庁の調査能力にはかなわない。たいていの場合、予想外な厳しい文献が出てくる。しかも、出願した発明とまったく同じ、あるいは酷似した技術が発見されてしまうことが少なくない。そんな時に、補正が有効な回避手段になるのである。

 発見された文献に記載されていない事項をクレームに追加して、うまくかわしていくのである。そのときに、メニューが豊富な明細書は大変助かる。布藤はそのセンスに長けていた。むやみになんでもかんでも書いていたのではきりがない。悪くすると、散漫になって、発明の背骨がぼけてしまう。そうはせずに、後々に補正が必要になりそうな事項を、手際よく、ふんだんに盛り込んでいくのである。まるで、ケーキのデコレーションのようなものである。何もないと寂しい。かといって、子供のように無作為に飾り付ければ下品になる。ふんだんで色とりどりの配色をしながら、それでいて上品なのである。布藤のもって生まれたセンスのようなものであろう。早苗にはまねできない。早苗の明細書はそつがないが、やや地味なチョコレートケーキとでもいったところであろう。

* * *

 口頭審理……

 先行は早苗の方であった。早苗は審判長への説明を先に終えた。

 審判長は早苗の説明を要約しはじめた。「審判請求人の請求内容を要約しますと、次のとおりですね」

「第一に、被請求人、つまり特許権者はEUV《イーユーブイ》露光をできる半導体製造設備を保有していない。そのため、その製造方法に特に適したフォトレジストの開発も不可能なはずである」

「第二に、本件発明は、請求人、つまり日酸レジスト社で進めていた開発技術と酷似している。であるから、被請求人がこれを盗用した可能性が高い」

「そういうことで異論ありませんか」

「はい、結構です」副島が日レジの四宮および香西の方を一瞥して、彼女らがうなずくのを待って、答えた。

「それでは、被請求人の主張をお願いします」

「はい」布藤が机に両手をついてうつむきながら席を立った。十秒ほど間をおいて書類をめくってから顔を上げる。その口角を少し上げた自信ありげな口元を見て、早苗は思わずあの皮肉交じりの説教を思い出した。

「被請求人は、請求人の第一の主張および第二の主張はいずれも理由がないものと考えます。理由は、概略、次の通りです」

「まず、請求人は半導体の製造装置がないため、樹脂の合成ないし開発ができないと主張します。しかしながら、かならずしも、そうとは言えません。発明者は高分子化学のエキスパートです。樹脂の合成や組み合わせ、そこから予想される物性など、おおよその想定によって配合設計をすることは可能です。このようなことは、この分野の技術者であれば当然のことです。この点は、日酸レジストの方もご理解のことかと思料します」布藤は書面から目を離し、四宮と香西を交互に見る。

「そして、およその目論見のもとにレジスト樹脂を配合し、調製する。これを、所定の半導体製造メーカーに送って、試験の実施を依頼する。それは十分に可能です。逆に言えば、日酸レジストさんも同様であり、樹脂を合成したら、それを電子メーカーに送って、性能評価を行ってもらう。そうして開発を進められているものと承知します」さすがに布藤は日レジの事情に詳しい。

「念のため、さらに申し上げておきますと、発明者は、自身がどのようにして発明したのか、その信ぴょう性がどうなのかを、説明する義務を負っていません。発明を明細書に記載し、それが当業者、つまり当分野の技術者が再現できるものであれば、それで十分なのです。そうでなければ、例えば、発明の譲渡を受けたとき、換言かんげんしますと、発明を第三者が買い受けたときなど、その第三者は発明の信ぴょう性やら、発明の実験をする装置の所在やらをいちいち証明しなければならなくなってしまいます。特許が流通する財産であることを考えれば、そのようなことが不当であることは論をちません」

 なにやらうさんくさい理論であるが、理屈は通っている。布藤の屁理屈のうまさは筋金入りだ。

「さらに、第二の理由では、日酸レジストさんの一連の開発技術と、本件発明との共通性が指摘されています。しかしながら、そのようなことは、こと先端の技術開発においてはよくあることです。むしろ、日常茶飯事にちじょうさはんじといってもよいほどです」

「この分野、すなわち半導体分野は、熾烈しれつな競争の中にあります。ほんの二十年前には、数百ナノメートルの線幅の実現がやっとでした。百ナノメートルを切ることは不可能だと信じられていました。たった二十年前です。それが、今では、優に四十ナノメートルを下回っています。これからの競争は二十ナノメートル以下の領域に入ろうとしています。まさに桁違いの進歩です」

「そんな日進月歩の技術開発のなかにあって、各社はしのぎを削っています。常に新しいものを模索し、開発しています。そうした取り組みの中、各発明者がなす考案が同時期に似通ったものとのなるのは、不可避的なことではないでしょうか。むしろ、当然のことというべきです」

「付言しておくなら、一方でフォトレジストの配合技術は、実はさほどにまでは変化していません。似たような配合のなかで微修正して、そのときどきのニーズに応えてきたのです。露光技術も、線幅、百ナノメートル時代のKrFエキシマレーザーから、数十ナノメートル時代のArFエキシマレーザー、そして次世代技術として期待されるEUVへと変遷してきました。それらの露光技術に応じて、レジスト樹脂の配合を適宜調整しながら対応してきているのです。そのような、樹脂開発の実情に鑑みるならば、むしろ、EUV露光に対応するといえ、似通った樹脂の配合設計が競争の対象になるのは、ここで論じるまでもありません」

 この手のプレゼンテーションは布藤の十八番おはこである。審判長やこちらにタイミングよく目配せしながら、手振りなども加えて論じ上げていく。

 ここで、布藤は書類から目を外し、一呼吸、間を置いた。さらに審判長の目をにらみつけて続ける。

「確かに、請求人が主張するように、被請求人が請求人・日酸レジストさんの技術をモチーフにした可能性がある。そのことは否定しません。しかしながら、それは、技術開発において常套手段じょうとうしゅだんというべきです。先駆者に学ぶ」

 布藤は両手を机について前のめりになり、早苗の後ろに座る日酸レジストの担当者をにらむ。

「業界をリードする御社の技術をモチーフにして、開発の基礎とする。むしろ、そういう謙虚な姿勢のある科学者こそ真の技術者というべきです」

 布藤は、ふんふん、といって自分自身が得心したように何度かうなずく。

「被請求人の主張は、以上です」

 副島が横から早苗の方を見ているのを彼女は感じていた。反論したらどうだ、とでも言いたいのであろう。早苗は気付かないふりをした。反論など思いもつかない。布藤がゆっくりと着席するのをながめていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る