海だった記憶


我の名はシュラウド。


海の一部だ。


雲であり雨であり川だった。


家族と共にいる。


いつか還る場所。母なる海。


思い返せば、様々なことがあった。


長かったようで、あっというまだった。


この星の、この世界のすべてに祝福があらんことを心から願う。


「シュラウド。時間です」


天の声が聞こえる。


「さあ、行こう」


私はソラリスに言った。


返事はない。だが心はひとつだ。


「心配することはない」


ソラリスのあたたかい波動を感じる。


太陽の熱によって海から放たれ、水蒸気となって浮かびあがり、天に昇っていく。


白くまぶしい光がすべてを包み、我の意識が消えていく。


「ありがとう」


すべてが巡り、巡る。世界の理。


多少の違いはあれど、等しく訪れる自然の流れ。


願わくば、そのそれぞれの人生に少しでも多くの幸あらんことを。


そして我は雲となる

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