「今」よりおよそ二百年ほど前、都市国家トロスとフブルの間に勃発した戦乱と、その影にあったとある魔人の物語。
異能者の出自ゆえ流れ者だった主人公・サクスは、突出した武術によりタスカス傭兵団に腰を落ち着けて二年。
孤独を癒やしてくれる仲間や部下たちと出会ったが、そんな彼を気に入らない者もおり、トロス戦役のさなかにひたひたと迫る脅威となる。
血なまぐさい戦いの中で徐々に数を減らしていく部下たち。追い詰められる傭兵団。敵と内通した者と対峙するサクスを、裏切りの刃が襲う!
作者様の中できっちり世界観が構築されており、時折混じる脚注や細かな言葉遣いにそれがにじみ出ております。なるほどハイファンタジーですね。
全体的に淡々として地味な印象が強く、分かりづらさなどもあるのですが、根底にはひっそりと情熱が潜んでいると感じられました。なろう版を確認してみると、この調子で多くのエピソードがあるようで、この世界をもう少し見てみたいと感じます。