エピソード2 疑心暗鬼
俺はハルカと、街の隅にある静かなカフェに来た。ここならば、ファンの女の子に見つかる心配はない。
中はシックな雰囲気で落ち着いている。のんびりとするには最適のスポットだ。
だが、相変わらず自分から話をしてはくれない。紅茶に手をつけながら、常に俯いた顔をしているのだ。
俺はハルカに楽しいか?と聞いた。
ハルカは無理な笑顔をしながら、首を縦に振った。むしろ苦しそうにしか見えない。
俺に対して疑心暗鬼の目を向けるハルカに、俺は今日こそはっきりと言おうと思った。
浮気なんてしていないし、ハルカ以外の女の子にうつつを抜かしてもいないと。
だが、いざ言ってみても響かなかったようだ。
確かに浮気をしていないとは信じてくれた。だが、他の女の子の方が良いんじゃないかと言っているのだ。
なぜそうなのか?と聞いても口を開いてはくれない。ひたすら口を噤んでいる。何も話してくれそうにない。
ただ、静寂の時間が過ぎていった。
すると、ハルカが珍しく口を開いた。
ハルカは、地味で小さい私なんかよりも、ファンの女の人たちみたいな派手な人の方が好きなんでしょ?と俺に投げかけた。
だが、当然ながらその言葉を否定した。俺はハルカ以外の女の子なんて考えられないからだ。
再び沈黙の時間が流れた。
俺は、一体どうすればハルカの俺への信頼は回復するのかを考えた。
すると、俺にひとつの考えが浮かんだ。
そうだ!家に泊まりに来ないかと誘おうと。
一つ屋根の下で一緒に話せば何かが開く、そう安易に考えてしまった。
そして、俺はハルカを家へと誘った。相変わらず俯いたままだが、了解をくれた。
その後も町中を歩き、夜になってハルカを家へと連れて行った。
◆
家に着いた頃にはいい時間だった。
俺は、先にシャワーを浴びようとしたので、ハルカにリビングでくつろいでいるように言った。家の中は相変わらず静かなままだ。
シャワールームに入ると、流れる水の音で少しは騒がしくも聞こえた。しかし、その音は俺を急かすかのようにも思えた。
早くハルカと分かり合いたい。その思いが、更に焦燥を駆り立てる。
シャワールームを出た後、次にハルカに入るように言った。ハルカは何も言わずにシャワールームへと入っていった。
これから俺は何と言ってハルカの信頼を取り戻せば良いのだろうか?
◆
長い時間を経て、ハルカはシャワールームから出てきた。ようやく出てきたかと言わんばかりに俺はハルカに寄って行った。
そして、寝室へと連れて行った…
ダブルベッドの上で、寄り添う形で俺たちは転げた。ハルカは遠慮しているのか、俺から離れて端のほうへ行こうとする。
そんなハルカを抱き寄せて、話をすることにした。
俺がいかにハルカを愛しているか、他の女の子にどれだけ興味が無いか。
だが、ハルカは無機質に反応するだけでやはり遠慮がちだ。
俺はどうやってハルカと分かり合うかを考えた結果、恋人にしかやらないスキンシップを取ってみることにした。
まず、俺はハルカの柔らかい唇を奪った。特に嫌がるそぶりはない。俺は、これならいけると思った。
唇を離してから、ハルカの服を脱がせた。その細くて小さい体は白くて美しかった。胸も、性格を表すかのように控えめだった。
だがその時、ハルカは突如として涙を流し始めた。
“やっぱり、レンは私を都合のいい女だと思ってたんだ…”
そう言って泣いたままだ。
俺は何も言えなくなった。
そうして、お互い何も話さずに朝を迎え、ハルカは帰路へ着いた。
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